たとえ話を上手く使いたい
自分はたとえ話を使って文章を書いたり話したりすることが苦手です。
ここで言っているたとえ話は「具体例」とは異なるものを指しています。それぞれの違いは以下だと考えています。
具体例: 「果物といえばリンゴやイチゴ」や「この機能は○○といった使い方をする」といった、抽象的な事柄を具体的な事柄へと変換した結果(抽象→具体)
たとえ話: Aという事柄を理解してもらうために、Bに抽象化して、Cというより伝わりやすい事柄に変換した結果(具体→抽象→具体)
そして、たとえ話を使う以前の話ですが、そもそもたとえ話自体がそこまで好きではないです。理由としては
情報の変換が2度入り、特に抽象から具体に変換するタイミングで元々のニュアンスから変わりやすい
分かりやすく変換したので伝わったように思えるが、実際は元々伝えたいことが伝わっていないことも多く、分かったつもりになりやすい。
こういった考えがあるため、伝わりやすさよりも正確性を重視している文章や話し方をしていて、これまでたとえ話はほぼ使ってきませんでした。
ただ、全員に全てを正確に伝えて、その上で分かってもらう必要性がどれだけあるのかを考えてみると、分かったつもりになってもらうだけで良いケースも意外と多いと思いました。
たとえば、自分はソフトウェアエンジニアなので、システムとしての仕様や実装方法について、同じエンジニア同士で話す際にたとえ話を使うことはほぼないでしょう。
なぜなら、分かった気になってもらいたいわけではなくて、ちゃんと分かってもらう必要があり、その上で議論がしたいからです。
しかし、エンジニア以外の職種の方に話す場合は、仕様は正確に伝えますが、技術的な仕組み等は正確に伝える必要があまりないので、分かったつもりになってもらうだけで良いケースと言えます。
このように、ケースに応じて相手に伝えるべき情報量と相手に求める理解度合いが変わるため、その時々に応じたコミュニケーションが必要だと思います。
「この情報を含めると相手が混乱する」「少し情報量増えるけど、必須だから伝えよう」「完璧な理解をそこまで求めないから、なんとなく分かってもらおう」など、状況に応じたコミュニケーションをする際のツールの1つとして、「たとえ話」は良いツールだと思います。
一方で、理解する上でコストがかなりかかるとしても必ず理解してもらう必要があることについては、たとえ話を使って分かった気になってもらってはいけません。
伝わらないもどかしさや理解されない苦しさによって、つい伝えやすい方法(たとえ話など)を使いたくなりますが、分かったつもりで終わらせてはいけないです。なんとしても分かってもらわないと困るような状況でたとえ話に逃げてはいけません。
そのため、そういった場合は相手の「分かりました!」という言葉を鵜呑みにせず、ちゃんと確認して相手の理解度を把握した方が良さそうです。
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