「YUN–ROCKIN'ON WORLD」(ユンボ安藤 自作自演インタビュー)ロックスターの章 後編
「YUN–ROCKIN'ON WORLD」
(ユンボ安藤 自作自演インタビュー)
ロックスターの章 後編
この作品はあらゆる並行世界(パラレルワールド)において、各ジャンルで世界的成功を収めてきた希代の天才、奇跡のタイムスリーパー、ユンボ安藤氏のロングインタビューである。
今回お送りする並行世界は国際的なロックスターとして大成功を収めたユンボ安藤氏のインタビューという名の「新・世界史」後編となります。
■インタビューはユンボ氏が休暇中に過ごすスコットランドの別荘、UKレオパレス21近くの「目利きの銀次」武蔵エジンバラ東口駅ビル2号店にて収録。
□インタビュアー(以下●)
まあ、ご家族の話はこの辺にしまして。(前編参照)
ユンボさんはロックスターには珍しくアンコ型体型ですが。
体型の維持はどのように?
□ユンボ安藤(以下○)
う〜ん。お相撲さんの生活からお稽古を抜いたライフスタイルかな。
●食って寝てるだけじゃないですか。
○ごっちゃんです。
●動いたほうが…
○いやいや、君はスポーツジムから出てくるロックスターなんか見たいかい?
●いやでも…
○いつの時代も「ロックと不摂生」は姉妹都市なんだ。
●し、姉妹都市?もう少しいい例えがあったのでは…
○ロックンローラーが健康的でどうすんだい!
●はあ…
○ジャージ着てランニングマシンを走るぐらいなら、僕はムームーを着て東横のれん街を歩きたいんだ!
●でも健康は大事かと…
○(座るとピーピーと愉快な音が鳴る椅子から立ち上がりビブラートを効かせた大声で)
君はぁぁぁ何にもぉぉぉわかってないぃぃぃ!
僕はぁぁぁいつまでもぉぉぉカジノやぁぁぁ店舗型ヘルスからぁぁぁ出てくるぅぅぅロックスターでぇぇぇありたいんだぁぁぁぁぁぁぁ!
(静まる店内)
(腰にぶら下げていたトンファーをゆっくりと手にし、奇声と共に7分間振り回し心を落ち着かせるユンボ氏)
※余談だがこの7分間の間に飲み放題制限時間は無情にも終焉を迎える
●(頭に巻いていたネクタイを首に巻き直し)
すみませんでした。私が間違っていました。
○いいんだ、いいんだ。僕も少し言い過ぎたようだ。
確かに姉妹都市の例えは良くなかった。
●そこに怒ってたのかい!
○いやでも本当の話をするとね。
言っちゃダメだよ。内緒だよ。
●記事になります。
○最近、食生活を変えたんだよね。
お恥ずかしい限りで。
●いや、それは良かったですよ。
○そうだね。「ロックと破天荒」がフランチャイズ契約を結んでいた時代はとっくに終わったんだ。
●フ、フランチャイズ?
○もう肉は食べないよ。
●それは健康的でいいですね。
○以前の僕は肉ならなんでも食べてたからね。
特にジェシカおばさんが作ってくれたヌーのしぐれ煮なんか大好物だったね。
●ちょっと存じ上げないんですが。
○あぁそうか。母方の親戚で…
●ジェシカおばさんじゃなくて。
ヌーのほう。
○だから、ヌーをしぐらせて煮るんですよ。
「ヌー×しぐらせ×煮」ですよ。
これが大好きで大好きで。
もう毎日が「セックス・ドラッグ・ヌーしぐれ」
●またロックが抜けてます。
○まあ、その辺のことはセカンドアルバム「悪魔の婿養子はサウスポー」の中で曲にもしたしね。ほらオープニングナンバーの「津軽海峡ヌーしぐれ」
●あの曲は突然の演歌でビックリしました。
○ファンをビックリさせるのもロックンロールの大事な要素だからね。
●確かに。衝撃は大事です!
○僕自身、少年時代。ナポレオンズの首が回るマジックを見た時の衝撃を忘れられないんだ。
●ロックじゃねえのかよ。
○でも、もう肉は見るのも狩るのも嫌だね。
●狩ってはないでしょ。
○僕にとって牛や豚は今やただの交通手段ですよ。はい。
●乗らねえだろ。
○(店員さんを呼び)
すまない、シェフ呼んでくれる?
