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4. ある日、急激に聴力が低下。症状をさらに悪化させた日のこと。(難聴発症3日目)

朝4時に自然に目がさめて、すぐに気づいた。
右耳の閉塞感がすごい。右耳から首筋にかけて重苦しい閉塞感がある。粘土を右耳からギッチリとと詰め込まれたような閉塞感がはっきりとわかる。

右耳のそばで指を鳴らしてみたり、耳を塞いで「あー」と言ってみるが、右耳は音が全く聞こえない。左耳はいつも通りに聞こえている。

びっくりするくらい聞こえない。
寝起きで頭が働かない。
「なんで?なんだ?難聴が悪化してる?」
右耳にヘッドフォンを当て携帯から音楽を流してみた。

ぜんぜん聞こえない。昨日より悪化している。

ボリュームを上げていくとMAX近くでようやく…シャカッ…シャッカ...とかすかに聞こえる。

そんなはずはない。
いくらなんでも聞こえなさすぎる。
こんなに急に聞こえなくなることがあるもんか。
待て、イヤフォンの問題かもしれない。
左耳で聞いてみた。

鼓膜をつんざく凄まじい音量で脳ミソが揺れた。
左は普通に聞こえている。

昨日受診した耳鼻科の先生が「ゆっくり休んで」と言っていた。突発性難聴の治療はまずゆっくり休むことらしい。
ステロイド剤も処方してもらってある。

今日は家でゆっくり過ごすつもりでいる。ただ「難聴が急速に悪化する場合は入院」と先生が言ってたのが気になる。もし入院するとなれば、だいたい10日前後かかるらしい。案外長い。

念のため少しだけ部屋の片付けと荷物の整理をすることに。軽い掃除くらいは無理のない範囲だと思っていた。

やめとけばよかった①
顔を下げる、頭を下げた状態で何かする

=内耳に圧がかかる

風呂掃除なんてしなければよかった。
トイレ掃除なんて今しなくてもよかった。

やめとけばよかった②
腹圧をかける、息を止める、いきむ
=内耳に圧がかかる

中途半端な筋トレなんて、やめておけばよかった。

私の場合、難聴の原因は耳の中の蝸牛(かぎゅう)という部分に問題があった。耳抜きなどの強い衝撃によって蝸牛の薄い膜が裂けてしまっていた。
頭を下げたり、腹圧をかけたり、クシャミやあくびをすると耳の内部に圧がかかるこの圧が症状を悪化させていた。本来は蝸牛内部に留まっているはずのリンパ液が蝸牛の裂けた部分からチョロチョロと流れて出てしまっていたらしい。このリンパ液が流出してしまうと(程度にはよるが)内耳の機能はぶっ壊れる。

難聴を発症してから、私の右耳は不思議な流水音がずっと聞こえていた。リンパ液がチョロチョロと流れ出していた音なのか。

頭を下げたり、くしゃみをしたり、咳をするごとに難聴と耳の閉塞感はどんどんと悪化していく一方で、この時の私は自分の右耳に何が起こっているのか全くわかってかなった。

夕方、気分転換に散歩に出かけることに。
さらに自分を追い込む。

やめておけばよかった③
安静にしない

聴力を急激に失った状況で散歩なんて行くもんじゃなかった。音に気付くのが遅い。遅いのか、この耳の状況に脳が対応できてないのか。例えば横断歩道で自分の右側にある信号機から「ピヨピヨ」音が鳴っていたが、右耳では全く聞こえてない。まるで信号機は自分の左側にあるように感じる。自分の右側を走る車も自転車のチリリンも、どこから音がするのか、音源の方向がわからない。全てが自分の左側にあるかのように脳が処理している。私の脳は状況に全くついて行けてないことを自覚した。

散歩は気分転換どころでなく、行く前よりもはるかに落ち込んで帰る羽目になった。

ネットを検索して「難聴」に関するいろんな情報を読み漁ってみることに。飽きるまで思いつく限りの検索ワードを試して、いろんな人の体験談を読んでみたりもした。励まされたり、落ち込んだり。

回復できた体験談を読むと、結構早い日数で回復している。ただひたすらにうらやましい。

難聴に関するネット情報は山ほどあるのに、私が知りたい情報にはなかなかたどり着けない。

「きっとそのうち治るはず」と自分に言い聞かせて夜はテレビを見ながら寝転んだ。
右耳からはキーンと高い耳鳴りと不思議なことに清らかで優しい流水音だけが絶え間なく聞こえる。

ぼんやりテレビを見ていると、あくびがでる。
耳の閉塞感のせいか、いつもよりあくびが出る。

やめておけばよかった④
聞こえない耳を下に向けて寝る
=内耳に圧がかかる

やめておけばよかった⑤
あくび、せき、くしゃみ、鼻かみ
=内耳に圧がかかる

色んなことを考えて、いろんなことを後悔した。
後悔といっても何に後悔したらいいのかもよくわからないから、手当たり次第、思いつくままに後悔してみた。

私は耳が急に悪くなってから、「何かのきっかけでそのうち治るかな」と期待していた。
いつまでたっても回復しない自分の耳と過ごすうちに、何かの罰にあってるような気もした。
「何かすれば治るかも」と色々試してみた。
「きちんと生活してすれば良くなるかも」
「身体を鍛えれば治るかな」
「首のあたりの循環が良くなれば…」
何かをすれば治るかも」根拠のない期待にすがっていたかもしれない。

今思えば、耳が悪くなったのは何かの罰だとか、生活に問題があるとか思わなくて良かった。

単に内耳に物理的な障害が起こっていただけだ。

ただひたすらじっと安静に過ごしていることが、重要な治療方法だと知ったのはだいぶ後のこと。

今、これを読んでいる方の中で、もしも聴力が突然急速に低下している自覚があるのであれば…
(私の個人の経験から)

 1.  とにかく早く耳鼻科を受診 する

2.  医師が勧める(確かな根拠に基づく)治療を早く開始する 。
外リンパ瘻なら「安静」が大切。

3.  頑張らなくていい。掃除とか今しなくていい。

4.  休む。とにかく安静に過ごす。

日常生活行動と疾患増悪の関連については、発症時期や障害の程度によって個人差があるかと思います。私自身は耳鼻科の専門家ではなく、自身の体験や得た知識に基づいて記載しています。より正確な情報は耳鼻科医師や専門家に確認されることをお勧めします。本当にオススメします。

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