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石田和也さんの酒杯〜クラフトからアートの領域への到達〜

画像は、倉敷美観地区に店を構える備前焼のセレクトショップ・倉敷一陽窯のガラス戸の中に大切に保管・展示されていた酒杯です。

高さ7cmほどの小さな器ですが、トルネード・ラインがクレッシェンドからデクレッシェンドに変化し、見る人の精神を解放してくれます。まさに、アートの領域に到達した造形物です。

石田和也・作 酒杯

作者は新進の備前焼作家、石田和也さんです。石田さんには、倉敷一陽窯で開催された備前焼の実演イベントの際に直接お会いし、お話ししたことがあります。石田さんは意識の力が強い方で、土と無意識のやりとりをしながらも、いつもは隅々まで意識によってコントロールして作り込んだ作品を仕上げている、とお見受けしていました。

しかし、この器は、石田さんの精神に、ふっと、何かが外から降臨し、意識によるコントロールが解放された痕跡を感じました。備前の土がもつ「万物の生気」がふわっと空中に解放され、器が器として閉じるのではなくて、世界と通じて、世界に拡がって、繋がっている感じです。

おそらく、石田さんにとって、自分から意図的につかみに行けない、待つことでした得られない感覚なので、特別な作品になったのだろうと想像しました。

追伸
酒杯は、筆者の誕生日に、記念に購入しました。

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