詩「瞬間」
思考で埋め尽くされそうな
心や頭の中に余白が生まれる
瞬間がある
余白は感覚を呼び覚まし
感覚は感性と手を繋ぎ
私のもとに現れる
風がゆれている
木漏れ日がやさしい
チョコレートがあまい
猫の毛がやわらかい
硝子の影がきれい
ふっと引き込まれる
「この瞬間を憶えておきたいと思う」
忘れる時のことなど考えず
はっと気がつく
こんなにもやわらかいモノたちを
見逃してしまうほど
忙しなく、疲弊していたこと
時間や人、予定に気を取られ
心まで囚われていたこと
誰を抱きしめるべきだろうか
誰を咎めるべきだろうか
どこに向かって
歩いているのだろうか
そんなことを考えず
「瞬間」に余白をあずけてしまいたい
「瞬間」を待っている
ただ、待っている
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