モニターサウンドの求めるところ

先日ヘッドホンを試聴する機会に恵まれたのでここに書いてみようかと思う。あんま長くなりませんように…


とりあえず聞いてみてレビュー

まずはそこにあった適当なDACで試したことを断っておきたいなと。本当はインターフェースを持って行って、その上で調べるのがいいのだけれど。
ただ遊びに行っただけなのにお店に行って聞き出したのがいけない。いけない。店員さんのノリがよかったのもいけない。いけない。

MDR-CD900ST

まずモニターのお手本といわれていて、業界標準とされるヘッドホンからレビューしていきます。
サウンドとしては、出音をかなり意識した作りであることを断っておきたい。これが多分実際の皆さんが使っているヘッドホンに近いサウンドになるんだろうと思う。驚いたのは、モニターでも目指す音が違うんだな。というところ。ミキシングだったりマスタリングには使えないので注意。あくまで一般的なサウンドに落とすための確認用のヘッドホン。という位置づけになりそうなので、これではミックスはかなり厳しいなという印象でした。そもそも出音でチェックしなければ、マスタリングなんて意味がないんじゃないの?と思われる方がいるかもしれないが、これだとどれをエフェクトで加えたらいいのかすらわからないので、音をどう構成したらよいのかがそもそもわからないので、何段階かに分けてヘッドホンは分ける必要があるんだな。と感心した。

HPH-MT8

どこかの値段を比較するサイトで評価の高いヘッドホンである。解像度が高く、これがリファレンスだろ。という方は多く見かける。確かにモニターライクなのは確かだろうと思う。ヘッドホン全体を通して思ったことは確かに音はフラットで多分分析してもフラットなんだろうと思う。けど決定づけるのに何かが違う。ということ。どうにかあらわすパラメータがないのだろうか。と思いながら聞いてました。全然違う。
ということでレビューをしていきたいな。音としては面で出てくるイメージ。音場が広いのかと言われたらそんなに広くない。解像度が高いと言われれば高いのかもしれないけれど、原音忠実性という意味では少し欠けるのではないかな。ただ、クラストップというのは眉唾だなーと感じました。好みによるけれど。(それを言ったら何も始まらないし終わらない)
満足はできるだろう。聞くにはちょうどいいけどPRO500とかと比べるとやはり少し劣るかなー。というイメージ。全体的な迫力に欠けるイメージ。生で目の前で音がなっているという音ではない。デジタルなのかアナログなのかどういう処理がかかっているのかは全く分からなかったので私にはあってないかな。とはいえ値段らしく、いい音だろうと思います。

DT990PRO 250Ω

これはまずならせるアンプが少ないのが難点なのでそれだけ断っておく。おいてあるアンプでは多分力量が足りてなかったんだろうと思う。全体的に曇った音。ドンシャリならぬドンドンな音。そのうえでレスポンスがいいかといわれるとそんなによくもない。高いし、メーカーはめちゃくちゃ有名なので期待する人は多いだろうし、買う人もかなりいるのはブランド力だと思う。そうなるにはそうなる所以があるのでこれはすごいですね。これも出音という意味ではいいのかもしれない。ちなみにリファレンスの音楽を聴き始めてボーカルが入った瞬間に外したので私にはあってなかった。

HD560S

私がリファレンスとして使っていたヘッドホンなので音が悪いわけではないし、レスポンスは優れているのでモニターとして使うには悪くない。ストリングスの艶とボーカルの生々しさという意味ではとても良いとおもったり。とはいえHD400と型番が変更されていて、これ自体は終売になっているのでとりあえず今までの音を聞いてみよう。くらいで聞いてみただけ。
確かに悪くない。実際ゼンハイザーをリファレンスにしている人はかなり多いし、歴史もあるのでこれはお値段以上の音が出ていると思う。解像度も高めで原音忠実性も高い。分解能もいい。ちなみに解像度と分解能という言葉を使うけれど、全く違う意味で使ってます。解像度というのは音が粒で聞こえているのかという意味で、分解能というのは定位を含んでいる。なので音場が広いという意味でとらえてもらえればと思う。
とにかくフラットでインピーダンスが高い分、S/Nも決して悪くない。けれどそれゆえにおいてあるアンプではいい音では聞けなかった。残念。
アンプの出力がしっかりしているのであればこれはお勧めできる機種。長いこと聞いていても疲れない上にモニターライクなつくりなのでお勧めできる。

HD400

とりあえず品番が変わって、見た目も変わったのでこれを聞いてみよう。と思ったので聞いてみました。音の作りとしてはほぼ変わりがない。
ほんのちょっと味付けがあるのだとしたら、少し解像度が上がった印象。ほんの少しなので聞き分けられるか。と言われたら隣にHD560Sがないとわからないのであんまり気にしなくてもいいと思う。内容的にはHD560Sと変わらない。世界的にヒットした一つなのでこれは流行る理由もうなずける。

HD650

ゼンハイザーから少し値段アップのモノをピックアップ。
明らかに解像度が上がっているし、分解能も上がっている。リファレンスとして使う理由が分かった。これは全体的にいい音を鳴らしてくれる。ジャンルを問わないので最強かもしれない。ただ持ち運んでレコーディングする場合にはケースが必須になるのでいいケースを用意すること。フラットな特性で音の破綻がなく、曲の仕組みがとにかくわかりやすい。しかもその癖、長時間のリスニングでも決して嫌な音ではないのでとげとげしさもなくて間違いなく出音も意識している。ただ、ここまでのサウンドを聞ける人が何人いるんだろうと思うと、この価格帯のヘッドホンを皆さんが常に使っているわけではないし、インピーダンスが高いので鳴らしきれるアンプを選ぶのでそれだけ注意だろうと思う。

