見出し画像

【答案の書き方】刑事訴訟法(6)|平成28年司法試験

今回は「平成28年司法試験 刑事訴訟法」(出題趣旨・採点実感)を読んで、答案の書き方を確認してみましょう。

(出題趣旨)
https://www.moj.go.jp/content/001204818.pdf#page=15

(採点実感)
https://www.moj.go.jp/content/001208797.pdf#page=7


本問は、・・・ 捜査及び公判に関する事例を素材に、刑事手続法上の問題点、その解決に必要な法解釈、法適用に当たって重要な具体的事実の分析及び評価並びに結論に至る思考過程を論述させることにより、刑事訴訟法に関する基本的学識、法適用能力及び論理的思考力を試すものである。

出題趣旨

○ 「問題点の解決に必要な法解釈」ができている答案
○ 「法適用」に当たって「重要な具体的事実の分析・評価」ができている答案
○ 「結論に至る思考過程」が示されている答案
○ 「刑事訴訟法に関する学識」と「法適用能力」を示す答案
○ 「論理的思考力」を示す答案


本年の問題も、昨年までと同様に比較的長文の事例を設定し、その捜査、公判前整理手続及び公判の過程に現れた刑事手続上の問題点について、問題の所在を的確に把握し、その法的解決に重要な具体的事実を抽出・分析した上で、これに的確な法解釈を経て導かれた法準則を適用して一定の結論を導き、その過程を筋道立てて説得的に論述することを求めており、法律実務家になるための学識・法解釈適用能力・論理的思考力・論述能力等を試すものである。

採点実感

○ 捜査及び公判の過程に現れた刑事手続法上の問題点について、「問題の所在を的確に把握」している答案
○ 「法的解決」に重要な具体的事実を抽出・分析できている答案
○ 「具体的事実に的確な法解釈を経て導かれた法準則を適用」して「一定の結論」を導き、「その過程を筋道立てて説得的に論述」できている答案
○ 法律実務家になるための「学識」が示されている答案
○ 法律実務家になるための「法解釈能力」が示されている答案
○ 法律実務家になるための「法適用能力」が示されている答案
○ 法律実務家になるための「論理的思考力」が示されている答案
○ 法律実務家になるための「論述能力」が示されている答案


「不良の水準」にとどまると認められる答案とは、前記の水準に及ばない不良なものをいう。例えば、刑事訴訟法上の基本的な原則の意味を理解することなく機械的に暗記し、これを断片的に記述しているだけの答案や、関係条文・法原則を踏まえた法解釈を論述・展開することなく、単なる印象によって結論を導くかのような答案等、法律学に関する基本的学識と能力の欠如が露呈しているものである。

× 刑事訴訟法上の基本的な原則の意味を理解することなく機械的に暗記し、これを断片的に記述しているだけの答案
× 関係条文・法原則を踏まえた法解釈を論述・展開することなく、単なる印象によって結論を導くかのような答案
× 法律学に関する基本的学識と能力の欠如が露呈している答案


このような結果を踏まえると、今後の法科大学院教育においては、従前の採点実感においても指摘されてきたとおり、刑事手続を構成する各制度の趣旨・目的を基本から深くかつ正確に理解すること、重要かつ基本的な判例法理を、その射程距離を含めて正確に理解すること、これらの制度や判例法理の具体的事例に当てはめ適用できる能力を身に付けること、論理的で筋道立てた分かりやすい文章を記述する能力を培うことが強く要請される。

○ 刑事手続を構成する各制度の趣旨・目的を基本から深くかつ正確に理解する。
○ 重要かつ基本的な判例法理を、その射程距離を含めて正確に理解する。
○ これらの制度や判例法理を具体的事例に当てはめ適用できる能力を身に付ける。
○ 論理的で筋道立った分かりやすい文章を記述する能力を培う。


特に、法適用に関しては、生の事実に含まれた個々の事情あるいはその複合が法規範の適用においてどのような意味を持つのかを意識的に分析・検討し、それに従って事実関係を整理できる能力の涵養が求められる。

○ 「法適用」に関しては、「生の事例に含まれた個々の事情」が「法適用においてどのような意味を持つのか」を意識的に分析・検討し、それに従って事実関係を整理できる能力の涵養が求められる。


また、実務教育との有機的連携の下、通常の捜査・公判の過程を俯瞰し、刑事手続の各局面において、各当事者がどのような活動を行い、それがどのように積み重なって手続が進んでいくのか、刑事手続上の基本原則や制度がその過程の中のどのような局面で働くのか等、刑事手続を動態として理解しておくことの重要性を強調しておきたい。

○ 「捜査・公判の過程」を俯瞰し、刑事手続の各局面において、各当事者がどのような活動を行い、それがどのように積み重なって手続が進んでいくのか、刑事手続を動態として理解しておく。
○ 「刑事手続上の基本原則や制度」がその過程の中のどのような局面で働くのか等、刑事手続を動態として理解しておく。


【答案例はコチラ!】

この記事がお役に立ちましたら、「スキ」ボタンを押していただけると、執筆者として励みになります。次回もより良い情報を提供できるよう、頑張りますので、ぜひご支援ください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?