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2級FP技能士受験記と今後の抱負

ファイナンシャルプランナー(FP)と呼ばれる資格がある。

FPとは、一人ひとりの将来の夢や目標に対して、お金の面で様々な悩みをサポートし、その解決策をアドバイスする専門家です。個々人や家族のライフプラン(人生設計)に基づく将来の収支の見通しを立て、最適な資産設計・資金計画を提案、アドバイスを行い、その実行をサポートします。そのため、FPはお金の面から家計の改善を図る「家計のホームドクター®」とも呼ばれています。(日本FP協会HPより)

厚生労働省の管轄のもと、FP技能士という名称独占資格が認められており、国家検定として実施されている。取らなければいけない資格でもなければ、趣味が高じて受験するような試験でもない。しかし、私たちの暮らしを支える「お金」の問題を考える上で、FP技能士の資格のための勉強は有意義である。私は「お金」のことが苦手であり、できることなら一切考えずに生きていきたいと思っていたくらいだが、世の中そういうわけにもいかないので、この検定の勉強を通して最低限の知識をつけることにした。

FP技能士には3級、2級、1級が定められている。受験資格に制限がないのは3級だけで、2級以上の資格を受験するためには、様々な要件がある。もっとも、3級に合格すれば2級を受験することができる。他方、3級に合格しない状態で2級を受験しようと思ったら、実務経験や民間研修の受講が必要である。

数年前(2019年1月?)、3級FP技能士を受験したことがある。このときは、本当に勉強のモチベーションが湧かなかった。私は医療系の学生なので、医療保険などの分野は身近に感じられるところがあり、熱心に勉強した。また、法律知識も少しあった(行政書士有資格者)から、相続などの分野については全然苦労しなかった。しかし、それ以外の分野については、試験当日の朝にテキストを読み始めるという醜態であった。学科試験は奇跡的に通過したが、実技試験で一問届かず、不合格。実のところ、3級FP技能士を受験して落ちたという人を一人も知らなかったので、なんだかんだショックであった。

中途半端なプライドのせいで、もう一度3級を受験しようという気持ちにはならなかった。しかし、やはり勉強しなければいけない。そこで、敢えて目標を一段階あげて、2級FP技能士を受験することにした。3級FP技能士に合格していなかったため、迂回路として民間研修(AFP認定研修)を受講する必要があった。正直なところ好きになれない分野だったので、研修もおざなりになったが、どうにか期限日までに修了することができた。2020年9月のことである。

無事に受験資格を得たので、すぐにでも受験すればよかったのだが、なにせ好きでもなければ必要でもないこと、必然腰も重くなる。結局、2021年9月試験になってようやく出願するに至った。

私の試験勉強の方法は一貫している。基準となる教科書を決めて、何回も通読する。できるだけ多くの文献を参照し、教科書の説明不足を補う。問題演習は、余裕があるときにはやるけれども、必要な知識は教科書中に書かれているので、その内容を漏れなく押さえることが優先である。今回はきんざいのテキストを使った。

何かと忙しい時期であったので、試験勉強に費やしたのは実質二日間であった。金曜日の夜から取り組み始め、土曜日丸一日を費やし、さらに徹夜して日曜日の試験に臨んだ。教科書については何周したかわからないが、何を問われても「教科書のこのあたりに関連することが書いてあった」と即座に示せる程度のところまでは頭に入れた。

自己採点が正しければ、おそらく無事に合格した。聞くところによれば、今回の試験は過去問からの傾向変化が著しかったそうである。結果的に、教科書ベースの勉強法が奏功した形になった。

しかし、合格点を取ってしまったことで、かえって一層の勉強の必要性を再確認する羽目になった。私は確かに「2級FP技能士」を名乗ることができる程度の知識をつけたかもしれないが、実際にファイナンシャルプランニングの仕事ができるかといえば、自分のことですら難しいと感じる。より正確かつ詳しい知識を身に着け、制度理解を深めることが必要である。

さらに上級の資格として、1級FP技能士がある。実は、受験資格のハードル自体がかなり高い。実務経験を一切持たない私の場合、AFP(民間資格)の登録を済ませた上で、CFP資格審査試験に6科目合格する必要がある。こうすることで、1級FP技能士の学科試験が免除され、実技試験の受験資格を得ることができる。これらの試験に合格するためには、一夜漬けの勉強では難しいところがあるだろうが、合格を目指して勉強した先には、知識と理解の深化が期待される。

1級FP技能士を目指すにあたって、勉強の方法論を成熟させるという副次的目標を持っている。そもそも、FPの勉強は非常に困難である。テキストを読んでみても、個別の制度趣旨の説明が全然されていないのである。今回の2級FP技能士のための勉強では、税制調査会の検討資料や制度変遷に関する紀要論文などを検索しながら読み進めた。このあたりの事柄についてテキストの記述が不足しているというのは、もしかしたら当然のことかもしれない。FPの6科目は、本来それぞれが独立した学問になる程度には深い内容を持っている。他方、試験を通して問われること=実務上必要最低限の「知識」は、きわめて表面的であり、テキストに記載されている知識は、その要点を掻い摘んで取りまとめたものに過ぎない。趣旨や経緯の理解は、知識の記憶を助ける。1級FP技能士に向けて勉強を進めるうえで、この難しさをどのように乗り越えるか、検討する必要があるだろう。あくまでも「苦手を解消し、生きるために必要な知識を身につける」ことが目標であるから、過剰に深入りすることなく、要領よく勉強したい。そのなかで、如何に理解を深めるか。方法論上のチャレンジである。

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