インターフェースの選び方
音楽をやっていると必ず一度は失敗するインターフェース。いろいろ調べているんですがなかなかいい機種って選べないですね。スペックシートを見てもほぼ情報がわからないです。とりあえずデザインと評判を見て買うのですが使ってみて使いにくいなんてことも多々ありますね。少し考えてみましょう。
オーディオインターフェースって?(I/F)
そもそもなんですがオーディオインターフェースって何なんでしょうか。名前はわからないけど、とりあえずギターの音をPCに入れるときに使うんだなー。ということだけはわかる。って人がかなり多いのではないでしょうか。インターフェースて言葉。実は音楽以外でも出てきます。異なるデバイスを繋ぐ時には必ず使います。ヒューマンインターフェースを指すことがほとんどです。横文字があまりに長すぎるのでここではI/Fと呼びます。
PCに音をいれたい
普段ギターはシールドケーブルを通して、アンプにつなぎますね。大体5wくらいあればそこそこの音が流れます。もちろん空間の広さを考えればもう少し大きくなってきますが。私自身はアコースティックな音を鳴らしたいので30wのアンプを使ってます。その機種はまぁいいとして。ある程度練習できたらエフェクターを繋いでギターを演奏するのではないでしょうか。また、ライブに参加したりすることもあると思います。
と思ったところでCOVID-19が世界中で大流行しました。セッションを組む機会が減ったので、演奏を家でする機会が増えてきました。前の記事でもお話しましたが、Syncroomを使ってセッションを組む機会が増えたのではないでしょうか。Syncroomを使っている方はまずインターフェースの選定に悩んだと思います。またこれから買うって方もいると思います。
とりあえずPCに音を入れるのに必要なのがI/Fって思ってもらえればここではOKです。
I/Fの役割について
さて、ではつなぐためのモノだということはわかってきましたね。では実際にはどういう処理がされてPCに入っていくのでしょうか。気になりますね。
ちょっと代表的な処理を紹介します。
ちょっと画像だけ見るとわかりにくいですね。まず大前提として音はアナログの音です。つまり波になります。これはわからなくてもわからないと話が続いてきませんのでわからなかったらSin波とCos波について調べてみてくださいね。この画像ではSin波をPCに取り入れるまでの処理についてを紹介しています。範囲は1周期=2πの領域を対象にしています。”サンプリング周波数”なんて名前を聞くことがあるのではないでしょうか。これは大体2πでの量子化する回数を示しています。1Hzの音をとるのに44.1kHzなんてことがあって、Hzまみれなのでわかりにくくなります。もう何を言っているのかわかりませんね。簡単に言えば1Hzというのは一秒あたりに2πが何回繰り返されているのかという意味です。2πを1振動としましょう。つまり皆さんがチューニングで使う音、例えば442Hz(近代音楽の基準音)は一秒間に442回振動するということになります。
アナログというのは一つの線形(連続)な図形を指します。しかしパソコンは波がどう変化するのかを数字にしないと扱えません。ここで出るのが標本化と量子化という言葉です。標本化というのは1秒間の信号を何分割するかということで44.1kHzなのであれば44100分割しています。この分割した一つ一つに数字を与える作業が量子化といいます。これが16bitだとか24bitだったりするわけです。横軸で分割するのをサンプリング周波数、縦軸で分割するのをビット深度といいます。この変換をアナログディジタル変換(A/D)といいます。
大まかにいうとこの仕事をしてくれるのがI/Fの役割です。実際にはD/Aも行っているのでもう少し複雑な話になります。そこで重要視されてくれるのが”DAC”という言葉です。最近音響機器としてよく聞くようになりましたね。これはDigital-Analog-Converterの略になります。I/Fを検討する際には気にせずに音を重視して買いますが必ずDACが入っています。DACの細かい話はまた別の機会にしましょう。とりあえず、信号をデジタル化してくれる機械ということになります。
選ぶときにどうする?
