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コントロード 第五十五話「優しすぎて困る人~いとうあさこさん~」

この人のことも書かなければなるまい。

いとうあさこ先輩。

あさこ姐さん。


あさこさんは、ちょうど僕らがマセキに入る前くらいからレオタードを着た南ちゃんのネタで大ブレイクした大先輩で、最初のうちはライブでも何度かご一緒した。

その後は前にも書いたように前説の仕事をやっていた僕らがあさこさんに会えるのは番組の収録前となった。

あさこさんに会えるのは当時は「ヒルナンデス」と「メレンゲの気持ち」で、楽屋にご挨拶に行くといつも楽しく話してくれてご挨拶に行くのが楽しみだった。

あさこさんはいつも老体に鞭打って頑張ってしまうので、常にどこかしら身体を痛めている。

「いい年なんだから無理しないでくださいね」

と言うと腰や膝をさすりながらわかったわかったと言ってくれるのだが、いつも無理をしてしまう困った人だ。

また、あさこ姐さんはいつもいつもとても優しく気遣ってくれる。度が過ぎるくらい気遣ってくれるのでそれも困ってしまう。

僕は先輩からメールやLINEを頂いた時は、先輩からのメッセージで終わらせるのは何となく失礼に感じて、最後はなるべく自分のメッセージで終わるようにいつも心掛けているのだが、あさこ姐さんの場合は、いつまで経っても返信を返してくれるものだからやり取りが終わらない。

Twitterでさえ何度も返してくれるので、しまいには、忙しいのに僕なんかとのやり取りにこんなに時間を使わせてはいかん! という気持ちと、でもこのまま終わらせてしまったらそれはそれで失礼なのでは? というせめぎ合いに苛まれて、最終的にはあさこさんのリプライをいいね♡して終わらせるという、結果的に一番失礼な感じの対応をせざるを得ない。

たまたま光栄にもご一緒させてもらった番組の収録の時も、僕らの楽屋に貼ってある「○○様」という貼り紙が間違っていたのを見てわざわざスタッフさんにそれを言いに行ってくれたり、解散してから舞台でご一緒させてもらった時も演出の方に「ガクをどうぞよろしくお願いします」と頭を下げてくれたりする。

あさこさんを見ているとよく言われる「売れている人はみんな人格者」という話は本当だなあと思うが、あんなにも気遣いができなければいけないのかと途方に暮れる部分もある。優しいし、人格者だし、恋愛スキャンダルもあるわけがないし、完璧じゃないか。


あさこ姐さんは親切すぎて僕は一生頭が上がらない。


そして、それは僕だけに限った話でもないようで。


以前にも書いたが、マセキに入って2年目くらいの時の僕の母親の葬式にまでどうスケジュールをつけてくれたのかわざわざ駆けつけてくれた。

その当時のあさこさんと言えば本当に尋常じゃない忙しさだったはずなのだ。

僕はまだマセキに入って2年目くらいの若手だったというのに。

葬式の弔問客に目を疑ったのは後にも先にもアレが初めてだ。

神妙な顔の葬儀屋さんのテンションも上がってしまったんだから。


それ以来ウチの父親は酔うたびに口癖のように

「あさこさんと飲みたいなあ」

と言うようになってしまった。

飲んだら同じ話を4回も5回もして、僕の話はこれっぽっちも覚えていない父親に忙しいあさこさんのスケジュールをまた割いてもらうわけにはいかないのでいつもごまかすのだがそのことだけは忘れてくれない。困ったものだ。

というわけでツィンテルの二人だけでなく、倉沢家は親子ともどもあさこさんには頭が上がらないというわけ。

(第五十六話につづく)



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