〜耳を傾けることの重要性〜 サムスンとアディダスの炎上&成功事例


Samsung広告 Night Owls

ランニングをする時、みなさんはどの時間に走りますか?
また、夜走る際は時間帯や気をつけていることはありますか?
昨年サムスンが公開した広告「Night Owls(夜ふかし)」では深夜2時に女性がワイヤレスイヤホンをして走る姿が物議を醸しました。
(ちなみに私はランニングが苦手なのでどの時間も走りません)

Samsung TV Commercial 'Night Owls'

日本では都内に住む女性が深夜に歩くことは海外に比べて、比較的危険ではありませんが、海外の多くの国では深夜に女性が一人で歩くことが危険です。
海外では多くの人がこの広告に否定的なリアクションをし、
「この企画の話し合いに女性がいたのか、
男性だけで決められた企画ではないか、
そもそも深夜2時に女性男性限らず誰も走らないのでランナーへのヒアリングもしたのか」
とかなりバッシングを受けました。

サムスンの意図

CMのタイトルのNight Owlsは夜ふかしを意味し、健康やウェルネスの「こうあるべき論」を覆すことを目的とし、夜ランもあっても良い、それぞれのライフスタイルに合ったスマートデバイスを手に入れることをサムスンは呼びかけています。

CM公開後サムスンは謝罪声明を出し、広告を取り下げましたが、夜でも安心してランニングすることができる安全な世界になることを願ったCMだと説明しました。
確かに多くの女性が選択の自由を望んでいますが、現実で深夜に起きた暴行事件や殺人事件などを考えるとサムスンのCMは実情を無視した広告に見えてしまいました。。。

一方、今年公開されたadidasの広告はサムスンと同様に夜ランをテーマにしたThe Ridiculous Runを制作。

adidas 'The Ridiculous Run'

(ちなみにadidasのこのキャンペーンフィルムで流れる音楽がとってもかっこいい!)

女性が夜ランニングをする際、身の安全を確保するために様々な注意を払うことがあります。
The Ridiculous RunのCMでは女性ランナーがイヤホンを片耳だけつけ、位置情報を共有している様子が流れ、女性がいかに危険を感じているかが見て取れます。
そして車やバイクを囲んで守りながら走っている映像とともに、This is ridiculous(こんなの馬鹿げている)というメッセージが流れ、女性にとっての「安全な」ランニングとは何かを問い、現実を変えていくための協力をコミュニティに呼びかけています。

アディダスの調査で見えてきたこと

adidas インスタグラム

92%の女性がランニング中に危険を感じる

69%の女性がゆったりした服を着る、誰かと一緒に走る

51%の女性が攻撃される不安を感じる(男性は28%)

3分の1以上(38%)の女性が身体的または言葉によるハラスメントを経験

* 世界各地の9,000名(女性4,500名、男性4,500名)からの回答に基づく、adidasによる調査データ

調査から生まれたアクション

adidas Webサイトより

adidasが行った調査やヒアリングをした結果、女性がランニングで直面する問題について男性が学ぶことができるThe Ridiculous Run(理不尽な現実)を結成。
アディダスのランニングアプリでランナーが指定した連絡先の人と位置情報を共有できるLiveロケーション共有機能も作成しました。

他にも39%の女性がランニングクラブに所属していた方が安全だと感じていることがわかり、ランナーが地域のコミュニティランやWWWRの活動をサポートするイベントを発見するためのハブを作り、adidas Runnerのコミュニティの一部として、長期的な取り組みであるWith Women We Runを開始しました。

どちらも女性ファーストを考えられて作られた広告でしたが、サムスンはメーカーファーストに偏ってしまっており、当事者のヒアリングの重要性を痛感した事例でした。
反対にアディダスの広告はヒアリングを行い、消費者の共感を呼ぶコンシューマーファーストの広告に繋ぐことができました。
以上、サムスンとアディダスを今回は紹介させていただきました。

アディダスのキャンペーンは実際のところはわかりませんが、サムスンの失敗から生まれたのでは?と思えるくらい比較要素が多い広告でしたね・・・。



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