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安定感の正体

今の会社に入社してから周りの人に「安定感があるね」と言われることがたびたびあります。「安定感がある」という言葉は良い意味で使われますが、「安定感」が具体的に何を指しているのか、なぜ「安定感がない」と良くないのか、そもそも私のどういうところを見て「安定感がある」と思うのか、これまであまり深く考えたことがありませんでした。本記事ではそれらについてまとめることによって、安定感の正体に近づければと思います。

本記事の目的

私自身の考え方や物事の捉え方の中から、特に安定感の要因になりそうなものを挙げることで、安定感を身につけたいと考えている人の参考になればと思っています。あくまで私の考え方ですので、参考になりそうな部分だけでも持ち帰っていただけると幸いです。

安定感とは

まずは、言葉の定義をしたいと思います。
「安定感」という言葉は辞書的な意味だと以下のとおりです。

安定しているさま。または、安定している度合い。「安定感がある」と言った場合、ちょっとやそっとでは揺るがないと思われるような、いかにも安定している印象を受ける様子を指す。

「安定感(あんていかん)」の意味や使い方 Weblio辞書

では、次に「安定」という言葉の辞書的な意味は以下のとおりです。

落ち着いていて変動の少ない・こと(さま)。

安定(あんてい)」の意味や使い方 Weblio辞書

これらのことから「安定感」とは、以下の2つの状態を指していると考えられます。
・ちょっとやそっとでは揺るがない
・落ち着いていて、変動の少ないこと

本記事ではこれらの状態を総じて「安定感」と呼ぶことにします。

「安定感がない」と何が問題なのか?

「安定感」の定義から「安定感がない」とは以下の状態を指します。

・ちょっとしたことで揺らぐ
・落ち着きがなく、変動が多い

これらの状態がどのように問題なのでしょうか?安定感がない場合について、2つの視点から説明します。

1. 自分自身の視点

・少しのことでストレスを感じる
・周囲の影響を受けやすい
・気分によって行動が左右されやすい

こちらは皆さんも経験があるかと思います。気持ちや周りに左右されずに行動できたらどれだけ良いことでしょうか。しかし、この視点だけであればまだ大きな問題ではありません。なぜなら、影響があるのは自分自身だけで、困るのも自分自身だけだからです。問題は次の視点です。

2. 関係者の視点(安定感がない人と関わる人の視点)

・相手の状態を意識しなければならない
・依頼する際には、悪い状態を前提にする必要がある
・完遂してくれるか不安を覚える

これらのことは、目的の場所に荷物を届ける2つの宅配業者にたとえることができます。

・いつも10分で届けてくれる宅配業者A
・調子が良いと5分で届けるが、調子が悪いと30分以上かかる宅配業者B

前者は安定感があること、後者は安定感がないことのたとえです。皆さんはどちらの宅配業者に依頼をするでしょうか?

上記のような何かを依頼する場合を始めとした、安定感がない人と関わる際には、相手の状態を意識する必要があります。相手が感情的になりやすかったり、気分によって行動が左右されやすい人だと、本来意識する必要のないところまで気にかけなければなりません。この、相手に対して少しの負担をかけてしまう点が「安定感がない」ことによる問題点だと思います。

これらのことから、相手とより良い関係を築くために、そして自分自身の行動が気持ちに左右されないためにも「安定感がある」ほうが良いと私は思います。

○○の安定感

「安定感」はあくまで状態を指す言葉なので、何かしらの対象があって、その状態に対して「安定感がある」と言っているのです。

では、その対象とはなんでしょうか?様々なものが思いつくかと思います。たとえば仕事に関するものだと、以下のものが考えられます。

・パフォーマンス
・モチベーション
・成果

今回の対象として取り上げるのは、パフォーマンスやモチベーションといった具体的な個々の安定感の要因には触れず、もっと抽象的で様々な事柄の土台となる、「精神面の安定感」について深く掘り下げていこうと思います。

安定感の要因

私の安定感の要因を考えてみたときに、要因の一部として以下の5つが思い当たりました。これらを意識することで安定感につながるのではないかと思います。

・視点を複数持つ
・自信を持つ
・自分の都合通りに相手は動かないことを念頭に置く
・感情的になったらその場を離れる、時間を空ける
・失敗を気にするのは当日だけ

それぞれについて説明します。

視点を複数持つ
物事の見方に関して、一方向だけで捉えてしまうと、その判断が全てになってしまい、偏った見方になりがちです。間違った判断をした際にも、その方向でしか進めることができず、結果として予想以上の苦労、思い込みによる過度なストレスを抱えてしまうこともあるかと思います。ですが、立場や状況、捉え方など、様々な視点で物事を見ることができれば、起こりうる可能性が想定でき、仮に何かが起こったとしても、落ち着いて対応することが可能です。先が見えているとそれだけでも大きく違うので、様々な見方で世界を眺めてみましょう。

また、複数の視点を持つ際には必ずポジティブな視点を持てるようにしましょう。たとえば、何かしらの失敗をしたとしても「今失敗したから次は失敗しなくて済む」や「私が先に失敗したことで、周りの人が失敗しなくて済むようになった」と考えられるようにすることが大切です。もちろん、失敗に対して向き合うことや振り返ることは大切ですが、自分に厳しすぎても精神的に辛くなってしまうので、そういった楽観的な考えが共存できると気持ちは楽になると思います。

自信を持つ
自信を持つことはとても大切です。自信がなければ自分自身の発言や行動を信じきれなくなってしまい、迷いや不安が生まれます。

ただ、そう言っている私は基本的に自信がありません。より具体的にいうと、根拠のない自信を持つことができません。だからこそ、自信を持つためにその根拠を探します。具体的な答えがあるものに関してはその答えを探せば良いのですが、明確な答えがない場合、100%正しいとは言い切れない状況によく遭遇するかと思います。そんなときの根拠の探し方としては主に2パターンがあると考えています。

