森の歴史 西欧と日本の比較

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                    2020/02/28 第559号
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【森の歴史 西欧と日本の比較】

こんにちは。自然大好きアドバイザーE&H(エコ&ヘルス)です。

以前から、西欧の昔は、森で覆われていたと、ぼんやり意識していましたが、興味をもって調べてみるとやはりそうでした。
西欧は、キリスト教を中心に自然を征服するという人間中心の思想が主流のようです。
アジアは、自然を神として感謝の対象として、大切にする思想が主流のようです。
森の歴史の東西の比較を纏めてみました。

日本 ~紀元前14000年頃 旧石器時代 日本でも人類が生活していた遺跡
   がある。
西欧 紀元前60000年前 人類の生活の痕跡がある。

日本 紀元前14000年~紀元前400年ごろ 縄文時代
   縄文時代に里山出現 森を使って生活し始めた。稲作も大陸から伝搬
   山菜、キノコ、あく抜きのドングリ・トチの実を食べた。
   紀元前800年頃 自然信仰の日本神話が生まれた説がある。
西欧 紀元前 1800年前 クレタ文明 線文字 黄金のマスク発見
   古代~中世(476年)人々は、森を「異界」としてとらえていた。
   陸地のほとんど森林で、そこは、神・精霊・悪霊の世界で人が暮らす
   世界ではない
   どんな危険があるかわからないと恐れられていた。

日本 紀元前400年~250年 弥生時代
   農耕を主体とした稲作など盛んになり、木材需要も増加し森林の伐採
   も進んだ。
西欧 紀元前 776年 第1回_古代オリンピック開催の時代
   森は、超自然的な存在で深く入ると危険があると恐れられていた。

日本 250年~1400年 飛鳥、奈良、平安時代
   森林乱伐の為荒廃し、天武天皇が676年に「森林伐採禁止令」を発令
   平安京、平城京、神社仏閣の建築ブームにより森林の相当部分が失わ
   れた。
   木炭や塩づくりも盛んになり、製鉄も始まり、近畿などで人口増加も
   あり森林破壊が進んだ。
西欧 480年~1700年頃 中世、西洋史上で最も開墾運動が活発な時代
   キリスト教の使命に基づいて当時の人々は、森が減ると良いと思って
   いた。
   木はあらゆる生活道具につかわれ、また大航海時代の造船の材として
   も活用された。
   こうして森の神性は失われていった。ハチミツの為にも広葉樹林が伐
   採された。
   1500年頃には、西欧諸国は、ほとんど森を失ってしまいました。
   1700年頃には、耕作地の間にポツリとある状態になり美しいものとし
   て風景画の対象となった。1543年イギリスで森林保護令が公布された。

日本 1400年~1603年 戦国時代:室町時代、安土桃山時代
   その後の武家社会でも寺院・仏像・屋敷の建設、戦乱の炎で焼かれる
   など森林の乱伐は、続いた。戦国大名は、士農工商、城の建設など、
   社会は発展し、人口も3倍に増えるなど木材需要は、増加の一途。
   室町時代にスギ、ヒノキの植林を開始:本格的な人口林の最古記録。
   1550年から荒廃、洪水防止のため植林を推奨、安土桃山時代には数万
   本植林された。しかし戦乱や絢爛たる建築物増加により森林は使いつ
   くされた。
西欧 1700年~1900年~2020年 近代、現代
   鉄道の枕木、鉱山の坑木、電柱などインフラ建設の木材パルプ需要な
   ども増大。
   中世の末期から工業と建設業の進歩と都市建設、鉄、塩、銅、ガラス
   の製造業で大量の木材を消費。16世紀半ば砂糖の時代に燃料としての
   樹木が枯渇した。
   1850年以降木材から石炭へと移行が始まった。1965年にペストが大流
   行した。1666年ロンドン大火災が発生し5日間燃え続けた。1300の家
   と17の教会が焼失した。それからレンガや石づくりの家が増加してい
   った。
   西欧の森は、文明が圧倒的に勝利を果たし、森は、減少し害のないペ
   ットのような存在となった。18世紀からの産業革命により、人々が森
   にあこがれる気持ちを助長し、イギリスの有名な画家:ジャン=バテ
   ィスト・カミーユ・ユローは、都市の工業化に嫌気がさして田舎の自
   然に癒しを求める状態になっている。
   森がなくなり自然の浄化力が失われ幾多の疫病に襲われました。やっ
   と原因が森林破壊だと気づき植林を始めました。西欧は、ブナなどの
   広葉樹でほとんど人口林です。森の文化は浅く、高々150年というと
   ころでしょう。
   2005年の資料、森林面積率は、ドイツ31%、フランス28%、イタ
   リア33%、イギリス11%、アメリカ33%、カナダ33%という
   状況です

日本 1603年~2020年   江戸時代、明治時代、昭和時代、平成時代
   江戸時代になっても森林破壊は、止まらなかった。1710年には、本州、
   四国、九州、北海道南部の伐採可能な森林は、消失した。日本の各地
   に「禿山」が生じ洪水や台風被害が発生した。治水事業と森林保護に
   のり出した。1661年に林野資源保護の為「御林」として下草から枯れ
   枝まで採取を禁止した。
   17世紀後半、禿山から流出した土砂が開眼に堆積し風で砂が飛んだ。
   防止の為「海岸林」を造成した。江戸幕府の積極的な森林保護の結果、
   森林資源は回復に転じた。江戸の町は、緑被地率は42.9%で世界でも
   まれな緑豊かな都市になっている。
   明治維新で政治的混乱の中、乱伐が行われ再び里山の森林が荒廃に向
   かった。近代産業の発展により燃料としての薪炭と開発による建築需
   要増大で、過去の日本で最も森林が荒廃した時期と推定。1897年明治
   政府は、保安林と営林監督を柱とする「森林法」を制定し、禿山修復
   と治水事業による国土保全、林業強化が進められた。
   ところが、1941年太平洋戦争で木材や木炭が必要となり伐採が進み全
   国で禿山と化した。1950年に「国土緑化推進委員会」が結成され森林
   資源の造成、国土の保全、生活環境の緑化が推進された。昭和20~30
   年に復興の木材需要が急増、「拡大造林政策」を実施し成長が早いス
   ギ、ヒノキの人工林に置き換えられた。当時は、建築材として高価で
   一大造林ブームとなった。ところが外国産の安い木材が輸入され国産
   材が売れなくなった。同時に家庭の燃料がガス・石油に代わり国産の
   林業は、価値を失い必要な手入れが出来なくなり森としての健全性が
   失われて荒廃してしまった。現在の日本の森は、木の使い過ぎによる
   危機でなく木を使わなくなった事による史上発の危機を迎えている現
   状であります。

日本は、国土の68%が森の国です。先進国中、群を抜いています。
森は自然からの贈り物として、大切に守って行きたいですね。

<情報源:参考資料>
日本の森の歴史
西洋における森の歴史
明治大学農学部研究発表
NOCオーガニックコットン流通機構
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■ 発行:くらしの情報発信研究会
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