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【1分で読める500字コラム】 起承転結は、古くない

春は祝辞や答辞、送辞などスピーチを耳にする機会が多いですね。定型文の時候の挨拶からはじまるそれは、大抵退屈であり、聞くもののお尻をそわそわさせます。スピーチは聞いてくれる聴衆がいるから行うものなのに、どうしてこんなにつまらない話をするのだろう。

ああ、オトナになってわかるこのもどかしさ。「自分の話を聞いてくれる相手がいる」、この約束された贅沢な時間に「陽春の候…」という美しくも空っぽに聞こえる言葉で聞く相手をがっかりさせてしまうとは。

原田マハさんの小説「本日は、お日柄もよく」に、一瞬で結婚披露宴の招待客を虜にするスピーカーのエピソードがあります。小ネタで興味を惹きつけ、例え話でクスッとさせ、最後は感動話でじわりと締めくくる…と思いきや、その感動話をベースに新郎新婦へのはなむけの言葉に変換。〆。お見事。

あらまあ。文章書きと同じではありませんか。webライティングでは、「起承転結」の構成は古いと言われがちです。しかし冒頭から〆まで、するりと頭の中に入ってくる言葉は、やはり人を納得させるテンポよい組み立てになっています。

思わず唸る落とし方をしているショートショートやコラムを読むたびに、「起承転結」という秀逸な構成を無視できないと反省するのです。




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