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全期間固定金利で注目のフラット35特徴②長期優良住宅の普及を促進

フラット35と長期優良住宅について書いてみます。「長期優良住宅の普及」は、ここ10年以上国を挙げて取り組んできた施策です。

長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅のことです。「長期優良住宅の建築および維持保全の計画」を作成して所管行政庁に申請することで、基準に適合する場合には認定を受けることができます。(国土交通省HPより)

劣化対策や耐震性、省エネルギー性などの「性能」に関する項目に加え、面積要件(一戸建ての場合、床面積75㎡以上、一つの階の面積が階段部分を除いて45㎡以上)や維持保全計画の策定などが要件となっています。

大手住宅メーカーの住宅の場合、ほとんどが長期優良住宅の基準に適合した性能を有していると思われますが、「認定取得」までを行っているかどうかは微妙なところです。認定を取得するためには、構造計算や設計図書の準備が必要なことに加え、民間検査機関と特定行政庁を経ることにより認定が下りるまでに時間がかかるからです。もちろん多くの場合追加で費用が掛かります。

個人的にはこの「認定取得」までの手続きの煩雑さが、長期優良住宅がなかなか普及していかない要因ではないかと考えています。

■参考:長期優良住宅認定実績の推移

国土交通省HPより http://www.mlit.go.jp/common/001352410.pdf

長期優良住宅を取得した場合の税制メリット

長期優良住宅を普及させるために、様々な税制メリットがあります。
詳しくはこちら⇩

・住宅ローン減税の拡充
・投資型減税型の特別控除
・登録免許税率の引き下げ
・不動産取得税の課税標準からの控除額の増額
・固定資産税の減額措置適用期間の延長

フラット35と長期優良住宅の相性

長期優良住宅普及のために、フラット35には長期優良住宅を関連付けた優遇措置がいくつかあります。

①フラット35S(金利Aプラン)+長期優良住宅による金利引き下げ
長期優良住宅を取得する場合、当初5年間0.5%、6~10年目までは0.25%金利が引き下げとなります。フラット35Sとは優良な住宅を取得する場合に、当初5年もしくは10年間金利を引き下げる制度です。

このフラット35Sですが、毎年のように制度が変わりかなりややこしいことになっています。使う立場に立って制度設計をしてほしいものです。詳しくは住宅金融支援機構HPにて「自分はどの金利優遇を使えるのか」を確認してください。

②金利引継ぎ特約が利用可能
金利引継ぎ特約とは、フラット35の返済中に融資住宅(長期優良住宅)を売却する場合に、その住宅を購入する方が債務を引き継ぐことができる特約です。現在の低金利情勢ですお、売る側買う側どちらにもメリットとなりうる制度です。

③フラット50が利用可能
フラット50は、長期優良住宅の取得の場合に利用できる最長50年の全期間固定金利の住宅ローンです。融資率の上限はフラット35融資対象金額の9割まで、融資限度額は8,000万円までです。住宅ローンの返し方に選択肢が増えますし、月々の負担は小さくなります。

④フラット35設計検査が省略可能
これは少々マニアックな話ですが、フラット35を借り入れる場合、住宅に関する検査を原則3回受けて「適合証明書」の提出が必要となります。長期優良住宅を取得することで1回目の検査を省略できます。また、長期優良住宅の認定を受けた中古住宅を取得する場合は、適合証明書の取得自体が不要となります。(築20年以内の条件あり)

長期優良住宅のねらい

フラット35はざっくり言うと国の制度ですので、長期優良住宅取得に対する優遇措置が設けられています。

長期優良住宅の狙いは、従来の「つくっては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換です。数年前に住宅金融支援機構の方とお話ししたときには、「住宅すごろくを超える」と言っていました。維持管理をしっかりして長く住み続けることを目的としたものです。

長期優良住宅を普及させることはもちろんですが、長く住み続けるためには住宅を建てる場所も重要だと思います。行政サービスが行き届く場所か、災害の少ない場所か等…長期優良住宅認定の条件に入れてもいいように思うのです。

また、新築マンションにおいては長期優良住宅の認定を取得しているものはとても少ないです。マンションについてはそもそも丈夫なはずですから、長期優良住宅と親和性は高いと思うのですが、技術基準を達成するためのコスト増と面積要件(1戸当たり55㎡以上)の達成が厳しいのでしょうね。

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