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【今日の1問】民事訴訟法(23)|同時審判申出共同訴訟

本日は「平成30年予備試験 民事訴訟法〔設問1〕」を解いてみましょう。

(問題文)
https://www.moj.go.jp/content/001263947.pdf#page=6


(答案例)

第1 設問1

1 Y及びZ社に対する請求相互の関係

 Z社に対する請求では「YがZ社のために売買契約を締結することを示した事実」は請求原因事実となる。他方、代表者Y個人に対する請求では同事実は抗弁事実となる。
 このように、Y及びZ社に対する請求相互の関係は、主張レベルで請求が両立しない関係にある。

2 弁護士L1として考え得る手段及び可否

⑴ 主観的単純併合
ア 弁護士Lとしては、Y及びZ社に対する請求につき、単純に、訴え提起の当初から1個の訴えをもって同時に審判を求めるという手段が考え得る(主観的単純併合)。
イ Y及びZ社に対する請求相互の関係は、XとYとの間で行われた同一の絵画の売買契約に基づく代金請求であるから、「訴訟の目的である権利・・・が・・・同一の事実上及び法律上の原因に基づくとき」(38条前段)にあたる。したがって、主観的単純併合という手段は認められる。
⑵ 主観的予備的併合
ア 主観的単純併合では、弁論の分離(152条1項)や一部判決(243条2項)により両請求の判断が別個になされると、YにはZ社が買主であるとして、Z社にはYが買主であるとして、二重に敗訴する危険がある。そこで、弁護士Lとしては、Yに対する請求につき審判を求め、それが認容されることを解除条件としてZに対する請求につき審判を求めるという手段が考え得る(主観的予備的併合)。
イ しかし、主観的予備的併合という手段は認められない。
 なぜなら、これを認めると、Yに対する請求が認容される場合、Z社は応訴を余儀なくされたのに請求棄却判決を取得できず、地位の不安定を招いてしまうからである。
⑶ 同時審判申出共同訴訟
ア Xが相矛盾する理由により二重に敗訴する原因となる弁論の分離や一部判決を禁止すべく、弁護士Lとしては、上記⑴の主観的単純併合につき同時審判の申出(41条1項)をするという手段が考え得る。
イ 上記1でみたとおり、Y及びZ社に対する請求相互の関係は、主張レベルで請求が両立しない関係にあるから、「法律上併存し得ない関係」(41条1項)にあたる。したがって、上記⑴の主観的単純併合につき同時審判の申出をするという手段が認められる。


(出題趣旨)
https://www.moj.go.jp/content/001281223.pdf#page=12

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