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終身雇用はいつまで頑張って維持できるか

経団連会長やトヨタ社長が終身雇用の雇用慣行に対する懸念を立て続けに表明しており、時代の移り変わりを感じます。

トヨタ自動車は過去最高益を更新していますが、たとえ、現在最高益をあげたとしても、遠くない未来においては自動車産業と情報通信・AIと移動が融合して、これまでのように、優れた『車屋』というだけでは生きていけなくなる、という危機感が背景にあるのでしょう。

産業構造が激変する中で、 トヨタでさえも存在意義を賭けて生き残りに必死な中で、どんな企業が『終身』という40年後のことまでをどうして保障できるのか、産業構造を大幅に転換していかないと日本の雇用は今後も維持できないという危機意識の現れでしょう。

そもそも、終身雇用型雇用慣行であった高度経済成長期は、「明日はもっと良い日だ」という世間のムードがあり、20年、30年先も未来はより成長していると考えていましたし、実際そうなってきました。

しかし、先行きが不透明で経済状況も自社の将来についても、誰もわからない、けれど必死でなんとか頑張っている中で、どんな企業が終身雇用を保障できるのでしょうか。

いま大事なことは、一社での終身雇用ではなく、社会全体で終身雇用されるような、人材移動の負担軽減や、日本全体で見た労働力の最適配置となるような雇用法制です。

終身雇用の正社員、に対するこだわりは誰もが強いものを持っているでしょう。しかし、それに拘りすぎると、日本全体での最適配置ができずに、結果として、全体で沈没してしまうのは非常に怖いことです。

誰もが先行きが見通せない時代に突入する中で、高度経済成長期の幻想をずっと引きずっても、前向きな流れにはつながりません。

今後は、労働者が終身に渡る忠誠を企業に捧げる時代ではなく、現在何が貢献できるのか、企業にとっても優秀な人材をいかにして自社に引きつけられるのかを常に見直していかなければならない難しい時代に入ったと言えるでしょう。

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日本の雇用社会はどうあるべきかを考える企業労働法の弁護士。倉重・近衛・森田法律事務所代表。 第一東京弁護士会労働法制委員会外国法部会副部会長、日本人材マネジメント協会執行役員 著作はこちら https://amzn.to/2E0vocP https://kkmlaw.jp