精神障がいの人が自ら進んで障がい者グループホームに入りたい人はどのくらいいるのだろう。

日ごろ精神障がい者の方やご家族と交流させていただくなかで、住まいの話が出ます。

そこで、障がい者の住まいとして障がい者グループホームの話題がけっこうな頻度で出るのですが、いろんな話を聞く限り、グループホームでの暮らしを希望される方のほとんどは「精神障がい者の親」で、当の精神障がい者当事者本人が積極的に希望していると聞くことは比較的少ないです。

精神障がいのある方はコミュニケーションが苦手が方が多い。しかしグループホームは集団生活だからコミュニケーションが苦手な精神障がい当事者の方が積極的に住みたいという話はあまり聞かないのですね。

もちろん、グループホームなら世話人や生活支援員がいるから安心だというのは理解できるのですが、それって親の安心だったりする。

グループホームへの入居を希望しているのは精神障がい者本人ではなく「親御さんが希望したから入居した」という方が少なからずいらっしゃいます。

私は様々な支援を受けながら、現在は自立している障がい者として生きていますが、もし仮に自立できていない状態なら、親が私にグループホームへの入所を希望していると知れば私自身が望んで入所するのではなく「親のため」「親の安心のため」に入所を決断するかもしれません。

「集団生活は苦手だけどグループホームへ入所するしかないよね。自分さえガマンしたら両親は安心してくれるのだから」

そんなふうに考えて、半ばあきらながらグループホームへ向かうと思う。
でもそれって本人が心から望んでいないのなら、それって誰の幸せが叶ったのだろうと思ってしまう。

でもね。

もし、当事者本人の可能性を信じてくれたなら、住みたい地域で、住みたい間取りのアパートで、自立した生活を目指して頑張ってみたいと考える精神障がいのお子さんはけっこういらっしゃいます。

わが子の幸せを願う親御さんが障がい者グループホームを勧めたい気持ちはわかるのですが、実際のところ親の思いを優先していたとしたら、お子さんは悩んだ末に妥協した結果の結論かもしれないのです。

本人が望まない住環境を、親の都合優先で押し付けるのではなく、私たちくらしケアのような、居住支援と相談支援、そして精神科訪問看護を得意とする団体に相談していただけたら、ご本人と親御さんの意思を最大限に尊重したうえで最適解を提示することはできます。

親御さんが「これなら安心」と思っていただける住環境を、地域のどこにでもあるアパートで実現させます。

私たちは、たとて障がいがあっても、当事者が潜在的に持っている無限の可能性を信じて支援させていただいています。

だから、「うちの子に一人暮らしなんて無理に決まっている」と決めつける前に、私たちに相談してください。

その「無理だと思っていたくらし」を、きっと実現してみせます。


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