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5. 難聴治療。絶対安静の入院スタート。 (難聴発症4日目)

月曜日、朝起きると右耳は全く何も聞こえないのは明らかだった。ヘッドフォンで音量MAXにしても右耳からはもう何も聞こえなかった。

予約していた耳鼻科に向かう。
朝一で予約を入れてたので、クリニックに着くなり担当の先生が待ってましたとばかりに勢いよく診察室から出てきてくれた。

先生に自分の右耳はおそらくほぼ聞こえていないことを伝えると「すぐに検査しよ」と検査室へ案内してくれた。

検査結果の紙を見ながら先生が険しい表情する。
急性感音性難聴について説明してくれるが、私の頭が反応できていない。先生の声ががうつろに頭の中を流れていく。

聴力回復の見込みはどれくらいあるのだろうか?
一番聞きたいけども怖くて聞けない。眉間にシワを寄せる顔の先生をみていると結局聞けなかった。

「今からすぐ入院して、今日から治療を始めましょうね」
入院施設がある別の病院に転院することになった。

入院施設でさらに詳しい検査を受ける。

入院施設での検査内容
①聴力検査(純音聴力検査)

②CT検査
内耳や頭蓋内に出血した形跡や腫瘍がないか確認。外からでは見えないところ(耳の骨や蝸牛という組織)に異常がないかを確認。外リンパ瘻の場合、リンパ液が漏れ出てる形跡があるか確認。(異常所見なし。鼻炎のみ)

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③肺のX線、心電図、腹部のエコー検査
他の疾患が隠れてないかも検査。おそらく、この病院の入院するときのルーチンの検査。
(こちらも異常なし)

④血液検査
・ヘルペスウィルス抗体価
・末梢血一般
・肝炎ウィルス検査


外来の待合室には、わたしのほかにスーツの男性が一人座っているだけだった。

午前診療の最後の枠で聴覚検査をしてもらった。
聴覚検査では特殊なベッドフォンをして、音が聞こえたら押すボタンを手に持つ。

右耳検査では押すタイミングがなかなかない。
たぶん凄まじい音量がベッドフォンから出ているのだろうけど、右耳からは何も聞こえない。音量が大きすぎるせいか頭蓋骨が振動しているのがわかる。振動音がわかったタイミングでボタンを押した。
たぶん間違った押し方だとは思う。左耳で聞いたなら鼓膜がどうにかなりそうな音量なのだろう。頭蓋骨にはビリビリと音の振動が伝わるけれども検査が終わるまで右耳は音らしい音を感知しなかった。

「終わりにしますね。お疲れ様でした」
看護師さんが穏やかで優しい声で話しながら、ヘッドフォンを外してくれた。不意に緊張がプツリと切れてしまい涙がとめどなく勝手に溢れてきた。
「辛いよね。ティッシュ山ほどあるからね。」
看護師さんが私のよこに座り、背中を優しくさすってくれた。2分ほどひとしきり涙がこぼれると不思議と気持ちが落ち着いた。

新しく担当となった先生から外リンパ瘻という病名を教えてもらった。CT画像には外リンパ瘻特有のサインは見当たらず、特徴の一つである目眩も全くなかった。それでも他の疾患の可能性を除外していくと外リンパ瘻が最もあてはまるらしい。今日から約10日間の安静入院とステロイドの点滴が始まる。

案内してもらった病室には空のベッドが6つ並んでいた。病室のネームプレートには自分の名前だけがポツンと貼られている。大部屋は自分一人だけで窓側のベッドを使わせてもらえる。隣の部屋も患者さんは一人しかいない。廊下は静まりかえっていた。

入院中はただひたすら安静に過ごす。ただの安静ではなく絶対安静でほぼ動かずに過ごすことになる。右耳を上に向けて横になり、できるだけ頭を動かさずに経過をみる。ステロイド点滴を1日1回、5日間続ける。ベッドのボードには「絶対安静、移動は車椅子、頭20度ギャッジアップ」と書かれていた。

横になると早速ステロイドの点滴が始まった。

一日中、ほぼ動くことなく頭をじっとさせて左向きで寝るだけ。これを10日間。諸々の情報を頭の中でまとめると、不安しかない。

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投薬内容
点滴: 水溶性プレドニン50mg+ソリタT1(200ml)
内服薬:カルナクリン錠、メチコバール、ムコスタ、キプレス、ネキシウムカプセル、アデホスコーワ、マグミット、アレロック

この日のお会計
耳鼻科クリニック(外来診療)
再診療+紹介状+聴力検査 2,020円
(これまでにかかった医療費合計 7,680円)

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