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わからなくていいのかもしれない

わたしの母は認知症になってから、いろいろと作り話をするようになった。
最初のころは周りの人も、その話が本当だと思い、熱心に聞いてくれていた。
なので話の後からすぐ、わたしが訂正していた。

最近わたしの家で、わたしのつれあいと三人でお菓子を食べていた時、つれあいが母に「この中で誰が一番年上かなぁ」と聞いた。
すると母は、「そりゃわたしが一番下やわ」と、自信満々に答えるので、大笑いした。
みんなが笑うので、母は、「何が可笑しいの」と不思議そうにしていた。

今までのわたしなら、違うよとその場で訂正していたと思う。けれど最近は、母の思いの世界をそのまま受け入れて聞いてあげた方が、お互いに楽しく過ごせるのかもしれないと思えるようになってきた。

きっと母にとって、本当のことなんてわからなくていいのかもしれない。

そしてわたしも、母の思いを理解しようとするよりも、ただ寄り添っていればいいのかもしれない。

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