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日本酒に携わるトッププロが飲み比べ座談会!アルミ缶容器は品質を守り、日本酒の自由度を上げるのか?

新鮮な日本酒を缶に詰め、そのフレッシュな魅力を凝縮したKURA ONE®。とはいえ、日本酒はデリケートで管理が難しいお酒です。封入した瞬間は同じでも、時間が経つと、瓶と缶とでは品質に差が出てしまうのでは?そんな疑問を解消するため、日本を代表する酒蔵の蔵元と、厳選した日本酒を扱う飲食店の代表という業界の最前線を走るお二人のもとへ、KURA ONE®の生みの親であるアイディーテンジャパン代表・澤田且成が訪問。保存条件の異なるKURA ONE®や、一般的な瓶の日本酒を飲み比べる座談会を開催しました。
それぞれの味わいや香りの違い、缶の機能性といった話から、徐々に話は広がり、KURA ONE®にしか実現できない可能性が見えてきました (2022年7月)。

久慈浩介(くじ・こうすけ)
岩手県にある酒蔵「南部美人」の蔵元。仕込み時期には蔵にこもって酒造りを行い、オフシーズンには日本酒の魅力を広めるべく日本各地、さらには世界中を飛びまわる。代表銘柄「南部美人」は、国内外のさまざまなコンテストでの金賞受賞歴を持つが、現状に満足することなく、さらなる美味しさを追求し、研鑽を重ねている。

多々納大展(ただの・ひろのぶ)
東京と大阪で、くわ焼&鉄板焼「九志焼亭」、串カツ&ワイン「揚八」、麹と酒「一献三菜」などを運営する大和串Planningの代表。生産者の顔の見える食材や丁寧につくられた発酵調味料、土地の味を表現する日本酒にこだわり、この店でしか味わえない価値を提供している。

澤田且成(さわだ・かつなり)
富士経済で市場調査員として世界30カ国以上を担当したのち、企業ブランディングを行うインターブランドへ入社。ブランディングプランナーとして、20社以上を担当。その後、日本のものづくりや地方の魅力を海外へ伝えるPR事業や、地方産品の販売などを行うアイディーテンジャパンを設立。KURA ONE®のブランドオーナーとして未開拓市場に日本酒を届ける挑戦を続けている。

まずは、基準となる瓶の南部美人を試飲。「やっぱり圧倒的にうまい」

澤田 以前から日本酒の缶はありますが、酒蔵の代表銘柄というよりも、缶専用のものが少なくないんです。それも美味しいのですが、我々は“日本酒の本当の美味しさを、気軽に飲んでもらいたい”という想いもあって、瓶と同じものを封入したKURA ONE®をつくりました。
 
今回は、日本酒のプロであるお二人に①冷蔵保存②常温保存のKURA ONEを試飲していただき、日本酒の美味しさを表現できているのかを聞いてみたいです。それと、炎天下の車内に置きっぱなしだった③炎天下保存(笑)もあるので、試してみましょう。味や香り、色味がわかりやすいようにワイングラスに注いで試飲します。
 
久慈 まずは、造りたての南部美人の四合瓶を持ってきたので、基準とするために飲んでください。

多々納 やっぱり圧倒的にうまいです。特にしっかりと立った香りが素晴らしいですね。
 
澤田 美味しい。まだ朝ですが、いくらでも飲めそうです(笑)。
 
久慈 以前は、搾ったあとに製造中の二つの酒をブレンドする造り方をしていて、手前味噌ですが、それで世界一にもなりました。ただ、その方法を継続するよりも、とことん一つの酒に向き合ったものを造りたいと思い、酒米はもちろん麹菌も酵母もすべて岩手産のもので仕上げた1本です。私も大好きな味です。

冷蔵保存のKURA ONEは、瓶と「ほぼ変わらない」のに、試飲は思わぬ方向へ!?

澤田 続いて、冷蔵保存のKURA ONE®です。見た目はほとんど変わらないですね。
 
久慈 瓶とほとんど変わらず、私好みの味です(笑)。飲み慣れてない人には絶対にわからないくらいの微妙な差ですが、缶のほうがすっきりしていて、若い感じがします。
 
多々納 そうですね。本当に若干ですが、さきほどの瓶のほうがまろやかで、こっちは香りがシャープですね。
 
澤田 瓶も缶も過程はほとんど変わらないはずですが、なぜ微妙な違いが出るんでしょうか?

久慈 缶のほうが空気に触れる面積が少ないので、酸化が少ないんですね。それと、火入れ(加熱殺菌処理をしたお酒)では、温度が変化する時間が短いほうが劣化しにくいんです。瓶よりも小さい缶は素早く温度が変わるので、劣化しづらいんだと思います。とは言っても、私や多々納さんがわずかに感じるくらいの差ですから、一般の方々にはほとんど同じですよ。
 
多々納 酸化したものを元に戻すことはできませんが、まだ若い状態であれば、自分好みに合わせられるので、むしろ可能性は広がるかもしれませんね。試しに缶をシェイクして、少し酸化させてから飲んでみませんか?
 
