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新見へ行ってきました。「生誕百年・堀文子展」

2019年6月1日、新見へ行ってきました。新見美術館で開催される「生誕百年・堀文子展」を観るためです。JR倉敷駅から伯備線の普通電車で、1時間10分で新見駅に到着します。駅に到着すると山の香りがします。農協や飲食店が並ぶ通りを歩いていると、道すがら、豪華な大輪のクレマティスの花と出会いました。新見市はコンパクトな街で、駅から10分ほどで市街地の南の外れにある新見美術館に到着します。

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大輪のクレマティス

美術館の建物は、入り口の門から山道を登ったところにあり、藤やシャクナゲが植えられた公園をトレッキングしながら向かいます。残念ながら花の季節は終わっていましたが、広葉樹の森の中を歩いていると、無意識のうちに呼吸が深くなります。木々から流れ出る澄んだ空気に体が反応したのでした。その日は、展覧会の初日で、女優の檀ふみさんの講演も予定されているためか、美術館の玄関に到着すると、もう既に多くの人が開館を待っていました。開館とともに入場すると、ロビーで取材を受ける、女優の檀ふみさんを見かけました。

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取材を受ける女優の檀ふみさん

堀文子は、今年の2月に100歳で亡くなっています。亡くなる直近まで作品を発表し、生涯、創作意欲が衰えることがなかったこと知られています。皆さんがよく知っている作品に、「アフガンの王女」があります。タレントの黒柳徹子さんをモデルにした作品で、長寿番組「徹子の部屋」のスタジオ・セットに複製画が飾られているのを見たことがあるのではないでしょうか?ちなみに、本展覧会では本物に出会えます。

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アフガンの女王(2003年)*

堀文子は、「群れない、慣れない、頼らない」をモットーにしていた人です。神鬼迫る生き方をした人かと想像するのですが、生み出された作品は、風景、花、絵本の挿絵、動物、微生物、果てはアスファルト道路のひび割れまで幅広く、力みが無くて自然体というか、躍動と静けさとユーモアがあるものでした。

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極微の宇宙に生きるものたちⅡ(2002年)*


展示会場を3巡回し、檀ふみさんの講演も楽しく拝聴し、館内のカフェで高梁川沿いの谷あいにある新見の市街を眺めながらコーヒーを飲んで、美術館を後にしました。駅への帰り道、途中の民家の軒先に、不思議な花が植えられていました(後で調べたらヒペリカム・アンドロサエマムというヨーロッパ原産の花でした)。

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ヒペリカム・アンドロサエマム

花とつぼみと実とが同時に出ていて、色も明るくカラフルで、しかも花は爆発したようなおもしろい姿で、まるでおもちゃ箱のようなにぎやかな雰囲気です。堀文子は、好奇心の塊のような人で、自身を「世の中の不思議さ、美しさ、感動したものを記録する職人」と称していたので、図らずも、そんな世界観と合致するような、花との出会いが用意されていました。新見はさりげなく不思議な魅力のある町です。

(2019年6月5日)

倉敷でヒペリカム・アンドロサエマムの化身に出会いました。アトリエ1/F 丸山昌子さんの七宝焼き・ブローチです。

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丸山昌子・作 七宝焼き・ブローチ

(2021年5月22日)


*絵の画像は、「生誕100年堀文子展 旅人の記憶」より引用しました。

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