さて、基本的な話をした上で選定について話をしましょう。
一般的なインターフェースをまず見てみましょう。
割といいI/Fなので製品紹介も含めて行いましょう。192kHz/24bitまで対応しています。実際には96kHz/16bit程度ならば十分音が取れるので実際に192kHz/24Bitで使う機会はないのですが必要十分といえるでしょう。スペック的には問題ないですね。では次は入力に移りましょう。2in4outの入出力を備えています。2inというのは音を二個まで同時に入力できるという意味です。4outというのは同じ考えで行くと4つ同時に出力できることを指します。さらに深堀させるとこのI/Fは独立してファンタムをとることができます。コンデンサマイクを使う際にはこのファンタムがかからないと使えないですし、ダイナミックマイクを使う際にはファンタムをかけてはいけないのでOFFにできる仕様が重要になります。例えばギターとコンデンサマイクを接続する場合には違う方法で入力することになるのでファンタム(48V)は切り替えができるものがいいですね。
あとはダイナミックレンジが118dB取れるのが非常に大事ですね。これがS/N比といってもいいです。(実際にはS/Nとは違いますが)
I/Fごとにダイナミックレンジが違いますが110dB程度とれていれば普段使いには十分です。レコーディングをメインにするのであれば120dBくらいはあると嬉しいです。おおむねプロ機材というのはこの辺からになります。この機材はDSPがついていない中ではかなり高額ですが、アナログ部がよくできているので選択肢に入ってきます。普通のI/Fは正確に音を出そうとする半面で音が硬くなりがちなのですがアナログアンプ部をなめらかな線形にするためにコンデンサを少し味付けしています。通常より容量のでかいコンデンサを使っているようです。ということで弦楽器のハジキをリアルに得るにはとても相性がいいとされています。(これは広告に近いです。ステマではないです)
こまかいところはいいからin/outと接続方法を。
何個inを用意するかというとXLRのコンボジャックが2系統あれば十分だと思います。録音やるのであれば6系統以上ほしいところです。世の中には128系統なんていう化け物もいるので…(筆者は18in22outを使ってます)
6系統あれば通常の使用ではほぼ性能不足にならないので使う機材+2系統くらいが無難です。2系統しかないI/Fはきっと後悔するかな。と思います。次に重要なのがUSBの規格です。答えを言っておくとUSB2.0のモノがおすすめです。ハイレゾなんだから3.0とおもいきや、実はこれはコントローラの問題があってノイズが乗ったりするので転送速度を加味しても2.0で十分です。TypeCのモデルが多く出ていますがPC側のUSBがTypeA のケーブルがついてくるのはそういった理由です。USB3.0以上のI/Fを買うくらいならCoreAudioでthunderbolt接続のほうが一般的なのでMacにしたほうが親和性がいいと思います。ということでI/Fは6in8outでUSB2.0接続の192kHz/24Bitの製品を選ぶといいでしょう。
おわりだよ
難しいことを考える人はたくさんいますし高いI/Fを勧める人もたくさんいます。それでも失敗することはたくさんあります。例えばBabyFaceなんてI/Fがあります。そこそこの機材になりますが、これではアナログ部が弱いので若干ファンタムが低かったりして使い物にならない場面はありますし、逆にMOTU M4などは3万円台ながら電源周りが安定していて音がいいです。かと思えばAG03に代表されるウェブキャスティングミキサーなども使い勝手が良くて重宝がられます。
時に価格で比べることも大事ですが。一体自分はどこの価値に対してお金を出しているのか考えてみるといいI/Fに出会えると思います。
ちなみに筆者はMOTU Ultralite mk5使いです。DSP処理が速かったり電源が安定しているので使いやすいI/Fでした。BabyFaceも悩みましたがトータルバランスを考えると悪くないI/Fと言えます(FPGAはそもそも考え方通常のDSPと違うので比較対象にならない)
それでは、良い音楽ライフを。
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