久慈 面白いですね! 振ってみましょう。

澤田 香りがまったくちがう! 誰にでもわかるくらいはっきりと変化していますね。
 
多々納 5分振っただけで、シャープな香りから、ミルキーな香りに変わりました。ちょっとシャープ過ぎると感じた人は、振って飲むのもいいかもしれません。

久慈 酸素に触れてものすごく柔らかくなった……。瓶では振ることはないので初めてやりましたが、面白いですね。もちろん南部美人としては振る前が本来の味ですが、シェイクして酸化させたら、シャープさが消えて野性味が出てきましたね。振る前は“スマートなアスリート”という感じでしたが、“ドービングをしたアスリート”という感じ(笑)。新しい楽しみ方ができそうです。
 
澤田 そうですね。例えば2本買って1本はそのまま、1本は振って飲めば、変化を楽しむこともできますし、数人で飲む場合はゲーム感覚で振っても楽しめそう。飲食店ならパフォーマンスにもなる気がします。

常温保存のKURA ONEも、「これがダメなら、ほとんどのお酒がダメ」というレベルの微妙な変化

澤田 今度は常温で保存したKURA ONEです。瓶や冷蔵保存のものと見比べてみると、ほんの少し色がついているようです。
 
久慈 そうですね。ただ缶は紫外線をカットするので日光ではなく温度による着色。いわゆる熟成なので、悪いことではありません。瓶や冷蔵保存と比べると香りは少々落ちていますが、まだ“飲み頃”といえるレベルで、蔵元として「味に問題がある」とはまったく言えない範囲です。これがダメなら、世の中にあるほとんどのお酒がダメになるでしょうね(笑)。この変化も飲み慣れていない人にはわからないと思います。
 
多々納 飲食店の視点でもまったく問題ないです。冷蔵保存の若いものより余韻が長くなって、十分美味しい。お酒を提供する側から考えれば、冷蔵保存のものはお魚系と、常温保存のものはお肉系の料理と合わせるなど工夫ができます。こちらは燗をつけても美味しいと思いますよ。

澤田 久慈さんは、以前海外で激しく劣化している南部美人に出合って、買い取ったことがあるそうですね。
 
久慈 あれはひどかった。直射日光の下に南部美人の瓶を置いていたので、ディスプレイ用かと思ったら、その酒を注いでいて……。本当にびっくりしました。蔵元として「これが南部美人の味とは思われたくない」と思い、すべて買い取って廃棄しました。それと比べるのが失礼なくらい、KURA ONEの酒質は抜群にいいですね。

さぞかし劣化が進んだと思われた炎天下に放置されたKURA ONE。しかし、意外な結果に……

澤田 最後は、炎天下の車内に放置した炎天下保存ですね。こちらも若干色がついたくらいで、大きな変化はないようです。
 
久慈 あれ、もっと劣化していると思っていたけど、紫外線による日光臭は0だし、そこまでは劣化していない……。冷蔵保存のものとは反対に、香りが開きまくってボリュームがある感じですね。本来の南部美人とは違いますが、意外と飲めちゃう(笑)。瓶を同じ環境に置いたら、このくらいの劣化ではすまないでしょうね。
 
多々納 私もそこまでネガティブな感じはしません。日本酒の管理に問題がある飲食店だと、これよりよっぽどひどい日本酒を出していることもありますよ。煮物やビーフシチューに合わせたら美味しく飲めますね。

久慈 そうですね。デザートとかに合わせて美味しそう。
 
澤田 これはさすがに飲めないかと思いましたが、意外でした。海外へコンテナ船で運ぶときには、同じような状態になる可能性がありますから、環境変化による劣化に対して、缶の防御力は想像以上かもしれませんね。

「日本酒の自由度を上げる」KURA ONE®が次代のムーブメントを起こす!?

澤田 保存状態の異なるKURA ONEを飲み比べしていただきましたが、いかがでしたか?
 
久慈 長く酒造りをしてきても初めてのこともあって、結果も意外で面白かった。個人的に飲食店さんで試してほしいのは、かごに入れた食材から食べるものを選ぶみたいに、氷を入れたボウルにKURA ONEを入れ、「○円で○本」みたいにして選んでもらうこと。見た目もかわいいし、目を引きますよ。
 
多々納 それはワクワクします。今日みたいにワイングラスがあれば、数本で十分飲み比べもできますし。飲食店として感じたのは、品質管理の面で、常温でもクオリティーを十分維持できる缶は圧倒的に便利ですね。また、一升瓶は開封して大体1カ月で売り切るんですが、どうしても徐々に質が下がります。缶なら常に開けたてなので、品質については、缶に大きなメリットがありますね。
 
澤田 飲食店さんについては、KURA ONEにあるラベルの二次元バーコードを読み込むと、そのお酒を飲めるお店がわかったり、お店側から誘客する情報を提供できるようにするなど、ITを活用した取り組みも進めています。

久慈 私は、日本酒の自由度が上がるなと思いました。これまでは、日本酒を飲むのは、飲食店か家で、徳利とお猪口でという形でした。でもKURA ONEなら、出先でも美味しい日本酒を楽しめます。簡単に持ち運べ、そのまま開けて飲めることには、大きな可能性を感じるので、次代のムーブメントを起こすポテンシャルは十分ありますね。
 
澤田 ありがとうございます。KURAONEがもっともっと広がって、全国の酒蔵の代表的な銘柄を、世界中で楽しめるようにして、さらに面白くしていきます。

 


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