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ナポリ人と暮らしてみれば

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大阪でナポリ料理レストランを営む僕のパートナーのモニちゃんとその父エンツォはナポリが故郷。ナポリに縁もゆかりもない僕がナポリに長期滞在してナポリ人と暮らしてみた率直な感想を淡々と…
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#ローマ

【はじめに】ナポリ帰省・前日譚

「イタリア人にタイチみたいな髪型の人はいない!」エンツォは僕の髪型を見てそう断言した。僕はハハハと受け流しながら、肩の下まで伸びた髪を頭上で結んで、エンツォが作ってくれた白インゲン豆のパスタをスプーンですくってハフっと頬張った。 エンツォが主語を「イタリア人」にして話すときは脳内で「“ナポリに住む”イタリア人」に変換しなくてはいけない。彼にとっては地元のナポリこそ真のイタリアなのである。 同じく白インゲン豆のパスタを食べた僕のパートナーのモニカ(以下、モニちゃん)はエンツ

ローマのご機嫌なSIM姉さんとホスト姉さんの働きっぷり

長旅でぐったりと疲れ果てたモニちゃんを見て見ぬふりをして、僕はエスプレッソの空きカップが散乱した汚いカウンターでニコニコ顔でエスプレッソをすすっていた。 僕らは韓国経由でローマ空港に到着し、念願のイタリアの地を踏んだのだが、トランジットで一泊した韓国の食事が口に合わなかったモニちゃんはすっかりご機嫌斜めのようだ。僕は景気良く頼んだドッピオ(2倍の量)のエスプレッソをズビビッと飲み干した。旅の目的地はローマではなくナポリなのだ。チャキチャキと段取りを進めなければならない。

ローマ・テルミニ駅の洗礼と、サイレント車両でやかましい動画を見る男

ローマのゲストハウスで一泊した僕らは、とうとう旅の目的地であるナポリへ移動することに。ただ、ナポリには夕方に到着する予定なので、午前中はローマ観光をすることにした。 モニちゃんがスマホを見ながら「もしかするとヴァチカンがすぐ近くにあるかも」と言い出した。僕も調べてみると、なんとゲストハウスからヴァチカンまで徒歩10分程度の近さではないか。 僕らはベタな観光に全く興味がないので、たまたまヴァチカンのすぐ近くのゲストハウスに泊まっていたことにそのとき気がついた。観光に興味はな