トレンディドラマの頃
「トレンディドラマ」といえば?
私にとっては、「男女7人夏物語」(1986年)が、トレンディドラマそのものである。
明石家さんまが演じる「今井良介」と大竹しのぶが演じる「神崎桃子」の漫才のような掛け合いは、面白位だけでなく、男女の真髄を示す。
そして、トレンディドラマといえば、当時の最先端スポットが効果的に使われ、その煌びやかな雰囲気に憧れたものだった。
恵比寿のビヤホールで、ブーツ型のカップで、顔をびしょびしょに濡らしたり…
イントロでクラクションが鳴るだけで、このドラマを思い出す、石井明美が歌う『Cha Cha Cha』も特徴的だった。
バブルと共に生まれ、バブルと共に消えた
時はまさに、1985年のプラザ合意によって導かれた超円高への不況対策として、日銀が公定歩合を大幅に下げたことと、海外資産が相対的に下がることで、投資先が国内に集中し、株式市場・不動産市場に多大な金が流れ込み出した頃。
トレンディドラマは、この男女7人〜が切り開いた新ジャンルだと言われている。
後年、バブルの萌芽期と言われた頃、このドラマが放送されたのは、偶然とはいえ、面白いものである。
トレンディドラマのピークは、W浅野(浅野温子・浅野ゆう子)が登場する『抱きしめたい!』(1988年)から、リカとカンチの恋模様を描いた『東京ラブストーリー』(1991年)あたりだろうか?
そして、バブル崩壊と共に、トレンディドラマの時代は終わった。
テレビ業界にとっての「真夏の季節」
今や、エンタメとしての動画はYoutube、ドラマを見るならNetflix。
テレビ局のアナウンサーが、三井不動産に転職したり、大学に戻って研究者になるのにも、テレビ業界の斜陽化が見てとれる。
広告費用のシェアも、テレビ広告は2019年にネット業界にトップの座を譲り、その後はジリ貧の状況だから、テレビ広告が団塊世代向けの健康食品だらけになって久しい…
思い返せば、あの頃はまさに、テレビ業界にとっても、「真夏の季節」だったのだろう。
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