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倉リハ検食日記 2020年夏から秋へ

倉リハ給食部のスタッフは、限られた費用の中で、安全で、おいしく、治療効果のある食事を提供するために日々様々な工夫をして奮闘してくれています。医療機関では患者さんに食事を提供する際に、医師による検食が義務づけられていますが、検食を通して、そんなスタッフの熱意をお伝えしたいと思います。

なお、ライブ感を大切にしたいので、後から推敲や編集をせずに、食堂のテーブルで記述したそのままに、発表しています。


7月3日(金)昼

炊き込み御飯 味噌煮(さわら) 付け合わせ(小花麩) 酢の物(きゅうり) ソティ(ホウレン草) ジョア

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炊き込みご飯は、角のない、やさしい炊き込みご飯です。

さわらは、ほくほくと弾力のある身です。少しねっとりした鯖との違いがよく判ります。

付け合わせの小花麩は、とろっ・まったりとして和めます。

ホウレン草のソティは、玉葱がしゃっきとして元気を与えています。

まったりとして、濃いジョアです。

色鮮やかで、清々しい酢の物です。

梅雨のこもった感じと、梅雨明けへの期待(快活さ)がよく表現された一膳でした。


7月6日(月)朝

御飯 炒め物(玉葱) 大根サラダ 味噌汁(里芋) 牛乳

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玉葱の炒め物がベーコンによるコクで、エネルギー感が出ています。

大根サラダは、早朝のさわやかさを表現しています。

味噌汁は、少しひねた里芋が存在感を出しています。

牛乳は、ざらつきがあって、季節の境目を表現しています。

梅雨から盛夏へ移りゆく、季節感が感じられた一膳でした。


7月10日(金)昼

寿司 煮物(肉団子) お吸い物 フルーツ(キウイ)

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寿司は錦糸卵が主体の、おとなしい、こもった感じの寿司です。

肉団子の煮物は、軟らかく甘い味付けで、角がない仕上がりです。

脇役のキウイが甘酸っぱく、唯一インパクトを持たせてあります。

雨天が続いているので、その気分に寄り添った、全体としてしっとり、おとなしい一膳でした。


7月13日(月)朝

御飯 炒り豆腐 ナムル(ホウレン草) 味噌汁(白菜) 牛乳

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炒り豆腐は、素朴な菜園のような、懐かしさが染みるお味です。

ホウレン草のナムルは、熟成した味わいです。

白菜の味噌汁は、スーパー野菜である白菜のパワーで濃厚かつまろやかです。

牛乳は滑らかです。

巣ごもりに寄り添ってくれる、包容力のある一膳でした。


7月17日(金)昼

御飯 葱焼き(さわら) 付け合わせ(黄ピーマン) 含め煮(肉団子) 南瓜サラダ フルーツ(白桃缶)

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さわらの葱焼きは,酵素の力で旨味と臭みが増強されています。燻製ぽさがあり、複雑な味わいです。

付け合わせの黄ピーマンには、軟らかく調理され、食感の意外性に面白味があります。

肉団子の含め煮は、甘くて和菓子の様です。

南瓜サラダは甘さ控え目の砂糖菓子のようです。

白桃缶は成熟してトロミがたっぷりとあります。

大人の駄菓子屋という感じで、楽しめました。


7月27日(月)朝

御飯 煮物(かぶ) スパゲッティサラダ 味噌汁(茄子) 牛乳

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御飯には粒立ち感があります。

かぶの煮物は、おとなしく舌にやさしいかぶです。

スパゲッティサラダは、甘くしっとりしています。

味噌汁の茄子は、主張しない茄子です。

牛乳は、甘くて、伸びを抑えた牛乳です。

感染禍で高ぶっているときに、落ち着けるありがたい朝食でした。


7月31日(金)昼

キチンライス かに風味卵焼き 漬物 フルーツポンチ コーンポタージュスープ

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チキンライスには粘りと重量感があります。

かに風味卵焼きには、どっしりとした存在感があります。

漬物は汁が多く、チキンライスとよく馴染みます。

フルーツポンチは、白玉に余韻が残り、実在感を発揮しています。

コーンポタージュスープは、トロミが均一で、透明感と清涼感があります。

いつもと違う感性を活性化させてくれる、愉快な一膳でした。


8月2日(日)夕

御飯 炊き合わせ 磯辺揚げ(ちくわ) ごぼうサラダ フルーツ(パイン)