1. 過去の成功体験を用いる
2. 不安となる要素の排除

1については、自信を持ちたい対象と似た経験を探し出し、「前に似たようなことが出来たのだから今回だって大丈夫」と考えることで自信を持たせます。「似たような成功体験なんてない!」と思う方がいると思いますが、その際は視点を変えてみてください。規模の大小や異なることであっても、見方を変えると共通点は必ずあると思います。それでも見つからない場合は、全く関係ないことでも構いません。重要なのは「あれが出来たのだから、これだって出来る!」と思えることです。

2については、「失敗したらどうしよう」といった不安から、自信を持つことができないケースです。その場合は、失敗する要因となりうるものをリストアップして、「Aはこの対応をしているから大丈夫」「Bは今回は起こらないから大丈夫」といったように、1つ1つ要因を潰していくことで「これらに対処しているから大丈夫」と考えることで自信を持たせます。

どちらに関しても、正確には根拠とは言えません。1については似ていたとしても同じではないですし、2についても仮に全ての要因を排除したとしても、100%大丈夫とは言えません。ただ、何より重要なのは自分の判断が正しいと思えるかどうかです。自分の意見や考えを自分自身が信じてあげられるようにしましょう。

自分の都合通りに相手は動かないことを念頭に置く
私にとっての都合や考えがあるように、相手にも相手の都合や考えがあります。そのため、「こうしてくれるといいな」といった相手に対する期待や願望を前提に行動すると、そうしてもらえなかった場合に相手への失望につながり、そのモヤモヤが不安定につながります。

そもそも、自分は物語の主人公ではないですし、世界の中心は自分だということはありません。そのため、皆が自分のために行動してくれるなんてことはありません。また、多くの人は超能力者ではないので、思っているだけでは相手には何も伝わりません。

ですので、相手にしてほしいことがある場合は言葉にして伝えましょう。
ただ、その一方で「こうしてほしい」とお願いしたのに、その通りにしてもらえなかったなんてことが起こると思います。その場合でも相手を責めてはいけません。「なぜ責めてはいけないのか?相手が悪いだろ!」と思う方がいるかもしれませんが、その場合も相手を超能力者にしています。

こうしてほしいと思ったことの全てを相手に伝えたとしても、相手がその内容を理解し、納得し、次に何をすべきかの認識が合っていないと、それは伝わったとは言えません。その確認が終わり、相手が行動した結果が伝わった内容となります。この点を間違えてはいけません。

繰り返しになりますが、思っているだけでは伝わりません。また、話した内容全てがそのまま相手に伝わるわけではないです。相手を超能力者にするのではなく、同じ人間として扱いましょう。

感情的になったらその場を離れる、時間を空ける
前提として、怒るという行動を取ってはいけません。全ての出来事に関して「怒る」という選択を取る理由はありません。「そんなつもりはなかったが、感情なんだからつい出るでしょ」と思う方がいると思いますが、怒りはコントロール可能です。詳しくは、「嫌われる勇気」や「アンガーマネジメント」の本をお読みになるとよいと思います。

ただ、それでも気持ちに余裕がなくなったり、理不尽な要求や無茶苦茶な意見によって心にゆとりがなくなったり、つい感情的になりそうな場面はあるかと思います。その場合であっても感情的になってはいけません。

では、どう対処すればよいのでしょうか?それは、少し考える時間を与えてあげることです。一時的に感情的になったが、後から振り返るとその考え方も一理あるなと思ったことがあるかと思います。時間を空けて改めて考えることで、冷静な目で向き合うことができます。もちろん、改めて考えても無茶苦茶だ!ということもあると思います。その場合は、無茶苦茶だと思う点について、相手に質問をし、相手にもその点を理解してもらいましょう。一度落ち着いて冷静になれば、どう対処するかを考える方向に頭を使えると思います。

失敗を気にするのは当日だけ
失敗したその日のうちは気にするのは分かりますが、それを何日も引きずることは精神的に良くないです。日々多くの失敗をする中で、ある1つを引きずってしまうと、他の失敗も気になるようになります。しかし、いくら「あの時こうだったら」と考えても、過去を変えることはできません。ですが、未来を変えることはできます。その日のミスはその日のうちに振り返って、綺麗サッパリ忘れましょう。

ただ、どうやって忘れたらよいのか。これはとても難しい問題で、その方法は人によるとしか言えません。たとえば、私の場合は寝たら忘れられるので、気持ちがしんどい場合は寝る時間を早めています。これはあくまで一例なので、皆さんは皆さんなりの方法を探してみましょう。

おわりに

私の安定感について、その要因だと思われることの一部をご紹介することで、安定感の正体に近づけたのではないかと思います。行動や考え方の方針としては、

・悲観的にも楽観的にも物事を捉える
・自分の考えや行動を尊重し、相手の考えや行動も尊重する
・過度にストレスを抱え込まない

が大きく占めていそうだと、本記事をまとめている際に感じました。
これらの方針が、安定感の定義として挙げた2つを満たしているか照らし合わせてみると以下のようになります。

・様々な見方や捉え方をしており、自分も相手も尊重しているため、ちょっとやそっとでは揺るがない
・過度にストレスを抱え込まないため、落ち着いていて、変動も少ない

無理矢理感は否めませんが、なんとなく定義を満たせていそうに感じました。意識的に行動していることが少ないため、この他にも安定感につながる行動や考え方があるかもしれません。それらについても言語化できた際には、またこのような形でご紹介できればと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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