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コンバットピストルの理想形 "SIG Sauer P229"

 SIG Sauer P229は、名器の誉れ高いP226の発展版であるP228をベースに、より強力な強装弾の使用と可能とするために開発されたモデルである。

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 使用できる弾丸はスタンダードな9mmパラベラムの他、より強力な.357SIGと.40S&Wの3種類。いずれもバレルとリコイルスプリングの交換で変更可能である。

 P220をはじめとするシグ・ザウアー社のスライドは、当初は冷間鍛造プレス製だったが、威力の大きい強装弾薬に耐え切れないと判断されたため、P229においてはステンレス鋼からNCマシンでの削り出し加工により製造された。また、229以降は、他のモデルも切削加工のスライドに改められている。

 3種類の使用可能弾丸の中でも、特にアメリカの法執行機関の関係者の中で人気が高いのが.40s&Wだ。

 銃口発射時のスピードが亜音速の9mmパラベラムは、貫通力は極めて高いが、アゲインスト・マン(対人)シューテイングにおいては貫通によるエネルギーの損失により敵の戦闘力を奪うには不足なケースが多かった。

 逆に.45COLT AUTOの場合には、マンストッピングパワーは強力だが、初速が遅く尚且つ弾丸が大型なため、時代の主流である多弾庫化には対応できない欠点がある。

 こうした両者の欠点を補完する弾丸として着目されたのが.40S&Wである。

 口径は40口径(10.16mm)で、パウダーケース(薬莢)の長さは22mm。薬莢長で見れば、9mmパラベラムに比べて僅か3mmの差だ。

 しかしながら、3mm分と口径1mm分の拡大が生み出す薬容量の増大は、この弾丸に凄まじいマンストッピングパワーを与え、さらに、.45ACPに比べてコンパクトなカートリッジは12+1という多弾庫化を可能にした。

 コンバットシューテイングピストルの理想形という言われる所以はそこにある。

 それ故、警察や軍隊を初め、アメリカの各法執行機関がこぞって採用する理由もむべなるかなである。


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