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御飯の量から、健康維持のためにはこれくらいの糖質が必要なことがわかります。

炊き合わせは、薄味で、体によさそうな大根の滋味感がよく出ています。

ちくわの磯辺揚げは、練り物の旨味が濃縮されています。

ごぼうサラダは、旬のごぼうのパワーを感じます。

パインは、酸味が少なめで、糖分をよく蓄えたものです。

大地のパワーで勢がつく一膳でした。


8月3日(月)朝

御飯 うの花 タマゴサラダ 味噌汁(あげ) 牛乳

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御飯は、かっちりと炊けています。糖質が十分摂れます。

うの花は、しっとりしています。

タマゴサラダは、よく冷やしてあり、さわやかです。

味噌汁は、いりことお揚げと野菜の出汁が多重になっています。

食材が粒立って、元気な感じです。夏の日差しの様です。


8月7日(金)昼

夏寿司 炊き合わせ(肉団子) 辛子マヨネーズ和え お吸い物(てまり麩)  フルーツ(すいか)

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夏寿司は、酢飯がとても清々しく、発散する味と香りを放っています。

炊き合わせは、全体的に甘みがあって、角がなくやさしい感じです。

辛子マヨネーズ和えは、辛子の風味が涼風のようで、涼しさが舞い降ります。

てまり麩のお吸い物は、旨味と甘みが強いです。

すいかは、水分がたっぷりで瑞々しいです。

嫌な刺激がまったくなく、涼しさと温かみのコントラストがあり、立秋の移ろいがよく表現された一膳でした。


8月21日(金)昼

御飯 蒸し鶏 付け合わせ(キャベツ) 里芋の味噌煮 くるみ和え(小松菜) ようかん

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蒸し鶏は、コシのある讃岐うどんのような弾力感があります。ゴマダレも負けないように力強く、コクがあるものです。

付け合わせのキャベツは、さわやかです。

里芋の味噌煮は、しっかりと煮込まれて、味噌がよくしみています。

小松菜のくるみ和えは、小松菜の線維の食感をよく楽しめます。

ようかんは、やわらかくて崩れやすく、おはぎのようです。

全体的に、ディープで、演歌調なのが、昔を知る患者さんたちに喜ばれると思います。


8月24日(月)朝

御飯 チンゲン菜の炒め物 たいみそ 味噌汁(白菜) 牛乳

御飯は十分な量です。

チンゲン菜の炒め物は、力強い植物油の味がします。

たいみそは、刺激のない甘くやさしい味です。

味噌汁は、あげがたくさん入っていて、植物のこってりさを味わえました。

簡素であるにもかかわらず、力強くどっしりとした一膳でした。


8月28日(金)昼

親子丼 ごぼうサラダ 漬物 味噌汁(あげ)

親子丼はたっぷりの御飯です。薄口醤油のピリッとしたつゆの塩味も、管理栄養士が塩分量を計算しているので安心です。

ごぼうサラダは、ドレッシングがたっぷりです。

漬物は、しその実のプチプチ感が楽しいです。

味噌汁は具だくさんで、味付けはマイルドで控え目な存在にしてあります。

安心して、大衆食堂的な、ガッツリ感を楽しめました。


9月4日(金)昼

五目御飯 ポークチャップ 付け合わせ(チンゲン菜) 甘酢和え(サリナス) 佃煮 フルーツ(オレンジ)

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五目御飯は、べとつきなく、御飯が硬めで、さらっとしていて、さわやかです。

ポークチャップは野菜の旨味に押し出されて、豚肉のコクがこちらに向かってくるようです。

チンゲン菜は、煮てありますが、緑の香る感じが十分残してあります。

甘酢味のサリナスは、和えられた錦糸卵でまろやかに味わえます。

佃煮は甘辛くほろっとしています。

オレンジは、少しくたびれた、癒やされる甘酸っぱさです。

食材の元気さの強弱がうまく配置された、楽しい一膳でした。


9月7日(月)朝

御飯 うの花 ドレッシング和え(ツナ) 味噌汁(はんぺん) 牛乳

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計算されたたっぷりとしたごはんに、安心感と安定感を感じます。

