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パワハラ法制化と「イラッ」と来たら6秒待つことの重要性

先日、ハラスメントの中でも一般によく聞かれる、パワーハラスメントに関する法改正が成立しました。

実は、これまでパワハラについては直接規制する法律がなかったのです。同じハラスメントの類型として有名なセクハラは男女雇用機会均等法が、そして、妊産婦に対するハラスメントとしての「マタハラ」は男女雇用機会均等法及び育児介護休業法でそれぞれ規制されていました。

しかし、パワハラについては直接的な法律がなく、民法という一般的法律の中の不法行為(民法709条)により、「社会通念」を逸脱する行為がパワハラとして違法とされていたのです。

今回の改正により、企業はパワハラ防止義務を負うことになり、方針の表明、相談窓口の設置や、再発防止策などを講じなければならないことになります。

悪質なパワハラは職場の雰囲気を悪化させるだけでなく、健康被害や就労意欲を害するところから許されるべきではありませんが、難しい点もあります。

それは、ハラスメントの中でも、パワハラは、「業務の延長線上として行われる」という点です。

例えば、ミスをした部下を叱責するという点を捉えても、「ミスが今後生じないように指摘し再発防止策を検討する」ということは管理職としてむしろやらなければならないことです。

しかし一方で、叱責の程度が過ぎて、3時間立たせて説教する、全員の前で大声で怒鳴り続ける、「会社に寄生するウジ虫が」(実際裁判例でこのような例がありました)など誹謗中傷レベルの発言を行うことなどは許されません。

では、違法なパワハラと管理職としてやるべき注意指導の線引きはどこにあるでしょうか。

記事の中では、今後厚労省において指針が作られるとのことですが、「業務上必要な範囲を超えて」という点がポイントになってくるでしょう。

業務に必要な範囲はどこまでなのか、この点の判断をするには、発言のみならず、前後の経緯や文脈、当事者の関係性などを踏まえて判断する必要があるため、パワハラの判定は難しいのです。

とはいえ、「誰が見ても明らかにやり過ぎ」というレベルのパワハラはまだまだ多く見られます。

なので、まずは「やり過ぎ」レベルのパワハラを無くしていくという企業風土を作っていく必要があるでしょう。

最後に、パワハラ防止を理由に、管理職の指導が萎縮することがあってはなりません。冷静に、事実関係を指摘し、会議室など関係者の中で再発防止を検討すること自体は基本的に問題ありません。

危ないのは「イラッ」と来たときにそのまま言葉を発してしまうことです。

アンガーマネジメントとよく言われますが、「怒ったときには6秒まて」を心がけて、冷静に指導するように心がけましょう(言うは易しで自分が実践するのはなかなか大変なのですが)。

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日本の雇用社会はどうあるべきかを考える企業労働法の弁護士。倉重・近衛・森田法律事務所代表。 第一東京弁護士会労働法制委員会外国法部会副部会長、日本人材マネジメント協会執行役員 著作はこちら https://amzn.to/2E0vocP https://kkmlaw.jp