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COP26が目指したもの

こんにちは。旅のアドバイザーのさくらです。
今回は、イギリスのグラスゴーで開かれたCOP26で、南太平洋の島国ツバルの外務大臣が「私たちは気候変動と海水面上昇の現実の中で生きています。明日を守るために、私たちは今日、勇気ある代替策を取らなければならない。」と海に膝まで浸かりながら訴えた映像を見て思ったことです。

気候変動の悪影響を回避するために必要な取り組みについて、加盟国で話し合う国連気候変動枠組条約第26回締約国会議 (COP26) が、2021年11月13日に終了しました。
京都議定書が結ばれた1997年のCOP3から地球温暖化は進み続け、気象庁のデータによると100年間で日本の年平均気温は1.26℃上昇しています。

今年のCOP26の目的は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする前段階として、2030年までの取り組みを決めることでした。専門家たちは2030年までに2010年比で温室効果ガスを約45%削減し、産業革命前からの気温上昇幅を1.5℃に抑える努力をすべきと主張していました。

しかし正式な目標として認めることで、2030年までに大幅な削減を実施することにも賛同しなくてはならないため、各国の意見がまとまらず、採択された「グラスゴー気候合意」では、世界全体で1.5℃を目指すことは確認されましたが、表現は弱められました。議長は「この終わり方について謝ります。本当に申し訳ない。しかし合意全体を守るためには、不可欠な対応だった。」と涙ぐみました。

議長国のイギリスは二酸化炭素排出量が多い石炭火力の「段階的な廃止」を目指していましたが、インドや中国が反対し「段階的削減」に変更されました。東日本大震災以降原発稼働を減らし、石炭火力発電の割合が多い日本も、他の先進国から批判を浴び、世界130か国のNGOのネットワークからは、温暖化対策に消極的だった国に与える「化石賞」に選ばれてしまいました。

南太平洋では海水面上昇の影響が大きく、110年間で海水面が19センチ上昇したと言われています。
影響は日本でも起こっています。大型で強い勢力の台風の増加、高潮による浸水、毎年繰り返される100年に一度の想定外の水害、猛暑続きの夏などです。

日本の地球温暖化対策計画は、2021年10月22日に閣議決定されました。内容は「2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けること」となっていますが、かなり厳しい目標です。産業界は技術革新に努めるでしょうが、私たち消費者も製品を選ぶことや生活を見直すことで、「ONE TEAM」として温室効果ガス削減に取り組まないといけない問題です。

私達は電気や石油由来の製品を使わない昔の暮らしに戻ることは不可能です。しかしこのままでは、子供や孫たちの世代に大きな負の遺産を背負わせることになります。まずは身近で出来ることから始めてみるのはいかがでしょうか。
・暖房の効かせ過ぎや点けっぱなしに注意して電気やガスの使用量を抑える
・自家用車は使わず公共交通機関や自転車、徒歩で出かける
・プラスチック容器の製品をできるだけ買わず、詰め替え用などを利用する
・発泡スチロールのトレイで包装されていない食品を選ぶ
・地産地消を実践する
・ライフサイクルアセスメントを考慮して商品を選ぶ
・プラスチックや紙類はゴミにせず、自治体やスーパーなどの回収に出す
・3R(リデュース(Reduce),リユース(Reuse),リサイクル(Recycle))の実践
・買い物に出る前に冷蔵庫をチェックしメモをして、食品ロスを減らす
・安かったからを衝動買いの言い訳にしない
・家を新築する際には、太陽光発電を検討する
などなど、できることは沢山ありそうです。我慢するのではなく、うまく楽しみながら実践できたら良いですね。

COP会議は毎年開催され、会場の外では多くの市民や若者が集まり、デモ行進も行われています。スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんをはじめ、若者たちが大人たちに本気の対策を要求しているニュースも目にするようになりました。各国がどのような主張や取り組みを示しているのか、地球温暖化が具体的にどのような影響を世界にもたらしているか、年末年始に家族で話し合うのもいいかもしれませんね。

■参考サイト
日本の年平均気温偏差の経年変化(1898~2020年)(気象庁)
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html
地球温暖化対策推進法と地球温暖化対策計画(環境省)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/domestic.html
COP26閉幕:「決定的な10年間」の最初のCOPで何が決まったのか?
(国立研究開発法人国立環境研究所 社会システム領域)
https://www.nies.go.jp/social/navi/colum/cop26.html

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