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バスタフェロウズ リンボルート感想

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最初に攻略したのはリンボだ。

メインストーリーがあり、その中で繰り広げられる会話や行動の選択によってルートが変わると思っていたのだが、実際はエピソード3だかでやらされる心理テストの結果で決まる。

私は「自分はこうだろうな」と思うものに答えた。そうしたらリンボだった。「だろうな」と思った。

正直、序盤のストーリーを進めているだけで1番気が合うのは彼だろうと悟っていた。

リンボは超敏腕弁護士であり、実家は超金持ち。けれど偉そうぶることもなく、明るく、優しく、フレンドリー。よく笑い、よく食べ、26歳にも関わらず、美人で怖いお姉ちゃんの尻に敷かれている弟。かわいい。

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そんな彼にはハッピーエンド一つとバッドエンドが二つ存在する。※ここからネタバレあり


リンボルートは"ナヴィード"という爽やかボイスのリンボの元同僚が現れることによって事態は動く。

予備知識なしで始めた初回プレイ時、二つある選択肢のうち「好感度上がらない方だろうな」と思う方を選んでやっていた。(例えば、落ち込んでいる彼がいるときに「声をかける」と「そっとしておく」なら後者を選ぶなど)

そうしたら撃たれて死んだ。

バンバンっと音がして暗転し、「The end」の文字が表示されて終わった。

驚き過ぎて固まったし、「ええ?」と声が出た。

眠りにつく前、うとうとしながらやっていたのに完全に目が覚めた。

私は死にたいわけではなく、友達ルート的な、誰ともくっつかない仲良しルートを目指していたのになんてこったと思った。(尚そんなルートはない)

ガチャガチャとSwitchを操作して再び、プレイを開始し、今度はリンボの好感度が上がりそうな方を選び直してプレイした。ここらへんは返事が変わるだけであまり意味がなかったようだが。

とにかく、撃たれる原因になったであろう選択肢を変えてやっているとハッピーエンドを迎えた。

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チュッチュッしてるリンボは26歳の可愛らしさと大人の色気を併せ持っていて非常に良かった。

けれど甘過ぎて「うわあああ」と言いながら斜め半分に見た。乙女ゲームプレイヤーの皆さんはこういう時どんな顔で見てますか?

ハッピーエンドを迎えると、後日談として新たにストーリーが公開される。

こちらは見ているだけだが、くっついた後のキャラが見れるので、更に甘々な部分が見ることが可能だ。

若干、台詞の節々からリンボがお坊ちゃん過ぎて庶民のテウタと釣り合ってない感があって少しつらかったが、そこはリンボ。包容力たっぷりにフォローしていた。凄い。

私が男なら、彼女を高級レストランに連れて行って「緊張して食べれなかった」なんて言われたら結構凹む。

彼はとにかく面倒見がよく、本当に明るく素直だ。ヒーローだなんて言われているが、それがとてもしっくり来る。

ハッピーエンドではそんな彼の姿がたくさん見られるので是非プレイして頂きたい。


ただ、個人的にはもう一つのバッドルートが最高にグッときた。

リンボルートは不法入国者の話が主で、これが結構重い。

ニューシーグには、貧しい国から攫われたり売られたりして、コンテナにぎゅうぎゅうに詰められて人が運ばれてきて、過酷な労働環境を強いられている闇の現状が何度も描写される。

その事で、かつての同僚であり、友人であり、相棒であったナヴィードと、リンボは深い軋轢を生じることになる。

ナヴィードは悪役として登場するが、私個人としてはナヴィードの復讐は当然のものに思えるし、しかしリンボの主張も正しく、なんとも言えない後味の悪さがある。

ナヴィードは愛する人を助けたかった。

リンボは仲間の犯罪を許せなかった。

ただ、それが不幸を生んだ。

ナヴィードの復讐は歪んでいる。愛する人を助けたかった。ただそれだけなのにリンボの弁護士としての正義感に邪魔をされ、後一歩のところで助けられなかった。

だから、リンボが愛する女を殺し、同じ絶望を与えようとした。

このルートでは、テウタは殺される。

真っ赤な血に染まったバスタブの中で死んでいるテウタを見て、震えるリンボをナヴィードは煽りに煽って(いやほんとここめっちゃ煽ってた)射殺される。

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いや〜、弾切れになるまで何度も何度も撃ち、切れても何度も引き金をカチカチ鳴らしているリンボにキュンとしましたね。

この射殺事件の前、リンボがピアノを弾く描写があるのですが、テウタはリンボのピアノ演奏に合わせて楽しそうに鼻歌を歌うんですよ。

ナヴィードが煽りまくってる間、そのピアノの演奏が流れて、テウタと過ごした思い出がフラッシュバックし、リンボの泣き顔と交互に映るんですが、そこの演出がめちゃくちゃ良かったですね。

エヴァってあるじゃないですか。新劇場版。

エヴァって「いや地獄…」みたいなシーンで凄く優しい軽やかな音楽が流れるんですよね。キャラクターみんな絶望だみたいな顔してるのに。

その演出が最初凄く怖かったんですが、そんなゾクゾク感がありました。

最後、裁判所に被告人として現れたリンボは、目の光を失って廃人のようになっていた。

自信満々で勝気だった彼が、弱々しい声で「なにもわからないんです」と淡々と呟く様はとても痛々しかったです。

ここでまたテウタの鼻歌が流れるんですが、暗転して真っ暗な画面の中、微かにリンボが鼻歌を歌うんですよね。

もう完全に壊れてしまったようでした。お終い。


……ってな展開だったのですが、こう、なんでしょう。

凄く愛していたんだな〜って伝わる話だと思いません?なので私はこの話が1番お気に入りです。

正直、出会ったばかりだし恋人にもなってないし「どこでそんなテウタに惚れたの?」という疑問はありますが、良いエンドだなーと思いました。バッドエンドには違いないのですが。

きっと、私がナヴィードの立場なら同じような復讐をすると思います。

愛する人を失うのが最も苦しい事だと思うから。

ハッピーエンドの時、リンボも同じように言うんです。だから少し、少しのズレがこの悲劇を生んだんですよね。

そんな、じんわりとした余韻を残してくれる話でした。

余談ですが、リンボの部屋着姿が眼鏡で可愛いです。

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