(シェフ、テーブルに)
○このサーモン料理、美味しいね。
良かったらレシピを。
シェフ「チルドです」
(シェフ厨房に戻る)
○どこまで話したっけ?
ホンジュラスでギャング28人に囲まれ危機一髪のところ、咄嗟に、時そばの改作「時スパゲッティ」を演じ爆笑の渦に叩き込み乗り切っただけでは収まらず、その快挙、功績が国中で讃えられ、ホンジュラスではその日が祝日になり、巻き寿司「ユンボロール」を家族で食べるのが風習になった話だっけ?
●違う。
ちなみにホンジュラスへはやはりワールドツアーで?
○観光で。
●行かないだろ。外務省のホームページを見てみなさい。
話を戻します。
お肉を食べないということはベジタリアンに?
○そうそう。そのへんの事はNEWアルバムの3曲目「ホルモンよりブルボン」でも歌ってる。
●肉をやめてお菓子?それもまたあまりカラダに良くないのでは。
○あの曲、聴いてくれた?
●もちろん聴きました。あの曲はドラムがいつものパワフルなサウンドではなく少しおとなしめだったのですが。
○ああ。なんかね、ドラムの椅子を変えたらしいんだよね。
背もたれ付きに。リクライニングの。
●リラックスしすぎでしょ。
○アイデアマンだよね。そりゃチカラ入んねえっす。
●ねえっすじゃなくて。
○あの曲のレコーディングの時は、ほぼフルフラット状態だったからね。
届くとこだけ叩いてた。ウケたなぁ。
●ウケたなぁじゃないですよ。
あと、サビの部分に意図的にノイズサウンドを入れた前衛的な試みをしていますが。
○エリーゼ食べてたからね。
●はっ?咀嚼音?
○歌いづらかったなぁ。無しだなありゃ。うん、無しだ。
●歌う時くらい我慢してください。
○いや、大事なのは衝動だから。
●ロックは!
○ブルボンは!
●そっちかい!
○あっそうだそうだ。
あのアルバムのレコーディングの時はスタジオでメンバー間で大ゲンカしてね。
●いいですね。そういうの聞きたいです。ロックっぽいですね。
○2対2で意見がもう真っ二つで。一触即発。
スタジオの端と端でお互い向き合って、火縄銃構えちゃって。
●うわぁ。ワイルドだなぁ。
揉めた原因はやはり音作りで?
○いや、唐揚げ弁当にするか、生姜焼き弁当にするかで。
●肉食ってんじゃねえか!
○弁当なら唐揚げ一択っしょ。
悩むべきは定食屋で食べる時。
●どっちでもいいよ!
○(背中に背負っていた柱時計を下ろし目視)
あっごめん。そろそろ次の予定の時間が。
●そうでしたね。すみません、すみません。長い時間。
ちなみにユンボさん、次のお仕事は?
○わがままと個性の違い及び、ビックルとピルクルとマミーの違いを、この際、真剣に考えようと思ってね。
●了解。
ユンボさん、最後に何か一言あれば。
○そうだねぇ…
君、ところどころタメ口だったね。
●えっ!
○ですよね?
●違うんです、違うんです。
○何がですか?
●あの…こ、子供の頃からの憧れの大スターを前に嬉しくなり、ついテンションが上がってしまい…
すっすみませんでした。すみませんでした!
○君は何を震えているんだい?
タオルケットはあるのかい?
●とにかく謝ります。
記者の立場を忘れ、ユンボさんに憧れていた子供の頃に戻ってしまい、つい自由にやり過ぎてしまいました。
すみませんでした!
○それだ!それだよ君。
それでこそロックではないか!
「ロックと自由」はいつだってモンテローザグループなんだ。
●モ、モンテ…
○さあ、首に巻いたネクタイをちゃんと頭に巻き直して。
●はいっ!
(ユンボ氏のローラースルーゴーゴーを乗り逃げした小柄な黒人用心棒もいつのまにか笑顔でユンボ氏の元へ)
○お前も自由だな。
全員 ワッハッハ!ワッハッハ!
○追加のカルアミルク、人数分!
店員 お客さん、閉店です。
「YUN–ROCKIN'ON WORLD」
【ロックスターの章】完
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