イーロン・マスクの巨額報酬パッケージ

今回はUnhedgedの「Elon Musk's Pay Packages」というエピソードを解説する。


マスク氏の報酬パッケージ

2018年、テスラの株主はCEOのマスク氏に対して、同社の株式で560億ドル相当の報酬パッケージを承認した。この報酬パッケージは、マスク氏が彼に設定された野心的な目標すべてを達成した2024年に大きな論争となった。これらの野心的な目標は、同社の時価総額や売上、EBITDAのような事業目標に結びついていた。その考え方は、会社の価値が上がれば上がるほど、マスク氏には取締役会からより多くの株式が受けるというものだった。

報酬パッケージに関する訴訟

株主のRichard Tornettaは、取締役会のマスク氏へのこれらの株式の授与決定は、信託義務(Fiduciary Duty)違反であると主張して訴訟を起こした。訴訟は初めて成功し、裁判官は授与された560億ドル、3億4千万株が不適法であると裁定した。しかしながら、裁判官の決定は、証拠、報酬コンサルタントの報告に基づいていたものの、報酬のためにセットされた目標数値に対する根拠が欠如していた。

報酬パッケージに対する株主の投票

 テスラは、再承認投票で株主に再度報酬パッケージの是非について投票するよう求めた。一般株主の株式が希釈されるにもかかわらず、彼らの70%がそれを承認し、報酬パッケージを支持していることを示した。
訴訟はまだ続いており、原告は原告が勝利した場合に株主が560億ドルを節約することによる、50億ドル相当のテスラ株式を受けるべきだと主張している。

テスラのテキサス州への本社移転

ポッドキャストではまた、テスラがデラウェア州からテキサス州への本社所在地の移転を決定したことについても触れている。デラウェア州はその洗練された企業法で知られており、多くの企業が法的安定性等の理由でデラウェア州での法人化を選んでいる。しかし、テスラの本社移転は株主によって承認され、これまでに中立的または好意的に受け入れられている。この本社移転はマスク氏にテキサスでより自由度を高めることができ、株主はこれが良い考えだと考えているようだ。この本社移転がテスラの未来や会社内の力のダイナミクスにどのような影響を与えるかはまだ見えていない。

コメント

日本における役員報酬についてはいろいろな角度から指摘がなされているかと思います。
特に個人的に注目しているのは役員報酬に関する開示についてです。この点については日ごろ拝読させていただいている「金商法についてあれこれ」さんでも触れられています。役員報酬の設計の議論にしても、まずは適切な情報が開示されていることが前提なのかと思ってます。
開示に関する話ではないですが、日立が社外取締役に株式報酬を導入するなど、役員報酬に関する考え方がアップデートされているのではないかと思います。今後もこのような動きに注目していきたいと思います。


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