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【答案の書き方】刑事訴訟法(13)|令和5年司法試験

今回は「令和5年司法試験 刑事訴訟法」(出題趣旨・採点実感)を読んで、答案の書き方を確認してみましょう。

(出題趣旨)
https://www.moj.go.jp/content/001415935.pdf#page=17

(採点実感)
https://www.moj.go.jp/content/001408693.pdf#page=7


本問は、・・・ 捜査及び公判に関する具体的事例を示し、各局面で生じる刑事手続上の問題点、その解決に必要な法解釈、法適用に当たって重要な具体的事実の分析及び評価並びに具体的結論に至る思考過程を論述させることにより、刑事訴訟法に関する基本的学識、法適用能力及び論理的思考力を試すものである。

出題趣旨

○ 捜査公判に関連する具体的事例について、「刑事手続法上の問題点」を指摘する答案
○ 「問題点の解決に必要な法解釈」ができている答案
○ 「法を適用する」に当たって「重要な具体的事実の分析・評価」ができている答案
○ 「具体的結論に至る思考過程」が示されている答案
○ 「刑事訴訟法に関する基本的学識」と「法適用能力」を示す答案
○ 「論理的思考力」を示す答案


本年の問題も、昨年までと同様、比較的長文の事例を設定し、その捜査及び公判において生じる刑事手続上の問題点につき、問題の所在を的確に把握し、その法的解決に必要な法解釈・法適用に当たって重要な具体的事実を抽出して分析した上、これに的確な法解釈により導かれた法準則を適用して、一定の結論を筋道立てて説得的に論述することが求められており、法律実務家になるために必要な刑事訴訟法(以下「刑訴法」という。)に関する基本的学識、事案分析能力、法解釈適用能力、論理的思考力、論述能力等を試すものである。

採点実感

○ 「問題の所在を的確に把握」している答案
○ 「法的解決に必要な法解釈・法適用」に当たって「重要な具体的事実を抽出して分析」できている答案
○ 「具体的事実に的確な法解釈を経て導かれた法準則を適用」して「一定の結論」を導き、「その過程を筋道立てて説得的に論述」できている答案
○ 法律実務家になるための「基本的学識」が示されている答案
○ 法律実務家になるための「事案分析能力」が示されている答案
○ 法律実務家になるための「法解釈能力」が示されている答案
○ 法律実務家になるための「法適用能力」が示されている答案
○ 法律実務家になるための「論理的思考力」が示されている答案
○ 法律実務家になるための「論述能力」が示されている答案


⑷ 「不良の水準」にとどまると認められる答案
前記の水準に及ばない不良なものをいう。一般的には、刑訴法上の基本的な原則の意味を理解することなく機械的に暗記し、これを断片的に記述しているだけの答案や、関係条文・法原則を踏まえた法解釈を論述・展開することなく、事例中の事実をただ書き写しているかのような答案等、法律学に関する基本的学識と能力の欠如が露呈しているものである。

× 刑事訴訟法上の基本的な原則の意味を理解することなく機械的に暗記し、これを断片的に記述するだけの答案
× 関係条文・法原則を踏まえた法解釈を論述・展開することなく、事例中の事実をただ書き写しているかのような答案
× 法律学に関する基本的学識と能力が欠如している答案


このような結果を踏まえると、今後の法科大学院教育においても、刑事手続を構成する各制度の趣旨・目的について、最高裁の基本的な判例を踏まえて、原理原則に遡り、基本から深くかつ正確に理解すること、それを踏まえて、関係条文や判例法理を具体的事例に当てはめて適用する能力を身に付けること、自説の立場から論述の整合性に配慮しつつ論理立てて分かりやすい文章で表現できる能力を培うことが強く求められる。

○ 「刑事手続を構成する各制度の趣旨・目的」について、「最高裁の基本的な判例」を踏まえて、「原理原則」に遡り、基本から深くかつ正確に理解する。
○ それを踏まえて、「関係条文や判例法理」を「具体的事例に当てはめて適用する能力」を身に付ける。
○ 自説の立場から論述の整合性に配慮しつつ論理立てて分かりやすい文章で表現できる能力を培う。


また、刑訴法においては、刑事実務における手続の立体的な理解が不可欠であり、通常の捜査・公判の過程を具体的に想起できるように、実務教育との有機的連携を意識し、刑事手続の各局面において、裁判所、検察官、弁護人の法曹三者が具体的にどのような立場からどのような活動を行い、それがどのように関連して手続が進んでいくのかなど、刑事手続が法曹三者それぞれの立場から動態として積み重ねられていくことについて理解を深めていくことが重要である。

○ 刑事訴訟法においては、「刑事実務における手続の立体的な理解」が不可欠である。
○ 捜査・公判の過程を具体的に想起できるように、刑事手続の各局面において、裁判所、検察官、弁護人の法曹三者が具体的にどのような立場からどのような活動を行い、それがどのように関連して手続が進んでいくのかなど、刑事手続が法曹三者それぞれの立場から動態として積み重ねられていくことについて理解を深めていくことが重要である。


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