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日々是くらげ340日目「『しずかちゃんとパパ』は『自然な差別』を真正面に描いた力作になりそう」という話

「コーダ あいのうた」という映画がアカデミー賞を受賞して世界的な大ヒットを納めたためか、日本でも少しずつコーダへの認知率が上がっているようようである。

コーダとは両親が聴覚障害者という方々で、コーダ自身は耳が普通に聞こえる人である。それだけ聞くとわざわざ「コーダというカテゴリ」を作って区別する必要もないうように感じるが、コーダの方々にはヤングケアラーに近い困難が生まれることがよくある。(そもそもヤングケアラーそのものと認識している人もいるが)

今回はコーダの問題について細かく書く気力も時間もないからパスするが、昨日からNHKで「しずかちゃんとパパ」というドラマが始まった。昨年NHK BSで放送されたドラマが好評だったので地上波でも放送したことになったようである。

内容はコーダの女性とろう者のパパとの間での出来事を描くものらしいが、昨夜に見た1話ではストーリーよりもコーダや聴覚障害者が普段から直面している困難や無理解について丁寧に掘り下げられていてかなり好感が持てた。

1分間に1回くらいはなかなかやるなという描写があったけど、特にすごいなと思ったのが「ご飯だよ」と呼ぶときにスイッチをカチカチして電気を消したりつけたりするというシーンだった。

普通の人から見れば何をやっているかすらわからないかもしれないが聴覚障害者としての私からすれば懐かしいというか「これはあるあるだよな」ととても嬉しくなった。こういうさりげないシーンをさらっと入れることが取材力だと思うし、丹念に作られているドラマだと感じた。

また、このドラマではパパの妹が手話を使わないのだが、Twitterの反応などを見ると「なぜ妹が手話を使わないんだ」という疑問を持った人が多かったようである。

おそらくはこの先掘り下げられていくだろうが、この「妹が手話を使わない」「娘が自然とパパの耳の代わりをしている」ということが聴覚障害者やコーダが直面する問題の本質が込められているように感じる。(ここで含まれている問題についてはあえて今は触れないことにする)

それにしても、「あなた(コーダの女性)が嫌われる理由が聴覚障害のあるお父さんと一緒に暮らしているためでは」という問いかけが1話から出てきてるんだけどこれは随分とチャレンジしているというか、非常にでかい「差別を描く」という爆弾を投げてきたなと感心した。話が進むごとに展開はかなり重くなっていくだろうから、期待しながら見ていきたいと思う。

余談ではあるが、一部の聴覚障害者の間では鶴瓶師匠がろう者を演じることに対して批判的な声もある。しかし、Twitterなどで感想を見ているとこのドラマの言及は俳優への注目がほとんどで手話や差別に興味を持つ人はそれほど多くはない。少なくとも手話や差別というものがストレートにドラマを視聴する理由にはなっていない。まずは俳優がどうであれ、この手のドラマを見てもらうということが「知ってもらうため」にも大事ではないかなぁと思う次第である。(これから聴覚のある俳優が少しずつ出て行くとは思うが)

妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。