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電車を乗り継いでたどり着いた先には…

そうだ 伊根へ行こう

3月にいつも旅行をする

ふと思った

そうだ 伊根へ行こう
舟屋が見たい
ついでに天の橋立も見に行きたい

まずは宿泊先の確保
あいにく伊根のお目当ての宿も
めぼしい宿も満室だったので
天の橋立が
よく見えるホテルを予約

京都は何回も行ってるけど
北部の方は未経験

わたしにはある計画があった
関西にいる子どものところへ行き
車を借りて
一緒に伊根から天の橋立まで
まわろうというもの

子どもには会えるし
行きたいところへ行けるし
我ながらいいアイデア

チケットも抜かりなく予約
荷物も準備万端
グルメもチェック
あとは行くのみ

のはずだった

まさかの計画変更

子どものところへ行くまでは
おおむね予定通り
合流して
いざ出発というときに
アクシデントが起きた

車が動かなくなったのだ

そういう時って
どうします?

わたしはまず
ホテルをキャンセル
しなくちゃって考えた

当日だから
もちろん全額支払い
でもしょうがない
車がないんだから行けない

すると夫がレンタカーを
借りることを提案

今から借りれるところが
ある?

一応問い合わせ
3軒電話してみたけど
やっぱりなかった

しょうがないよ
もうキャンセルして
今日は近くの
どこでもいいからホテルとって
とれなかったら
子どものところに泊まって
神戸で遊んで
明日予定通り帰ろう

わたしのなかでは
ほぼその方向に動きかけてた

あきらめない人がいた

子どもがネット検索
電車で行けそうだよ

特急や高速バスは
多分今から座席は取れない

急行や快速を乗り継いで
行けないことはない
でもうまく乗り継いで
行けたとしても
着くのは20時近い

伊根を回るプランは
その時点でなくなり
美味しい海鮮ランチもなくなった

着く頃には真っ暗だから
天の橋立も見れない
ホテルの部屋は天の橋立ビューだから
翌朝には見れると思うけど

でも行こうって
スイッチが入らない

だって予定外のルートで
たどり着けるのかも分からない 
ほんとに未知の道

わたしは見通しが持てない状況には
ほんとに弱い
気持ちは
旅行を中止して帰りたいモード

でも二人は言った
行けるよ 行こうよ
って

そうだった
しないことリストのひとつ
最短の道を探そうとしない

行ってみようかって
やっと思えた

見るはずのなかった景色

そこからは
初めて経験する
スケジュールもルートも
電車の時刻しだい
スマホで次の電車を検索しながら
天の橋立を目指す旅

車で移動してたら
乗ることもなかった
路線や電車
とくに丹鉄
 素敵なデザインの車両
 駅員さんのあったかい対応

車窓から見える景色も
車だったら見ることのない景色

さすがに後半は
薄暗くなってきて
なんだか心細さが増してきたけど
でも
丹鉄はちゃんと
わたしたちを
宮津まで運んでくれた

あきらめてたら見れなかった景色

不思議な感覚だった

計画外のこと
未定なことを
その都度判断して
選択する

でもいやじゃなかった

ちゃんと行ける
それしか考えないでいられた
信じて進むしかないんだから

翌朝は快晴

窓からは
天の橋立が見えた

思ったより遠い‥

帰りの電車の時刻を考えると
天の橋立の近くまで
行ってる時間はない
ここから眺めるのみ

ほんとうは
股のぞきっていうのを
やるつもりだったけど

でもいい

あきらめないで
来ることができたんだから

あきらめてたら
見れなかった景色が
そこにあった

道はいくつもある

人生が山だとしたら
わたしたちは登ってる途中

目指す頂上は
それぞれ違うし
ルートも違う

そして
決められたルートを進むのではなく
どのルートを行くのかは
自分で決められる

変更もいい
ショートカットもアリ
戻ることだってある

一人で登ってるときもあるし
途中一緒に登ってくれる人も
いるかもしれない

どんなルートでもいい
どんなスピードでもいい

道はいくつもあって
自分で決めていい






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