おじさん時計

夕方5時に公園へ行く。

ベンチに腰掛けていると、靴のサイズ分しか前進してないんじゃないかと感じるくらいうなだれ気味のじいさんが"日々の"運動をしている。
コンビニ袋に全財産を詰め込んだホームレスのおっさんは向かいのベンチに腰掛けている。
昨日は一つ隣のベンチだった気がする。こっちのおっさんもうなだれている。
サラリーマンおじさんは夕焼けの空を見上げたくて5時にやってきている。なので、当然、西の空を見上げるために東のベンチに座っている。

公園の西端をじいさんが横切っているのが見える。
最近は公園で野球をしたりサッカーをする少年たちを見かけない。
まるでおじさんとおっさんとじいさんの3人しか世界にいないかのよう。
夕焼けは毎日違って毎日キレイ。曇りの日だと少し残念。
雨の日あのおっさん達はどうしているだろうと、
ディスプレイの前で考えることもある。

さっきのじいさんが目の前を横切る。
何もそんな近くを通らんでも、とも思うけど、
黄道のようにじいさんの道は決まっているのだろう。
おっさんは明日もう一つとなりのベンチに座るのだろうか?

今日も3人が時を刻む。
おじさんはすっくと立ちあがり、
我々こそが時を司る神ぞ!
と、背伸びをしてから会社へととぼとぼ帰る。

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