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緑色の島風〜沖縄ライフありんくりん〜 vol.11|『沖縄にある台湾 〜那覇の市場で台湾素食〜 』(2022年12月号)

オキナワをもうちょっと知りたくなるマガジン「ハイサイ!ウチナータイム!」に寄稿している原稿を転載しています。最新版はコチラからご覧ください。

2019年10月31日、首里城焼失のニュースとともに目覚め、驚きと悲しみをそっくりそのまま抱えながら台湾へと向かいました。
空港へ向かう電車の中で、搭乗を待つカフェで、しんしんと涙を流す私。居合わせた見知らぬ人にはたいそう怪しく映り、そして驚かせたことでしょう。
(そんな私を諫めるでもなく寄り添ってくれた夫に感謝します)
 
悲しんでいる間も順調に飛行は続き、高雄国際空港に降り立った私たちは一路台南へと北上。
1泊した後に再び高雄へと南下しながら食文化に触れる旅を敢行しましたが、沖縄より800km南に位置する台湾南部の気候や沖縄とよく似た市場の風景に、随分と癒されたことを思い出します。

高雄では念願の「素食」のお店へ。素食とは台湾式の菜食料理のことです。

台湾は全人口の10%以上が素食主義と言われるほど(細かい区分はここでは省きます)、動物性食材を摂らない文化が根付いています。
ブッフェスタイルのこちらのお店では南国ならではの野菜類のほか、大豆を加工した「もどき肉」の料理が豊富で、加えて椎茸などの旨み食材もフル活用しています。沖縄そばとほぼ同じ麺の焼きそばもありました。


毎日を素食にするのは難しくとも、週に1回くらいはノンミートの日を作ることは体にも環境にも良いこと体感してきました。
 
さてそんな素食食堂が、那覇の市場にあることをご存知の方も多いでしょう。
そう、「金壺食堂」さんです。
現在は二代目の川上末雄さんが取り仕切っており、元々は台湾出身のお母様が30年前に始めたお店で、まさに台湾の素食食堂の雰囲気を味わうことできます。

素朴ながら素材の旨みを味わえるお惣菜は、どれも手作りの温かさを感じるものばかり。
また、昆布と椎茸出汁の野菜スープにはクワンソウ(和名:アキノワスレグサ)という花が入っています。これはリラックス効果や安眠効果があると言われるもので、こういった薬膳食材を取り入れているところも金壺食堂のポイントです。

中国にならった医食同源の思想が現代の沖縄にも根付いていますから、台湾食文化との類似性を大いに感じるとともに、琉球王国が600年以上前からアジア諸国と交流してきたことを考えると、沖縄はボーダーレスの気質を元々持っているのだなぁと納得します。
 
今年は6年ぶりに「世界のウチナーンチュ大会」が沖縄で開催され(10月31日〜11月3日)、各国から沖縄ルーツの人々が集まりました。
南米やハワイ、アジアなど世界各地から総勢8,000人が集結し、沖縄アイデンティティを確かめ経済的な結びつきを深めましたが、沖縄を通して世界に繋がるポイントが沢山あることを、改めて実感した2022年の秋でした。


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