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漫文駅伝『三浦マイルドの田舎暮らし』 第9回 三浦マイルド

第9回
「東北ツアー」

どうも、三浦マイルドです。

7月17日から31日まで、約二週間、お股から火を放つ花電車という芸をされる、ファイヤーヨーコさんと二人で東北を巡業しました。

その土地の人と触れ合い、美味しいものを食べ歩き、最高に楽しいツアーでした。

現在、自宅で細川たかしさんの「北酒場」を聞きながら、旅の余韻に浸っております。

東北はラーメンのレベルが凄く高かったです。
普段は「ラーメンは3日に1回」と自制してる私が、15日間の間で計11食、ラーメンを食しました。

もし東北に移住したら、1年で10キロ太る自信があります。

ここはモデルやボクサーが住んではいけない土地です。

あと北国の人は、心が温かい人ばかりでした。
あの東北訛りが、良い人感を倍増させます。
広島弁とはエラい違いです。

「風邪ひくなよ」よりも「風邪ひくでねぇど」と言われた方が、優しさが染み渡ります。

東北弁=悪い人ではないと錯覚してしまいがちなので、東北訛りの詐欺師だとコロッと騙されてしまうかもしれません。

「おめーだけに教えてやっけどよ、低金利で多額の融資を受けれる話があんだよ。オラに保証金あずけてくれたらよ、半年で倍にしてやるべ」

信じてしまいそうです。

「割りのいいバイトあんべ。羽田空港で受け取った小包を、仙台まで持ってくるだけで10万貰えるだよ、おめー、やんねえか?」

やってしまいそうです。

東北弁は、聞いてる人を朗らかにする、素敵な言葉です。

この巡業で、バンドをやってる友達がたくさん出来たのも収穫でした。

オープニングアクトを務めてくれたり、ライブハウスのオーナーが普段は音楽活動されていたりで、打ち上げで音楽やエンタメの話が出来て、とても有意義でした。

一つ気になったのが、東北のバンドマンはタトゥー入れてる率が非常に高いことです。

タトゥーならまだ良いのですが、完全にヤクザが入れる様な和彫の入れ墨を入れてる方も何人かおられました。

ご一緒した方に念の為、確認で「普段、何の仕事してるんですか?」と聞いたら「塗装業」とおっしゃってましたが、本当かどうかは分かりません。

現在、東北の極道の間で、空前のバンドブームが起きてる可能性も考えられます。

肝腎要のライブも盛り上がりました。
各地で良いお客さんに恵まれたと思います。

福島の会場では、最前列に座っていた女性が笑いすぎて過呼吸を起こしました。

芸人冥利に尽きるな、自分もまだまだ捨てたもんじゃないなと深く心に感じました。

その方に終演後、話しかけられ「どうして、三浦マイルドて芸名なんですか」と質問されたので
「当時、吸ってた煙草がラークマイルドだったからですよ」と答えたら

「キャハ、ハハハ、そんな理由ですか!?ハハハハハハ!!」と爆笑されました。

尋常じゃないくらい、笑いの沸点が低いだけの人でした。

お家でも、「クレヨンしんちゃん」観ながら笑い転げてるのかもしれません。

どのライブも盛況だったと言いたいところなのですが、一箇所だけ、きつい現場がありました。

三沢基地の近くのライブハウス、お客さんの大半がアメリカ人でした。

最初、「アイキャントスピークイングリッシュ」と前置きして日本語で漫談しました。

当然ウケるわけなく、途中から、米兵達は、雑談をしはじめました。

「アイムフロム、ヒロシマ!ルーズベルトファックユー!トルーマンファックユー!」と喉まで出かかりました。

昔の私なら「アイハブ、ゴッドハンド!アイム、マスオーヤマ、ラストサン!キルユー!」
と米兵20人位、叩きのめしてやったんですが、日米同盟にヒビを入れるわけにもいかないので、拳を下ろしました。(拳を上げてもいませんが)

私が焼け野原にした会場は、次の出番のファイヤーヨーコさんに尻拭いしてもらいました。

女性器から火を放った瞬間、客席は
「プッシーファイヤー!オーマイガー!」
と大盛り上がりでした。

ショーヘイオータニ、ナオヤイノウエ、に続きファイヤーヨーコの名前も、グレートジャパニーズとして、米兵達の胸に刻まれたと確信しております。

三沢も良い街並みでしたが、五所川原も八戸も素敵な街でした。

海が近いので、自分の地元と同じ臭いを感じたのかもしれません。

八戸の方からこんな話を聞きました。

「この辺の漁師は気性が荒くてよ、二十年位は腹巻にドスを挿して酒場にくりだしてたんだべ。ほいで漁師同士で喧嘩になってよ、刺す刺されるの喧嘩で人が死んだりもしたんだべ」

これ、気性が荒いとかの次元の話なんかなと思いました。もうヤクザですやん。

荒波に船を出す海の男の凄まじい逸話です。

こんな話を聞くと、芸人がyoutubeとかで、「あいつ、おもんない」とか言うてるのは、可愛いお茶目なもんですね。

五所川原の会場のオーナーも、元アマチュア相撲の東北チャンピオンで恰幅の良い方でした。

お店に五所川原農林高校相撲部のカレンダーを貼っていたので
「マスターは、こちらの相撲部の出身ですか?」

と質問すると、

「んだ。わーと一番取っか?殺してやるべ」

と言われました。

???

言われた言葉が一瞬、理解できませんでした。

ライブのMCをしてくれたワシマハモフミさんという方に
「さっき、マスターに殺してやるって言われたんですが、あれは何ですか?」と聞いたら

「津軽の言葉で、やっつけてやるて意味だがら、気にしなくていいべ」と言われました。

絶対そんなわけないでしょ!

終演後、マスターには美味しい、ちゃんこを振る舞っていただき、お土産に青森県産のニンニクもたんまり持たせていただきました。

殺されなくて良かった!

今回の巡業で東北が大好きになりました。
来年も必ず行きたいと思います。


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