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秘密結社ゲーム

 ぼくの家のすぐ近くにある海岸に、無数のゴミが漂着する所がある。
 漂着物の中から掘り出し物かもしれないのを自分の部屋へ持ち帰るのが、ぼくの日課だった。

「よいしょっと」

 今日もひとつの漂着物を持ち帰る。
 鞄とPCが合体したような見た目で、故障はしていないようだ。
 電源を押す。画面には、


 秘密結社ゲーム


 
と表示される。
 なんだろう、都会ではこういうのが流行っているのだろうか。

『貴方は、悪の組織の首領へ選ばれました』

 抑揚の無い合成音声でそう告げられる。
 ぼくはワクワクして、画面の説明の通りにパーツを組み立てる。半透明の 円筒が出来上がった。

「悠斗!あなたまたゴミを拾ってきたのね!」

 突然、最後から大きな声。振り向くと、そこには怒り顔のお母さん。
 やばいと思った瞬間、円筒の前面が観音開きになり、お母さんが吸い込まれてしまった。

「きゃっ!」

『怪人生成を開始します』

 怪人生成?どういうことだ?

「悠斗、助けて!」

 どうやら中から開けることは出来ないようだ。
 ぼくは一気に血の気が引き、焦って扉をこじ開けようとするが、ビクともしない。
 そうしている内に謎の液で満たされ、お母さんへ無数の管が刺さる。

「ぎょぺぺっ!?」

 ああ、なんてことだ。
 お母さんは、ぼくが一度も見たことも無いような苦悶の表情で、全身を激しく痙攣させ、のたうち回る。

 その光景に、ぼくはなぜか────ひどく興奮した。

 苦しみながらドロドロに溶けていくお母さん。
 激しくなる動悸、荒くなる息。目が離せない。
 どうやら手も触れずに達してしまったようで、下半身に湿り気を感じる。

 チーン、という電子レンジのような間抜けな音。カプセルの中から何かが這い出してくる。

「キヒィ~!怪人ハエ女、誕生しました!」

 奇声を上げ、敬礼のポーズをとるそれは、複眼と翅を持つ……人と虫の合体した化物であった。





「桃華、怪人が発生した」

光るステッキが、持ち主の少女へと語りかける。

「どうやら魔法少女の出番だ」


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