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ブヒ語概要

マレーシアでの移動制限命令(MCO)の影響で事実上軟禁状態の日本人の間(そしてそのTwitterフォロワーの間)で急速に拡大している方言の一種。サッカーなどの屋外スポーツも禁止されているため、家での暇つぶしに新しい言語を学ぼうとする人が多いが、気軽かつ簡単に学べると定評のあるブヒ語が選ばれるケースが多い。語尾に「ブヒ」を付けることが特徴の一つではあるが、MCOの延長に次ぐ延長のおかげで、この言語文化が発展してきているため、その表現方法は多種多様に応用されつつあり、そのためブヒ語初心者は戸惑う場合がある。

誰もがブヒ語を使うことが可能ではあるが、その世界に足を踏み入れるには相当の勇気が必要な者もいる。そのため、既存のブヒ語話者が思うほどハードルは低くないことを肝に銘じておきたい。

このnoteの目的は、そうした「ブヒ語初心者」が気軽にブヒ語の世界に足を踏み入れることができるように、これまでのTwitterに出現してきたブヒ語の文法・用法に関する情報を整理しようと思う。

なお、マレーシアの情報については、Kura-kura.net のサイトをご覧ください。

*注: 生きたブヒ語に触れるため、Twitterタイムラインから無断でツイートを引用しています。このnoteへの掲載を望まれない方は @kurakuranet までご連絡ください。

あいさつに付ける「ブヒ」

一般的なあいさつの語尾を「ブヒ」に変化させることによりブヒ語のあいさつとするが、その長さには個人差がある。接尾辞として使う場合と、接中辞として使う場合がある。また語呂の良さと響きの良さも重要視されるためセンスが要求される

[接尾辞] おはよ+ブヒ(基本形)

[接尾辞] おは+ブヒ(ブヒを2回繰り返すことで、午前中のテンションの高さを表すことも可能)

[接尾辞] マレー語の活用例(マレー語の「おやすみ」"Selamat malam" を活用することも可能)

[接尾辞] マレー語の活用例(マレー語の「ありがとう」"Terima kasih" を活用した例)

[接尾辞] マレー語のレベルの高い活用例(マレー語のあいさつの共通部分 "Selamat" だけを残し、時間を表す部分を「ブヒ」と活用する場合、発言の時間帯から「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」「おやすみ」のどれかを推察する必要がある)

[接中辞] ブヒと音が類似する部分と置き換えるパターン

文末に付けることでマレー語の "lah" と同じ語気を弱める

マレー語では、文末に "lah" を付けることで、文章全体の語気を弱めることができる。また、様々な感情も "lah" のイントネーションで表すことが可能。ブヒ語においても同じ働きをする模様。また「ブヒ」の後にさらに日本語の「よ」や「か?」などをさりげなく用いることで、語呂の良さや響きの良さを演出できればブヒ語上級者という説もある。

怒りを柔らかく表す「ブヒ」

テンションの高さを表す「ブヒ」

助けを求める「ブヒ」

恥ずかしさを表す「ブヒ」

以下の例のように、ブヒ語文化の発展に伴い英単語を活用することも散見されてきた。マレーシアの華人が使う「了 (la, liau)」と同じ働きで「既に」というニュアンスを付与する。

ブヒ語の疑問文

疑問文の文末に「ブヒ」を付ける場合が多いが、日本語の疑問を表す音「か?」の影響がまだまだ強いため「ブヒか?」となることもある。ただし、語呂合わせが悪い場合は「ブヒ?」のみとなる場合もある。

接続される単語の漢字の読みの語尾が「ブ」である場合「ヒ」のみが接続する。日常会話では問題ないが、Twitterなどの文字ベースでの媒体の場合見逃す場合もあるため注意が必要。

以下の例のように、マレーシア在住ゆえにマレー語の「何」を表す疑問詞 "Apa" と活用する強者もいる。

名前にブヒ

ブヒ語の普及に伴い、自分のTwitter上の名前に「ブヒ」を取り入れる強者も現れてきた。その場合、マレーシアのブヒ語の母とも呼ばれる、ブヒ子氏への弟子入りが求められるとの説が有力視されている。

ただし、Twitterの名前に「ブヒ」を入れることで「あんた一体誰やねん」的な反応が発生するものの、3日も経過すればそちらの方がしっくりくるとの意見が、現在の定説となっている。

現在のブヒ名の例:ブヒ子さん、ブヒオさん、ブヒ美さんなど

自分の名前に「ブヒ」を入れずとも、恥ずかしさを感じることなくTLでブヒ語を流ちょうに使いこなす人々のことを「ブヒ党」と名付ける動きが確認されている。

ブヒ語上級者の用法は、もはや心の読み合い

ブヒ語の上級者ともなると、一つのツイートだけでは日本語へ翻訳できない「ブヒ」の使い方をする。その場合は、文脈を追いながら、お互いの気持ちや考えをくんで意味を確定する必要がある。会話の当人同士では通じ合っているが、第三者からは全く意味が理解できないこともあるのが上級ブヒ語であり、習得には多大の努力が必要である。

また、下記のようなツイートにいたっては、ブヒ語圏外の人にとってはTLを汚すツイートにしか見えず、不快感すら覚える場合もあるとの研究結果も発表されている。

ブヒ語を使用する上での注意点

これまで見てきたように、ブヒ語はマレーシアのMCO期間中の一部の日本人たちの心をつかみ、浸透するに至っているが、いくつかの注意点がある。

まずは、ブヒ語に心奪われてしまった場合、ツイ廃へと発展する可能性があること。その場合、MCO後の社会復帰に多大な障害を与える場合があるので注意が必要である。

また、ブヒ語を話せない家族や、ブヒ語圏外の人へのメッセージにブヒ語を使用してしまうという失敗例も散見されているようだ。カタカナ語を多用する外国帰りまたは英語かぶれの人が日本国内で煙たがられるように、ブヒ語弾圧への火種となりかねない点に注意が必要である。

まとめ

ブヒ語を使用することは恥ずかしいことではない。第一歩を踏み出す勇気があれば、ブヒ語党の人々は温かく迎え入れてくれることが、近年の研究で明らかになっている。ブヒ党の人々の生態にはまだまだ謎が多いが、ブヒ語がTwitter内で、ゆっくりと、そして確実に広がっているのは紛れもない事実のようだ。

Kura-kura.net としては、今後のブヒ語の動向を遠目で見守りつつ、マレーシアのMCOの終了と、全世界の新型コロナウイルスの収束を心から願っている。

そして、マレーシアの情報について扱う Kura-kura.net のサイトもよろしくお願いします。


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