やめていった同期の話

お疲れ様です。くらげ、渡辺です。

気がつけば東京に出てきて10年目。芸歴は9年目になります。芸歴9年目というのは、中々に芸歴を積み上げてるように見えます。しかし、それは1年目からそれなりに劇場に出番があり、それを8年積み上げてきた芸人。それが、ちゃんとした芸歴9年目になると思うのです。

しかし、僕は上記の様な芸人に当てはまらず、芸歴をぎゅっとしたら、実質4年目くらいだと思います。なので少し時期ごとに分かりやすくしてみました。


2011年に吉本の養成所、NSCに入学。当時はスーツを着こなしツッコミとして活動していた。そして、芸人としてのデビューが、2012年の4月。そこから、「爆破ミント」というコンビで、2015年10月まで活動し、解散。前回の元カノの話でも少し触れましたが、当時、月にライブ2本。その現状でもライブ終わりに仲の良い同期と酒を飲み、芸人をやってるということに満足していた。これは芸歴にカウントしてもいいのか?と今は思いますが、しょうがないと思う。焦りも無い。芸歴が浅いがゆえに明るかった。

楽しかったけど腐ってた時期。



そして「ドラマ」というコンビで、2016年5月から、2016年8月まで活動し解散。わずか4ヶ月。相方がすごく才能があり、すごくストイックで、自分自身で勝手に追い込まれ解散を僕から告げる。自分から解散を切り出したくせに、このままではヤバいのでは?とめちゃくちゃ焦る。コンビも組んでいないのに謎に坊主にする。しかし1度きりの坊主。また髪を伸ばす。華を出すためネタ中、アロハシャツを着だす。

短い時間だったけど、間違いなく初めてお笑いに向き合った時期。



そして、2017年、仲が良い同期(元、らせん小林)と「やきとんボーイズ」というコンビで、遊び半分でM-1に出場し1回戦敗退。2017年はM-1予選のみ、人前で1回しかネタをやっていない。アロハシャツで坊主で腕を組む、という見た目だけは完成する。もう逆に焦ることはなく、「俺は酒が好きだから、語れるくらいまでになる!」と酒場を巡るが、特に写真を撮るでもなく、SNSで発信するでもなく、「芸人として酒場を語れるようになるため」という大義名分を手に入れ、酒を飲んでいただけ。

睡眠時間を沢山とったなぁという時期。


そして2018年の頭、「くらげ」を結成し、2018年のM-1GP、1回戦敗退。再エントリーでも1回戦敗退。そして2019年、急に渡辺がわかんねぇけど、と言い出しボケになる。M-1GP準決勝進出。敗者復活8位。テレビに4回程出る。ほんのちょっとだけちやほやされる。

現在に至る。


という感じです。そして今日のテーマは、やめていった同期の話。

楽しかったけど腐ってた時期。

からの思い出になります。よろしくお願いします。




「おでこにうんこついてるよ」

初めての会話にしては失礼な野郎だな、と思うかもしれませんが、ここは吉本の養成所。僕のおでこに存在しているほくろを、階段のすれ違い様にいじってきたやつがいました。負けてられないので、

「いや、ほくろだわ!毎朝顔洗ってんのになんでうんこついてんだよ!家に鏡あるんだよ!自分の顔見てから家出てるわ!」

と僕は返した。

当時ツッコミとは、沢山数を打つか、コアな例えツッコミをする。それこそステータスだと思っていた。

サンドウィッチマンの伊達さんと、インパルス堤下さんのツッコミを合わせたみたいな感じになりたかった。まさかアロハシャツで坊主で腕組んでボケるようになるとは思ってもいない。


彼は僕のそのツッコミを気に入ったのか、ちょっとだけ仲良くなり、養成所ですれ違う度に「おでこにうんこついてるよ」と言い、僕が沢山ツッコミをする。という奇妙な関係だった。当時彼は八王子の激安アパートに住んでおり、授業終わりに飯に行くとかはなかった。

そんな彼と仲良くなったのは芸歴1年目の秋頃。八王子から僕の住んでいた板橋区に引っ越してきて、急激に友情が深まった。

僕は板橋区の奥に住んでいる。板橋区の奥から、また板橋区の奥に引っ越すという程に、板橋区を愛している。少し行けば赤羽というお酒の聖地もある。昔、相方の杉と仲の良い先輩が、

「渡辺って板橋区に住んでる?」

「そうですよ。どっかで会ったんですか?」

「いや、あいつ板橋区顔だから。」

「なるほど。」

という会話があったほどの板橋区LOVE。なるほど。という返しは、杉の人柄の良さを表してます。


話を戻します。

彼の名は「もきち」といい、もちろん芸名。

もっと、きもちよく、ちからづよくの頭文字から

「もきち」と命名したらしい。なんだそれ。

「メガスタンプ」というコンビのボケ担当、ネタ作り担当。もきちは、コロコロコミックのギャグ漫画のようなボケが大好きで、とにかく飛びまくった漫才をしていた。

「カジキマグロの歯でえんぴつを削る」

「ようがんまじん、と戦うにはどうするか?」

「フライパンで作っていた野菜炒めが高く舞い上がり過ぎて、宇宙に行き大気圏に突入し、炎をまといながらフライパンに着地し、それをそーっと皿に盛る」

など、この少しの文章でもわくわくしてしまう。実際に今も笑いながら書いてしまうぐらいに面白いネタをしていた。才能というのは、言葉で表すことは難しいものだと思うのですが、もきちは才能があったと思います。

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