投資資金を含めた環境問題対応の動きと感想

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                    2019/10/25 第541号
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【投資資金を含めた環境問題対応の動きと感想】

こんにちは。自然大好きアドバイザーE&H(エコ&ヘルス)の柴田です。

人間活動により開発など地球環境を大きく変えてきた影響が最近顕著になってきていると感じます。日本古来の考え方に自然の全ての物に神が宿っているとの発想から山や木など自然を信仰の対象として大切にしてきました。そういう観点から世界を見てみると地球規模の自然環境に対して人の手を加えすぎた結果、台風の大型化、各地での過去にないレベルの水害、経験のない夏場の気温の上昇など異常気象が多発していると思います。

2017年12月17日のNHKスペシャルで「激変する世界ビジネス“脱炭素革命”の衝撃」という特集が放送されました。ウォール街の投資は、「脱石炭」にシフトし、再生可能エネルギーの劇的な価格破壊を受け、2040年までにガソリン車禁止など急激なEVシフトが始まった。COP23では、脱退したはずの米国がエコ文明を打ち出し、中国が“脱炭素”のリーダーを目指すなど世界中のビジネスマンがパリに集結し、日本企業訪問団も“新産業革命”と言われるパラダイムシフトを目の当たりにした。日本は、トレンドに乗り遅れているとのことで、私もこれを見てH30年~31年には、世界のビジネスの動きが大きく変わると感じました。資本の流れが環境対策事業にシフトするその動きを追跡したいと思いました。

そのような背景の中で、今年の6月29日の日経で「機構変動リスクから考える持続可能な成長」と題するパネルディスカッションの記事がありました。地球の平均気温は、産業革命以後、すでに1℃上昇しており2030年から52年間で1.5℃に達する可能性が高い。そうなると昆虫の消失リスクも2倍程度、花粉媒介機能が低下、食糧生産が落ちる。更に砂漠化が拡大、永久凍土の面積も減少、農業生産量も漁獲量も減少する。気温上昇を1.5℃以下にするためには、2050年にCO2排出量を「0」にする必要があると言われている。ビジネス界の潮流として、ゼロエミッションの日本の共感度が低い、金融界でも持続可能な金融を念頭にSDGs推進もミッションと考えている。気候変動対策の潮流、世界の人々のマインドセット(思考法や価値観)が完全に変わった。

その転換のために創造と破壊が始まっている。21世紀にそぐわないものであれば、どんなにいいものであっても壊されていき、21世紀の社会が必要とするものを創っていく。そこにビジネスの好機がある。TCFD(気候関連財務情報開示)についても気候変動問題が金融リスクになり得る予想から事業の中でどのように対処するか、事業への影響と評価、その結果の開示の為のコンソーシアムが必要との見方。結果の開示が金融機関や投資家に評価されることになる。

2018年熊谷市で41.1℃を記録した。屋外で働く建設業などでは、大きな問題となる。リスクが高い地域では、損害保険料を上げる状況も必要。
カーボンプライシング(炭素の価格付け)が導入された場合、競合他者が低炭素・脱炭素製品を出せば市場での機会損失のリスクも増える。気候変動に取り組まない企業は、社会的評価が下がるだけでなく人材流出にもつながる。
TCFDの本質は、気候変動リスクが、もはや気候現象ではなく、企業リスクとして認知されたという事です。日本ではまだ気候変動対策を投資と考える概念まで至っていない。脱炭素という指標で見てみると米アップル社は、カーボンゼロを達成している。企業価値を拡大させるために有利であることを経営判断していると思える。

責任銀行原則とは、商業銀行はSDGsとパリ協定に沿った視点で、「銀行の資金は社会の資金であり、社会のために使うべき」という考え方。SDGsが求める世界を変革する目的で金融が何をすべきかを考えることが求められている。その事が金融機関の生き残りにつながる。損害保険業界は、地震が大きなリスクと考えていたが近年は、風水災の支払いが拡大している。保険業界の資金も存続の危機を視点に、環境問題対応企業に多く投入されることが予測される。2030年に選ばれる企業になるためにはSDGs取り組まない理由はない。「ESG投資」(環境・社会・企業統治に配慮している企業を選別して投資すること)が企業存続のキーワードになるだろう。パリ協定に反する国や地域では、ビジネスが存在しなくなると締めくくられている。

8月20日の日経記事では、「気候危機世界経済に打撃」「猛暑損失、30年までに250兆円」世界で異常気象が相次ぐ。
1.シベリア、アラスカなどで大規模火災が100件以上発生
2.欧州、熱波による猛暑が拡大、パリで42.6℃を記録
3.米国、中西部や南部で大規模洪水
4.タイ、干ばつで渇水相次ぐ
5.インド、北西部チュル市で50.8℃を記録
6.グリーンランド、1日で125億トンの氷河が解ける
温暖化の影響は、暑さだけではない。穀物価格の上昇が予測される、干ばつや洪水で農業収穫低下により食糧の安定供給に悪影響。屋外作業は暑すぎて働けず、労働時間の減少につながる。農業への影響が深刻で途上国への打撃は避けられない。

私が感じることですが、日本の国土の特徴からも、気温が上昇すれば今までの生活習慣、ノウハウが通用しなくなる。農業なども栽培品種を変える必要性とか、同じ栽培方法では従来通りの収穫できない状況が発生してくると思われます。漁業においても近海で取れる魚の種類が変わって、漁業の方法も従来のノウハウが使えないとか、新種の感染症が発生するなど。いろいろな問題が出てくる。

このような中で、我々ひとりひとりが具体的なアクションを起こすことが重要だと思います。環境問題に積極的に取り組んでいる企業の商品を購入するとか、再生可能エネルギー設備に投資するとか(生駒市では、一般社団法人が市民出資による市民発電事業を行っている)。私の知り合いの太陽光発電事業者から今から太陽光発電設備を設置する場合、病院とか学校に対して売電契約をすれば、金融機関が初期費用を融資してくれる。自己資本はなくてソーラー設備の設置が可能であるとのこと。進んでいる金融機関では、前述の新聞記事の内容を実践しているところがあるという情報を聞いています。
つい最近の関東を襲った大型台風で広範囲の停電が発生していますが、再生可能エネルギーで小さな範囲で電気の自給自足のシステム(小規模スマートグリッド)を作ることの必要性が大きいと思います。

私も2050年CO2排出ゼロを念頭に再生可能エネルギーの推進に微力ながら努力しています。環境問題は、現状のまま進めば地球は人の住めない星になる危機的状況であると認識していますが、原因は温暖化で疑う余地はないと思います。私の生活圏での温暖化対策の動きを見ているとのんびりしていると思えてなりません。一人一人が生活の中で出来る範囲のアクションを起こす必要が大きいと思います。
次世代の子供達に、住みよい自然環境・社会環境を残せるようにという思いで、対策の実現を願うばかりです。
今回、小泉進二郎氏が環境大臣に就任されました。活躍に期待しています。


<情報源&参考情報>
NHKスペシャル 2017年12月17日放送の内容
日経新聞記事 2019年6月29日、8月20日
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