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僕ヤバ:Karte42,43私見:言わない理由

Karte42とKarte43の独断と偏見の話

ネタバレです。


☆ ★ ☆


Karte43のなぜ

市川が利用された事で怒ったと言わなかったことについて考えてみます。

Karte42で利用されたと考えてしまった市川。
それはある意味事実で、傷ついた彼がKarte43でなぜそのことを山田に告げなかったのか。

その点について、メタ視点とキャラ目線で少しだけ考えていきます。

怒ってるの?

早速。
山田は市川が突然来なくなった理由を"怒ったから"と思っています。
これ、山田の認識は市川の言動見るとちょっと違ったのかなと思います。

市川、たぶん怒ってはいなかったのではないでしょうか。

避ける前に流れてくる台詞の数々は
"なんだそれは""しょせんそんなもんだ""最初から全部そうだったんだ"
といった言葉選びがほとんどで、山田をなじるような言葉がないんです。

ここで市川が感じているのは”優しくて他の人間とは違う山田”という幻想がぶち壊されたことに対するショック(嫌いとはいえこんな手段でナンパイを傷つけたことに対する幻滅)ではないでしょうか

【ナンパイを……】
ナンパイは嫌いな市川ですが、”山田のことが好きである”という気持ちには市川自身が似たものを感じていたのではないしょうか。
そういった大事な気持ちを、こういう手段で不誠実に終わらせられようとしたことを市川が嫌ったのはないかと思います。

そういうわけで、市川の怒りは実はそこまでフォーカスが当たっていないために、山田には怒ってないと言ったのではないでしょうか。
(怒りが無いとも思えないですが、第一感情ではないと思われます)

用事があっただけ

これはまあ、十中八九嘘でしょう。
市川は理由を述べない選択をしました
これ、なんでかなと思いましたね。

『ナンパイが嫌だからってああいう風に追い返すのは気に入らない』
とか、そういった感情を外に出しても良かったのにと思ったのですが。

メタ視点から見ると

まず、話の構成上から考えると妥当ではありました
口に出してしまうと山田が凹んでしまうことは確実なので。
(あるいは誤解を解くために勢いあまって山田が本心を投げだす可能性もあった)
山田を傷付けるとこの先の描写もかなり丁寧に、市川の言動も相当気を遣った橋渡りをしなければいけないのはもう避けようが無いです。

話の展開上冬休みが近くなっていることもあり、ここで拗らせてしまうと休みを挟んで疎遠になるのはもう疑いようがない

そうなるとクリスマスイベントができない!

ということを考えると、作中時間をかけてじっくりやる事は不可能です。
ちょっとしたすれ違いが悲劇を生むのは往々にしてありますが、ここで中学生の一世一代の大イベントを投げ捨ててソレを見たいかと言われると……ねえ?
という気もします。

そういった理由もあってここでは市川は曖昧に答えたのかと思われます。
そもそも、話の展開上は仲違いがしたかったのではなく、市川の酸っぱい葡萄を解消したいのがこの2話の命題でしょうからね……。

キャラクターとして

さて、話の構成の都合なしでも実は結構単純な動機があります

市川、Karte42冒頭で山田の好意が自分に向いているのでは?と疑念を持っています
山田は自分を好きかもしれないという気持ちを、好きでもない男を--と思い込むことでねじ伏せた事実を、市川自身が無意識的に感じている可能性が高いのです(黙れ消えろのコマとか)。

そもそも市川の失望と幻滅は、山田が自分のことを本当に好きなら『利用した』ではなくなり、理由を失う。

ナンパイへの不誠実さは変わらないかもしれないけれど、少なくともその動機は人を利用する不純な汚さではなくなるはずです。

そして、好きかどうかはさておき、山田がそんな奴じゃないと市川は直前で理解する場面が来る
そういう事があって、市川が"怒った"と発言する動機はもうないはずです

【理解】
人の好意ことをいい加減に扱うような人間じゃない、という理解ですね。
幻滅した理由の撤廃がされています。
好きかどうかを本筋にすると山田が好きだと気付いてしまう気もするので、ここでは『利用』をフォーカスして述べています。
他に表し方がわからないのでこう書いておきます。

市川が勝手に勘違いして距離を取ったことを山田のせいにするわけには行かず、理由を述べるわけにもいかなくなったのがKarte43のあのシーンなのではないでしょうか。

そういう市川の心の動きの流れの中で、好き避けの理由を解消して、一歩踏み込む勇気を持たせたのがKarte42からKarte43のストーリーラインだと思います。

まとめ

なんで理由を言わなかったのか。
市川が『勝手に山田を嫌いになろうとした』山田の行動に対して、『山田は人を利用する人間じゃない』と理解したことで『馬鹿正直にその理由を述べる理由がなくなった』からではないでしょうか

市川と山田の感情の根源がどこにあるのか名言されていないので、好きだったら良かったのか、利用されたんじゃないとわかったら良かったのかまではちょっと判断つかなくぐっちゃりしてて申し訳ない。
けれど、あの時点では言う必要はなかったんだろうなとは思います。

こういう言わなくてもいいことを言わない市川はめちゃくちゃ大人ですね。
沢山泣いた山田を必要以上に傷つけることなく、また、自分と山田の関係を守るためにもあそこで言わないという選択肢はベター&ベストです。

その結果がこれだけどね。
そろそろ蒸発したいんですよこっちはあっちっちでさ。

市川が逃げる気持ちを断つ回と考えれば、必要以上拗らせずに前に進めたというのはキャラクター感情とストーリー構成がマッチしていて見事だなと思う次第。

改めて、読むのが楽しい僕ヤバなのでした。

今回の報告は、以上です。

※今回は私の私見であり、読んだ方々それぞれの見解があると思いますのでそちらを大切にしてくださるようお願いいたします。



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