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注文住宅の資金計画④提携ローンのメリット・デメリット

大手住宅メーカーであれば、銀行個別に提携契約を結んだ「提携ローン」を用意しているケースがほとんどです。今回は提携ローンの特徴、メリットデメリットについてまとめてみます。

住宅メーカーの提携ローンとは?

住宅メーカーの提携住宅ローンとは、住宅メーカーと金融機関が「提携契約」を結んで通常よりも有利な条件や特別な手続きを定めているローンのことです。この提携契約があることにより、住宅メーカーは申込書類を金融機関に取り次いだり、審査結果を直接金融機関から受け取ることが可能となります。

0.1%程度の金利優遇を定めている場合もありますが、最近は軒並み低金利なので金利優遇を謳った提携ローンは減少しているようです。住宅メーカー、金融機関によって「提携契約」の内容は様々ですので、個別に確認する必要があります。

提携ローンの最大の特徴は「抵当権設定前実行」

提携ローンの最大の特徴は「抵当権設定前に融資実行が可能」なケースがあることでしょう。住宅ローン(建物分)は、基本的に建物が完成し、表示登記が終わっていないと融資実行ができません。建物に抵当権を設定することで融資が可能になるからです。

提携住宅ローンは、住宅メーカーが金融機関に対し「抵当権設定まで」を保証することで、抵当権設定前に実行することが可能となっています。これを「つなぎ保証」と呼びます。住宅メーカーは、何らかの事情(返済が滞ったり、提携ローンではない融資の抵当権が先に設定されてしまったりなど)で融資実行をしたお客様が抵当権設定をできない事情が発生した場合、融資金全額を金融機関に弁済する債務を負うことになります。

融資実行時期は提携ローンによって様々ですが、下記3パターンが多いようです。

1.建築確認済証が発行されたら
2.上棟がされたら
3.表示登記を申請することが可能になったら
 (足場が取れてクロス、設備機器などが設置されたら)

1は都市銀行に、2.3は地方銀行に多いと思います。2.3の場合は、銀行担当者が建物の建築状況を確認して融資実行となる場合が多いです。

提携住宅ローンのメリット・デメリット

一番のメリットは、抵当権設定前実行が可能になることにより、「早期に金利の確定ができ、つなぎ融資を組む必要がないこと」です。住宅ローンの適用金利は、融資実行時に決定となるため、通常は建物完成時です。注文住宅の場合、工期が長いので、建築中に金利が上がらないか心配する方も多いと思います。建築確認おりの段階で融資実行ができれば、その心配はなく、つなぎ融資の利息も支払う必要がありません。(もちろん、金利が建築中に下がることもあり得ます。)

お客様の状況によってデメリットになりうるのは、「融資実行後翌月から返済が始まる」という点です。現状賃貸にお住まいの方は、家賃の支払いと住宅ローンの返済がダブルで必要となります。銀行によっては「6か月間の元金据え置き」を選択できる場合はもありますので、つなぎ融資を利用した場合と比較すると良いと思います。

また、提携ローンの商品設計によりますが、融資の分割実行ができない場合、借入金が一括で住宅メーカーに入金されることとなります。提携ローンは基本的に住宅メーカーの口座に代理受領されます。(お客様の口座は経由しない)お客様としては、まだ着工もしていない段階で、代金を住宅メーカーに支払うこととなり、「工事進捗に合わせた入金」ができない状況となります。私の経験上、このことを心配して提携ローンを利用しなかった方もいらっしゃいます。信頼できる住宅メーカーかどうか、見極めて利用する必要があるでしょう。

提携ローンは、銀行ごとに条件が異なり、住宅メーカーの担当者もその詳細を把握していないケースが多いです。メリットデメリットをしっかり確認し、賢い選択をしたいですね。

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