黒とバケツ
何をしても満たされない人、穴の空いたバケツと言う言葉で人を形容した事がある。
きっと愛情不足だからだよ、仕方ないよね。本人が一番苦しい筈だよ、優しく見守ってあげようね。
何様のつもりで言っているのだろう、私が一番愛情不足な癖に。基本的に人付き合いは好きな方だと思う、限界が来たらリセットしたくなるだけで。
最初は広く、それから深く。狭くで良いからとは言いつつ、人間が大好きなので仲良くなった人ほぼ全員にとても重い感情を抱いてしまう。別に当たり前に返ってくるとは思ってないけど、私が思うだけ私の事を思ってくれたら良いのにとは思う。
穴の空いたバケツはいくら愛情を注いでも満たされないけど、それで言うなら私は何だろう。人から貰った愛情は確かに蓄積しているし、それ以上の愛を継続的に欲しがっているわけでもない。
諦めの感情が色濃くなっていって、貰っていた愛情本来の色が薄れていく。汚水が溜まり続けるバケツといった所か。
自浄作用が最近機能しない。かつ、見返りを求めている。「私はこんなに君の事を想っているのに」と思ってしまう。
類友という言葉があるように、私の周りも大抵親からの愛情だとか、そういった物が不足している。(私はお母さんとか家族から愛されてる実感があるけど、何でこうなったかは分からない)
だからわかりあえるかなって思っていたし、実際話を聞くのも他の友達より上手い自信がある。何より、真っ直ぐ想う気持ちに自信があった。
自分の気持ちにハッキリ気付いたのは去年の夏頃だった。周りの人に救われていたし、同じように皆のことを助けたいと思った。
最初は良かった、話を聞いたり遊ぶ度にああ、楽しいな好きだなあと思った。
その内、男の話になる。いきなり地中に叩き落とされた様な感覚。嫉妬だとかそんな生ぬるい物じゃない、絶望。私じゃ皆の事満たせないんだ、こんなに全力でやっていたのに。
気付いてしまった。昔から思っていた。自分が男だったら良かった?
一番大事な友達だよ、とか先輩です、とか嬉しいのは勿論、本当だ。でも必死に慰めて長く地道に築いてきた関係をすぐ、そんなに早く越されてしまうものなのか。
「彼氏がいなかったら誰も信じられない」 「彼氏しかいないから離れるのが怖い、
一人になってしまう」
お門違いなのは分かっているし、人間そんなものなのも分かっているつもりだった。それでも我が儘だから、私の何を見ていたんだ?という気持ちになってしまう。
こんなに味方でいることが出来て理解度も高くて何でも許して予定も合わせて彼氏より友情を優先して無理してでも話を聞く奴、他にいないだろ普通に。
そりゃあ素晴らしいあなたの彼氏は素晴らしいに決まってるよお前が一番だよ、それでも理不尽じゃないか。私が同じことを言ったら少なからず傷つく癖に。傷付いて。
夢の国に行って恋に溺れたあの子、冬の電話、月を見ながら笑った記憶を消し去って男の所に行ったあの子。二時間の相談を経て、やっと笑顔を見せてくれたのは彼氏からのスタンプの通知が原因だったあの子。散々私の事を馬鹿にしてきた癖に、結局好きな人が出来たらコロっと恋愛について聞いてきたあの子。大好きだったよ今も好きだけど。
川の水を濁したのはお前らだからね、私が変わってしまっても文句は言わないでね、その舌、二度と彼氏とキス出来ないようにするからね。本当に気持ち悪いよ、自分の事も皆の事も。早く一人で満足できるようになりたいよ、バケツなんか蹴っ飛ばして何にも染まらない黒になりたい。
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