草々にて
たまに目上の方からいただく縦書きの手紙には書き出しの頭語と結びの結語が使われていました。真似してみたいと書き出したのは40代からでしょうか。特に差出人が女性の場合にのみ使う結語の「かしこ」が好きでした。
奈良県の生駒市高山にうつわの店【草々】はあります。店主のきょうこさんを知ったのは、いつ頃かはっきり思い出せないけれど、田中泰延さんの周りに集まるひとたちのお一人としてフォローしたような気がします。いつしかうつわに関するツイートや記事を拝読するようになり、その真摯で朗らかな人柄に魅了されていくのでした。
生まれ育った土地を離れ、奈良に移住したころからきょうこさんの第二章は始まったように思います。文字を追うだけではなくいろんな話を聞いてみたくなりTwitterのスペースにきょうこさんをお招きし『お店を持つこと』と題して2時間強をご一緒しました。Twitterのハッシュタグ草々問答で当日の熱い様子がご覧いただけます。
陶芸家さんへのインタビューをnoteに書いているきょうこさん。うつわに込められた想いや作るきっかけなど多岐に渡る記事は、陶芸家さんのお人柄、生活、人生について深く切り込んでいます。うつわのことをもっと身近に知ってほしいという揺るぎのない覚悟と、落ち込んだ時期に出会った器MOTOさんで救われた出来事は、いまのきょうこさんと深く結びついています。ほっとひと休みできる場所、それが草々なのです。
いつか行きたいという願いは、ついに叶えられました。奈良は1988年のシルクロード博以来です。大阪梅田から生駒までの乗り換えと、最寄り駅の学研北生駒駅から草々までを検索しスクショをメモにいれ準備万端。方向音痴のプロなので迷ったところで動じません。歩いていればいつかは辿り着くと知っています。
草々の看板を置いたツイートいいですよね。店主手描きの看板は何度も拝見していたので見つけたときの感動はひとしおでした。
ちょうど翌日からのイベントでライブペインティングをするアーティストの溝端ことみさんも来店していて、ご挨拶と雑談ができてたのはとてもラッキーでした。店内にもうつわが大好きな溝端さんのコラボ作品が展示されていて、思わず写真を撮りました。ふんわりした暖色系の色彩は、コンクリうちっぱなしの草々にアクセントをもたらしアーティストの個性がそこかしこに放たれていました。
こちらの建物は築100年。電気設備を整えたくらいでなにも手を入れてないと聞いて心底驚きました。きちんと誰かが手を入れ続けないとここまできれいに現存しなかったでしょう。どこから切り取っても絵になる建物です。
カメラを持ってくればよかったと後悔しましたが、その分たくさんおしゃべりできました。お茶とおやつもごちそうさまです!
さて、いよいよ本題。お買い物した脇山さとみさんの豆皿と尾形アツシさんの湯呑みのお披露目です。こちらの小箪笥を引き出したときに見つけました。
脇山さとみさんの豆皿
ほんと可愛いですよね。こんな小さいうつわに絵付けだなんて神業です。全部で5枚、家に持ち帰るつもりでした。しかし翌日家族5人で集まったときにお披露目して記念にひとつずつ渡すことにしたんです。普段はバラバラに生活をしている私たち。この豆皿を使うときは家族のこと、おいしいピザを食べたことを思い浮かべたりするのもいいんじゃないかなって。いやいや使ってもらえれば十分です!揃った写真を撮るのを忘れていました。悔しい。
尾形アツシさんの湯呑み
見た瞬間、鷲掴みにされました。貫入好きです。
置いて眺めるのもよし、使ってよし。
さっそく煎茶を淹れました。
いいですね〜はぁぁぁ。
お会計時に「うつわの使いかた」と、購入した作家さんのプロフィールがついてきます。重要なのは、これから一緒にすごすためのひと手間、陶器を使う前に水に浸ける理由や、お手入れ方法、レンジと食洗機の利用についても丁寧に説明されています。
その中でもこちらの文章にきょうこさんのスタンスが詰まっていてグッときました。
みなさん、草々を訪問してください。
わたしの言いたかったことがすぐに分かります。うつわときょうこさんの相俟った空間を一度味わってほしいのです。駅からの道のりと風景、のんびりとした空と山。素敵な笑顔の店主があなたを待っています。
関東地方にお住まいのかたへ
耳寄りなお知らせです!!!
近くだったら絶対行きたいPOP-UPストア。
最後に、
きょうこさん、お目にかかれて嬉しかった。
お世話になりました。また遊びにいきます。
読んでくださりありがとうございます。