SRH-840A

まずこれは840という機種の改良版ということを前提に考えておく必要があるなと。もともとは少し古い機種になるのでヘッドホン参入時のキラーヘッドホンなのでそれなりに音がいい。もともとリファレンスとして使っていた機種で、2回ほど買い換えている。あまりにもすぐ壊れるので。持ち運び前提で作っていたにも関わらず付け根が弱くて、すぐに壊れる。この問題は解決してほしいな。と思っていた矢先、出てきた機種が840Aになる。もちろん持ち運ぶという考えは捨てられている。持ち運びにくい。弱いところは認識しているんだな。という印象。壊れやすくなっていた部分はなくなっていて、その部分を金属に変えてあるのでかなり扱いやすくなりました。
そのうえで音のレビューをしていきましょう。これは解像度も分解能も高くていい。どこから何が聞こえているのか、どういう処理がかかっているのかとにかくわかりやすかった。音もフラットで840にあったドンシャリはかなり解決されている。ただあんまり評価が高くないのも音を聞くとわかる。密閉型にも関わらずとにかくフラット。ひたすら開放型に近いサウンドを提供してくれるのでドンシャリを求めている人は避けたほうがいい。とにかく解像度が高いので1時間も聞かないうちに耳がつかれるのでリスニング用途では使えないので注意したほうがいい。でも確実にレコーディングやミキシングでは使える一本だと思う。

SRH-1840

四桁になると高級機といってもいい。当然持ち運びなんて考えられてないし、メカニズム上、片方出しのヘッドホンに遅延が生じるかもしれないということをしっかり考えて出したヘッドホン。650や660Sと比較する人がなかなかいないのは不思議なくらい。見た目も似ていて、開放型でドライバを見せつけてくるので間違える人もいるんだろうと思う。対抗馬として1540があるけれど1540との棲み分けがしっかりできている。840Aの正当進化版といえる。ただこの子は開放型なのでやはり840Aのサウンドは密閉型としては間違っているのだろうという印象を改めて考えさせられる一本。マイクでいうとどちらかというとこもりがちなイメージのシュアーだけれど、ヘッドホンやイヤホンでは人気がある。考え方が全く違うし、エンジニアは何でこんな矛盾するヘッドホンを提供しているのだろうか。価格帯的にいうと多分最強機種だろうと思う。次はこれを買いたい。ただ値段的には高い部類に入るので勇気がある人が持つ一本だろうと思う。
フラットすぎるし、忠実すぎるし、定位もしっかりでる。これはいい。

SRH-1540

最初に案内されたヘッドホンがこれになるので考察しておこうかなと。しっかりしたドンシャリです。ただ系統的には解像度も高いので多分周波数特性的な話でシュアーのキャラクターがよく出ている子だと思います。価格帯以上の音を提供してくれているのは確か。1840と比べると低音がとにかく強い。高音は少し控えめだけれどエッジがたたない程度の味付けなので決してこもるわけではないので好きな人は好き。DJさんとかには好まれるサウンドかと思った。ただシュアー全体に言えるけれどとにかくチープなデザインなので音だけ求めるなら…ってイメージでいていいと思います。外観は値段以下です。

The Composer

あんまりに店員さんのノリがよすぎて買う気が絶対ないのをわかっていて出してくれたのがこの機種になる。ずるい。買わない。ダメ、絶対。
特徴的なのは耳を狂わせてくる音。15分は聞いてください。と言われたので20分は聞き続けたのだけど、値段なりにいい。これがモニターとして使えるのならば絶対に選ぶ機種。ただ、何分も聞かなければいい音に聞こえないこの機種がいいのかという判断は分かれる。解像度・分解能・定位のすべてにおいて優れていたので一応紹介しておく。お金を積めばいい機種は手に入る。それをわからせてくれた機種です。何も文句ない。モニター中のモニター。一度は聞いておきたい機種かと。

結論

結局こんだけの機種を2時間くらいかけて聞かせてもらったし、実際にはDACも聞かせてもらったのでもっと複雑なことをやっていたのだけれど。DACについては宗教的な問題が多分にして含まれているのであまり触れたくない。好きな機種を買えばいいと思います。DACチップによる変化なんて言うのは聞き分けられないはずなのでアンプ重視で検討すればいいかと。そもそも日本に入っているDACが悪いモノがそんなに多くないのだからどれを聞いても値段なりの音は出してくれます。ただ5万以上かけられる場合はDACの選択肢が入ってくるけど2万円程度のDACを考えているのだとしたら絶対に損するのでDAPにお金をかけたほうがよっぽどもいい音が鳴ります。こだわりがなければPCから聞く音もI/Fで十分かと思います。最近のI/Fはしっかり考えられているなぁと実感。アンプ部はモニター用に温度変化による音の違いが出ないので面白味にかけるけど間違いなくいい音では聞けるので中華製でなければI/Fに手を出すべし。と感じたり。ちなみに中華製をヘイトする気はないし、悪いとは言わない。ただ全体的に悪い機種が多すぎるのでいい機種を選ぶとなったらかなりの選択肢の中から選ぶことになるので耳を鍛えてから行くといいかも。
私も普段使いはMOONDROPのイヤホンを使っているので何もかも否定するべきではないかな。製品のコンセプトはいい機種だらけなので実際聞いてみるのをおすすめするかな。

買ったのはSRH-840A

結局買った機種は840Aを買いました。一番コスパに優れてました。ちなみに長時間聞いてみましたがめっちゃ疲れるし、作業どころではなくなるヘッドホンということだけ伝えておきたい。

今回検証した人の普段の環境

DAC:MOTU Ultra lite mk5
DAP:PC
使っているヘッドホン・イヤホン
 SE846・MOODROP 竹・ZONE H5・HD560S・ES60(カスタムイヤモニ)

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