うの花は、間接照明のようなマイルドさです。

ドレッシング和えは、酸味の立ち上がりが、カーテンの隙間から差し込む日の光のようにシャープです。

味噌汁は、亜麻色のテーブルクロスのようはおだやかさです。

牛乳は甘くて、伸びやかです。

お膳がジャズのような、意外性の統合感のある、まとまりになっていました。


9月11日(金)昼

中華丼 切り干し大根の炒め煮 フルーツ(バナナ) 味噌汁(えのき)

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おとなしく、行儀が良い、和風出汁のような、味わいの中華丼です。

切り干し大根は、ぽっちゃりとした、乙女のようは、やわらかく角のない、炒め煮になっています。

バナナは、正統ないわゆる行儀が良い甘さのバナナです。

えのきの味噌汁は、ひなびた田舎味噌のような味わいです。

初秋の予感がする礼儀正しい一膳でした。


9月14日(月)朝

御飯 とりつくね カリフラワーのドレッシング和え 味噌汁(小松菜) 牛乳

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御飯は少し軟らか目です。

とりつくねは、甘く弾力感があります。

カリフラワーは、よく冷やされてさわやかです。

味噌汁は、菜がよく煮込まれて、温まる感じです。

牛乳は、これから立ち上がる、少し控え目な牛乳です。

本格的な秋を予感させる一膳でした。


9月18日(金)昼

スタミナ丼(牛肉) ツナ和え(うまい菜)フルーツポンチ 塩麹スープ

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 きょうは雨天で肌寒いのですが、スタミナ丼の甘辛いタレが熱気をくれます。

ツナ和えは、深い熱気の入った味付けで、成熟缶が使用されているようでした。

フルーツポンチは、古民家のような古風な風味を感じさせる成熟缶です。

スープは、塩麹の軽いクセで大人の風味になっています。

若者向けのメニューに見えても、味は老成している、意外性を楽しめた大人のための一膳でした。


9月20日(日)夕

御飯 ホイル焼き(鮭) じゃが芋の揚げ煮 二色和え プリン

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鮭のホイル焼きは、蒸すことで、食材の弾力性がよく残っています。

じゃが芋の揚げ煮は、野菜がきっちりと形を保っています。

二色和えは、菜に火が通っていますが、しゃきしゃきしています。

粘りが強いプリンです。

季節が移り、調理者の新たなシーズンへの意気込みが感じられる、複雑な変化を取り入れた一膳でした。


9月21日(月)朝

御飯 チンゲン菜の卵とじ ふりかけ(サケ) 味噌汁(あげ) 牛乳

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ごはんがたっぷりなので、スタートの朝に糖質をたっぷり摂れます。

チンゲン菜の卵とじは、温かく、味はまろやかで、刺激が少ないです。

ふりかけは、少量で十分な塩味がします。

味噌汁は、いくら体によくても、このぐらいの量がちょうどよいのですね。タマネギとお揚げで具だくさんです。

牛乳は少し濃くなってきています。

晩秋から初冬を思わせる、少し季節を先取りした一膳でした。


9月25日(金)

ドライカレー フレッシュサラダ 漬物 ジョア

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ドライカレーは、酔うような薬膳的はスパイシーさが立っているので、プロの味ですね。家庭の味とは違います。

フレッシュサラダは肉厚のレタスで、冬の風情です。

ジョアはトロミの強い、濃い味です。

カレー専門店のテイクアウトのような、新しい試みの一膳でした。患者さんにも、離れている家族と同じ体験ができるように、配慮したのですね。


9月28日(月)朝

御飯 かぶと、つみれの煮物 あみえび佃煮 味噌汁(里芋) 牛乳

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御飯のたっぷりの良質な糖質で、脳が活性化しそうです。

かぶと、つみれの煮物は、甘く軟らかく煮込まれています。

あみえびの佃煮は、みりんがよくきいて、しっとりと甘いです。

味噌汁の里芋はおだやかな山里の土の香りがします。

牛乳は甘く伸びやかです。

緊張が続く日々に、ほっと一息できる、刺激がとてもやさしい一膳でした。




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