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エッセー 「インスタント焼きそばの金字塔 "アラビヤン焼そば"を食す」

 幻の名作「アラビヤン焼きそば」である。

 なぜ、アラビヤンなのか?「アラビヤン」ではなく「アラビアン」ではないのか? なぜアラビヤンなのにインド人みたいなキャラなのか?

 謎が謎を呼ぶ摩訶不思議なインスタント焼きそばの傑作、それがアラビヤン焼きそばなのだ。

 「日清焼そば」が西の横綱であれば、「アラビヤン焼きそば」は東の横綱である。

 なにせ発売元は赤坂に本社を構えるサンヨー食品株式会社。インスタントラーメンの大ベストセラーである「サッポロ一番」を世に送り出した、かのサンヨー食品である。「アラビヤン焼きそば」がただのインスタント焼きそばであろうはずがない。

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 そのキッチュでポップなパッケージデザインからも、その容易ならぬ実力の片鱗垣が間見える。

 そして、パッケージに踊るコピーが凄い。

 「不思議な位おいしく出来ます」

 何を根拠に? 思わず突っ込みを入れたくなるほど抽象的なコピーに、なぜか異様な胸のときめきを覚えてしま自分は変態なのだろうか。

 さらに、

 「摩訶不思議!? 香ばしくスパイシー たまらない味わいアラビヤン」

 もう、これで絶頂である。アクメである。エクスタシーである。

 ほぐした乾燥麵に絡む粉末ソースは、コピーの通りスパイシー。それに南国のパッションフルーツを彷彿とさせる甘酸っぱい味と香りが混然一体となり、「アラビヤン焼きそば」ならではの唯一無二、天上天下唯我独尊の味わいとなる。

 かつては全国で販売されていたこのあ「アラビヤン焼きそば」であるが、現在では関東の一部でしか日常的に手に入れる事ができない。

 最後に。幸運にも手に入れられた場合、作る際には水はやや多めにするのがコツ。それを怠るとすぐに焦げついてしまい、団子状になる。麵がほぐれたら、粉末ソースが絡んだ状態でややうるおいを残す仕上がりをイメージし、水の量をコントロールするのが極意。

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