77についてのお話
こんにちは。身近な数字のアドバイザーのナカナカです。
今回は「77」、兵庫県道77号についてのお話です。
県道77号(主要地方道篠山山南線)は、近畿地方を南北に横断する二つの国道175号と176号を連絡する東西の路線です。篠山川の渓谷に沿って走る風光明媚な道路で、JR福知山線も並行しています。
2006(平成18)年8月、この県道の傍で大発見がありました。丹波市に住む二人の地学愛好家、足立洌さんと村上茂さんが目を留めた1センチほどの灰色の突起物が、なんと体長15mもの大型植物食恐竜(竜脚類)の化石の一部だったのです。
通称「丹波竜」、正式名称「タンバティタニス・アミキティアエ」は、川代(かわしろ)渓谷の赤茶けた泥岩層から発見されました。そもそも丹波篠山市と丹波市の一部に広がる「篠山層群」は、前期白亜紀の約1億1000万年~1億年前にできた地層で、丹波竜以外にも世界的に貴重な化石の発見が続いています。
兵庫県の東の端に住む私は、化石発掘現場に二度足を運んでいます。一度目は2009年頃だと記憶しています。舞鶴若狭自動車道の「丹南篠山口IC」から県道77号を西に、当時は案内標識も何もない田舎の県道を、新聞記事だけを頼りに手探りで発掘現場にたどりつきました。
最初の化石発見からおよそ10年経った2017年に再訪してみると、県道77号線の丹波篠山市大山下から丹波市山南町谷川までの区間は「川代恐竜街道」として立派に整備されていました。当地では、「篠山層群」とそのまわりの地域一帯を「丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム」とする取り組みが展開され、県道沿線には丹波竜などの化石にまつわるいくつかの施設が配されています。
丹波竜の巨大なモニュメントが迎えてくれる「丹波竜の里公園」には、ユーモラスな恐竜ベンチもあります。私が訪れた時は夏でしたので、青々とした水田の中から突然大迫力の恐竜の首が現れてびっくりしました。「丹波竜化石発見地展望台」までは公園から歩いて行けます。車を利用する方には公園近くに化石発見地見学者用駐車場がありますが、駐車場横の「元気村かみくげ」では、定期的に化石発掘体験が行われていて、この体験会に参加した小学生が鎧竜類の歯の化石を発見したこともあるそうです。
県道77号線をさらに西へ走ると、丹波市役所山南支所の隣に「丹波竜化石工房ちーたんの館」があります。ここには丹波竜をはじめとする篠山層群から発見された恐竜の全身骨格や、発掘現場を再現した展示のほか、化石のクリーニング作業工程がガラス越に見られる工房があります。ちなみに「ちーたん」は丹波竜のマスコットに付けられた愛称です。
恐竜化石の発掘現場というと人里離れた大峡谷や砂漠がイメージされますが、丹波地域は「篠山層群」の上に農村風景が広がり、人々がそれを利用しながら暮らす「農村風景と恐竜が共存する」世界的にもまれな地域です。発掘調査に欠かせないボランティアを地元から容易に集めることができる地の利は、県民参加型発掘調査のうねりとなって、忙しい専門家だけでは対応できない小さな化石の発見につながっているそうです。
真冬に削岩機を使っての発掘は相当な重労働だそうですが、石割りのボランティアなら高齢の私でもできるかもしれません。もし県道77号沿線に移住したらと、私の妄想は膨らみます。毎日歩いて発掘現場に通いハンマーで石を砕き、化石がみつかれば仲間と喜びを分かち合う。日が暮れて家に帰れば専門家から聞いたばかりの地層の話を孫に聞かせ、恐竜の夢を見ながら眠りにつく。あこがれのシニアライフと思うのは私だけでしょうか?
恐竜や化石に関心のある方は是非一度県道77号線に足を運んでみてください。川代公園キャンプ場にかかる全長90メートルの吊り橋から篠山川を望む景色も素晴らしいですよ。
■参考サイト
丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム
https://tamba-fieldmuseum.com/