愛されキャラ

周りにそう呼ばれるたびにテヘと笑みを浮かべる。たまたま私のヘアカラーをしながら、ちょっとした悩みを話しだした。ただただ聞いて、つらかったんだねと相槌をうつ。

「みんなにそれくらいのことで?と理解してもらえなかったから、信じてもらえて嬉しい」当人の表情は真剣だった。ニコニコして後輩気質が漂うからか周りによくからかわれているけど、そこは問題ないらしい。

「でもたまにちょっとモヤるときがあるんです」と切り出したものの言葉に詰まる。職場でのことを客である私に話せるわけもなくて。友達にも相談できないからずっと考えてしまうと悩んでいた。深刻なのかと思いきや、でも寝ると大丈夫なんですよねと笑った顔がとびきり可愛い。これは愛されちゃうなと思う。

近い関係性であればあるほど、ぶちまけられないモヤがある。

”ほんとの自分は誰にも見せない”

むかし大好きだったひとは言った。

真に受けたし、心配もした。

いまは少しだけわかる。

それ、ホントだし嘘だよね。


読んでくださりありがとうございます。