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【追悼】自然農・川口由一さん

数日前に、自然農を提唱・実践してきた川口由一さんがお亡くなりになったと聞きました。

僕が最初に自然農のことを知ったのは、グループ現代が製作したドキュメンタリー映画『自然農 川口由一の世界 1995年の記録』(1997年)でした。民族文化映像研究所の映画を観に通っていたころで、グループ現代は関連する製作会社だったので、新作を教えてもらったのでした。

その2年後に新潟県の豪雪地に移住した僕は、初めて自然農に挑戦してみました。けれども、積雪4mを超えるため、雪解けして畑が使えるようになるのは5月下旬で、何トンにもなる雪の重みで畑の土はガチガチでした。思ったように作物は育たず、厳しい自然環境で自然農は難しいのではないかと思いました。

そして、全国で自然農をしている人たちが集まる全国集会があると聞いて、2001年に初参加しました。そこで、積雪2mの富山の山奥で、10年以上も自然農で自給自足生活をしている家族に出会ったのです。

自然農は有機農法のように、栽培技術として画一化できないので、全国各地でそれぞれの環境に応じる必要があると思った僕は、全国で自然農を実践している人たちを訪ねる旅に出ました。

2003年から始めた旅は、写真集『自然農に生きる人たち』(自然食通信社、2008年)にまとめました。これはWebで無料公開しており、検索可能なPDFファイルもダウンロードできるようになっています。

その後、月刊誌『田舎暮らしの本』で連載が始まり、赤目自然農塾に4年間ほど通わせてもらうことになりました。連載を元に『誰でも簡単にできる! 川口由一の自然農教室』(宝島社、2013年)という本にまとめ、ロングセラーで1万部以上が売れています。そのほかに、川口さんの幼少期からの生い立ちから思想をまとめた『畑から宇宙が見える—川口由一と自然農の世界』(宝島社、2014年)もあります。

川口さんに最初に会ったのは38歳のときでした。その後の10年間で、自然農の栽培技術だけではなく、人生をどう生きていけばいいのか、自然のなかで暮らしていく基本、さらに哲学的な教えをいただいてきました。まさに、人生の師のひとりでもありました。

あらためて、ありがとうございました。


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