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コントロード 第四十六話「悪夢のDVDタイトル」

キングオブコントでも連続で準決勝までは進出し、それなりに評価を得てきた僕らツィンテルに新たなお仕事が舞い込んだ。

コントDVDの発売である。

DVDを発売するなんて、売れた芸人だけに許された特権だと思っていたからこの話が来た時には驚いたものである。

まずはネタ収録の前にDVDのタイトルを決めなくてはいけなかった。

僕らはコントの途中でタイトルを言うスタイルをとっていて、そのタイトルも映画や曲名をもじったものが多かったので、DVDのタイトルもなにか映画みたいな感じにしようと決まり、あれやこれや考えていた。

「死ぬまでにしたい10のコント」

というのを僕が出し、これで行くかとなっていたのだが、

ここでセトさんが閃く。


「『ネターミテーナー』は?」


そう、シュワちゃんことシュワルツェネッガー主演の名作アクション「ターミネーター」をもじったタイトルだ。

これはいい!

ジャケットの感じも想像できるし!

ネタを見て欲しいという気持ちもこもっている!

これで決まりだ!


多分あの時の僕らは考えすぎて頭がどうかしていたのだろう。


このタイトル「ネターミテーナー」は、同日に発売されたジグザグジギーのDVDタイトル「2008-2012 BEST」という至ってシンプルなタイトルとも比較され、これから解散までの数年間、芸人たちにイジリにイジラれることになる。その上特典映像ではジグザグジギーと座談会トークをしているものだからジグザグジギーにとっては「今や存在しない、ダサいタイトルのDVDを出したわけのわからない二人組とのトーク映像」となってしまって、大変辛い思いをさせている。申し訳ない限りだ。

K-PROライブでよくMCをやっていたスパローズさんがこの「ネターミテーナー」を死ぬほどイジってくれていて、もはやコンビ名よりもDVDタイトルの方が独り歩きしてしまうことすらあった。ツィンテルファンも一時期「ミテーナガールズ」と呼ばれている頃があって、ツィンテルファンであることを公言するのも恥ずかしい思いをさせるタイトルとなってしまい、ファンにも多大なる迷惑をかけた。すまない。

芸人の中では勝手に第2弾を出すなら次はこんなタイトルにしようと大喜利が始まったりして、ジンカーズの馬場さんの「ネターエンディングストーリー」が第一候補となった。出すことはなかったけれど。


すべてはセトの責任だ。


スタジオでのDVD収録は今となっては流行り? の無観客で行われた。

無観客の方がネタに集中できるというアドバイスを聞いてのことだったが、映像を見てやっぱり観客入れれば良かったなあと思っている。ジグザグジギーも無観客だったが、彼らのネタは一つ一つが短いし、ポップだから良いが、僕らのネタは笑い声があった方が良かった。ミテーナガールズたちに来てもらえば良かった。

たしか収録当日はジグザグジギーが先に撮ってその後僕らだったのでかなり長い時間待たされた記憶がある。なんせ一本一本が短いネタの彼らのこと、着替えや準備がものすごく大変そうだった。

ネタの前に僕らのDVDにはちょっとしたオープニングVがあって、これもまた「ターミネーター」を彷彿とさせる絶妙にダサい仕上がりとなっている。

そしてこのDVDを発売した年、見事ジグザグジギーは初のキングオブコント決勝に進出、僕らはいつも通り準決勝敗退。DVDのダサさ加減も相まって完全に追い越されたんだったっけな。

そんな僕らのDVDを買ってくれた皆さま、そしてミテーナガールズたち、本当にありがとうね。

若手芸人さんたちはDVDを出す機会があったらタイトル選考ではしっかりと周りの意見を聞くようにしよう。

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(第四十七話につづく)



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