見出し画像

KEENができるまで 7話 「初めての経験~コンテスト練習」

シャンプー、シェービングにも受かり、営業でお客様には入れるようになってくると次は待ちに待っていたコンテストです。くしくも、コンテスト練習を始めたのは、日曜日の夜、理容の全国大会がある前の日の晩でした。
全国大会は毎年各都道府県で行われており、このときは九州の佐賀県でした。そして、このコンテストに、現在、三重県で理容室をしている”髪ing”の大先輩が出場するのでした。この先輩は前年、3位になっており(減点がなければ優勝)、今年も優勝候補の一人でした。
次の日の朝、4時に起きて羽田から飛行機で応援しに行くのですが、初めてのコンテスト練習は、夜中の2時頃まで先輩に教えてもらいながら、セットの練習に没頭していました。はるか離れた九州では、明日の全国大会という人生の一大イベントに全身全霊を傾けている先輩と、自分もその思いを共感しつつ、気持ちは佐賀へ・・・
ちなみにこの先輩、とても厳しく、仕事を聞くと簡単には教えてくれません。なぜか!それはまず自分で考え、行動し、その結果において、それがわからなかった時、初めて教えてくれるのです。これは、“何事もまずやって見せてから”“まず教えてから”という受身の教育では、人は自ら行動しないと思うからでした。
昔の職人は“技を盗む”と聞いたことがあります。たしか、帝国ホテルの料理長が、駆け出しのころ、先輩の技を盗むために、お昼を食べていて人がいないとき、こっそりと作ったものを食べ、そこから調味料を分析し、自分で作ったそうです。またある人は、他の人に自分の味を盗まれないために、人がいないときに隠し味を入れていたそうです。こういう風に昔の職人は自ら行動し、自分のちからで 腕を磨くことが、全体の流れだったと思います。